幸せな結末62
和君 7/16(木) 18:34:20 No.20090716183420 削除
清水を見送って戻ってきました。
加奈は俯いてため息を吐いています。
私は、清水の親に電話を入れました。
「説明は全て終わりました。
出来れば、今日中に強制送還されるとありがたいのですが。
近いうちに、博美さんとその件で話し合います。
その時にできるだけ、譲歩させていただきます」
電話を切って、ソフアに座ると、清水が帰らなかった場合の次の一手を考えていた。
突然、私の携帯が鳴った。博美からの電話である。
「和君、今、祐樹のマンションに主人と父が行ってます。
説得はうまくいきそうです。連れてかえれたらまた電話します」
「宜しくお願いします。近いうちに打ち合わせをしましょう」
横に座ると、加奈が青ざめた顔で見つめている。
「清水君は、親が連れて帰るそうだ。
会社では何も、加奈は言う必要が無い。知らん顔をしてろ。解ったな」
加奈は、唇を硬くかみ締めて頷いた。
「後、十日ほどで契約が成立する。私たち、二人の結論はそれからだ。
清水がいなくなった分、加奈の仕事はきつくなるが仕方のないことだ。
清水に連絡を取ったからこうなったのだ」
私は、書斎に入ると、PCを立ち上げ、今日の加奈と清水の様子を見た。
清水が部屋に入ってきた。
私が帰宅する一時間前である。
入ってくるなり加奈に抱きついて、ソフアに押し倒した。
加奈が大声をあげ抵抗をしたので、未練たらたらで清水は諦めた。
私は危機管理の薄い奴だと思ってみていた。
加奈の説明を聞いても、へへらと笑っているだけであった。
私も舐められたものである。
そんなことは出来やしないと思っていたのだと思う。
そこへ、私が帰ってきて、清水は慌てて離れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は妙に、頭が冴えて眠れません。
自分自身に腹が立っているのです。
後二三歩詰めておけばという思いと
これから先のことを考えると、あれでいいという思いが交差しています。
ふと気がつくと、加奈が横に立っていました。
水割りのコップを差し出し、横に座ります。
「和君、今日どうしたの?いつもの和君じゃないみたい。
詰が甘いっていうか、切れが悪いっていうか。
読みの何手か先に、女がいてそれが判断を鈍らせた。図星でしょう」
こうなるとぐうの音も出ない。相変わらず鋭い突込みである。
「でも、ユウちゃんも馬鹿よね。よりによって、和君と喧嘩するなんて。
ただの不倫相手・遊び相手なら、和君とぶつかる事の無かったのにね。
結局、私も庇いきれなくなってしまった。、
清水君一家は不幸になっちやうし、和君も大変よね」
人事の様に、加奈が言っているが、私もそう思う。
もっとも、不倫の当事者、加奈が言う言葉では無いが、私には良く理解できた。
清水も、上司との不倫で止めておけば良かったのである。
そうすれば、私も無駄な労力を使わずに済んだのに。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した加奈から、詳しい話を聞いた。
加奈の話しによると、次の日清水は出勤をしなかった。
部長宛に、親から一身上の都合で、退職させたい旨の電話が有り、
退職願は後日郵送することになった。
これで、清水は私の前から完全に消えた。
もっとも、会社の対応を見た清水は愕然としたであろう。
退職願いは非受理、その時点で懲戒免職である。
ただ、懲戒免職の時期が早まっただけである。
清水が退職理由で聞いたのは、和君を怒らせたが理由だからである。
愕然とする理由である。
私は、離婚を視野において、加奈の会社の社長とは会って、詳しい話はしていた。
親代わりの人なので、むげにしておく訳にはいかなかった。
激怒した社長をなだめて、私が願いするまで手出しをしない約束をさせた。
加奈の処遇は、辞表は受け取らない。娘のいる北海道への転勤をお願いした。
清水の嫁さんだった美千代が、精神的に不安定で支えが要るから加奈と離婚することを伝える。
離婚せずに見られればいいのだが、
そうすると、私の逃げ道が出来てしまう。
こうなった以上、退路を断って、見守るしかない。
そう思うと説明をする。
美千代がいずれ、私の元から自立したときに、私も新たな道を考える。
もしまた、美千代の選択に清水が入るようなことがあれば、仲介をお願いするとも伝えた。
唇を噛んで話す私の肩を叩いて、男は辛いなと励まされる。
社長が、加奈を見張っているので、いずれ次期が来たら
俺が口を利いて復縁をさせるか?と激励される。
今の段階ではその日が来るかどうかもわからない。
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