幸せな結末61
和君 7/15(水) 19:54:34 No.20090715195434 削除
いつの間にか、私は腕を組み眼を瞑って、天を仰いでいました。
大きく息を吸って反撃を開始・・・突然加奈が叫んだ。
「和君、やめてお願い」
清水は声に驚いて、喋るのを中止した。
私は大きく息を吐くと、腕組みを解いた。
加奈は、私に引っ付くとなだめ諭すようにお願いをした。
「ゆうチャンだって」
「ゆうチャンか・・・」
その声に、加奈はたじろいだ。慌てて言い直した。
「和君、ごめん。清水君だって悪気があって言ってるんじゃ無いと思うんだ。
ねえ、お願い、それをわかってあげて」
何を解ってやれと言うのだ。それが聞きたい。
悪気が無くてよくあれだけのことが言えるものだ。
感心しています。
加奈は私をまっすぐ見つめている。
加奈がおねだりをするときの眼差しである。
清水が何か言おうとしている、加奈は清水を一瞥するときつい口調で言った。
「清水君、一寸静かにしていて。
清水君が五月蝿く騒ぐと、話がややこしくなるから黙っていて」
「和君、お願い。清水君に和君がしようとしていること話してあげて。
清水君も、和君の話を聞いてから結論を出して頂戴」
沈黙が続きます。
私は重い口を開きました。
「昨日、君の親御さんに会ってきた。小さいけれど堅実な仕事をしているね。
潰すに忍びないな。ご両親も義兄夫婦も元気だったな。
今一番の心配事は、馬鹿な息子の不倫騒動か」
「うちの顧問弁護士が、こちらの条件を飲むか飲まないかは別にして提示をした。
親御さんは、泣きながら謝罪をされ、こちらの条件は全部飲んだ」
「月十万円の二十五年払いで総額、慰謝料三千万
違約金五千万、二十日付けで退職させ、実家に連れ帰る。
これが条件の全てだ。この契約の保証人に判子を押した」
「可哀相なのは、博美だ。
親と夫の負担を少なくするために体を使って払う。
君の為に体を差し出すそうだ、惨い話だ。そう思わないか」
清水は、顔面蒼白で話を聞いています。
「近いうちに、博美に会って具体的な話を詰める。
当然、この話は、博美が体で云々の話は君の親にも話す。
義兄にするかしないかは、今思案中だ」
「お願いです、兄さんにだけはしないでください。
そうなったら、姉は離婚です」
私の言っている意味を理解した清水は、土下座をして深々と頭を下げた。
「君は姉さんを差出し、姉さんは君の為に体を売った。
親は娘を人身御供にした。不甲斐ない自分を一生責めるのだな。
これが、君が私と争った報いだ。
姉さんからも一生恨まれるいい話だろう。
妹も居たよな・・・」
「清水君、君は加奈に忠告を受けたよな。争わないでと。
もっとも、君が今日直ぐ家に帰ったら、多少のことは考えないでもない」
「出て行ってくれ。二度と君と会う気は無い。
加奈とも会わないでくれ。会えば契約違反で五千万の違約金だ。
それでも、加奈を選ぶかどうかは君の自由だ」
清水は何も言わず、家を出て行きました。
情けない奴だ、所詮あいつの加奈への思いはその程度だったのだ。
そう思うと余計腹が立った。
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