[3962] 本当の妻 5 投稿者:加藤 投稿日:2006/02/01(Wed) 07:27
家に着いて息子を寝かせると、私の脳裏には妻と常務の姿が浮かぶ。
妻が裸で常務の下腹部に顔を埋め、常務は笑いながら、もっと舌を使えと指示を出す。
上に跨った妻に、もっと動けと下から叱る。
終わった後も、口で後始末をさせていた。
自然と涙がこぼれていたが、車の止まる音がしたので涙を拭うと、妻だけでは無くて義父
と義母も一緒だった。
時計を見ると、私が帰って来てから2時間以上も経っている。
「あなた、ごめんなさい。あなたが出張に行く度に実家に泊まって、女友達とカラオケな
んかに行ったりして、遊び歩いていました」
妻がカラオケをするなどとは聞いた事も無く、逆に以前、カラオケは嫌いだと聞いた覚え
がある。
妻は不倫していたと知られるよりは、遊び歩いていたと思われた方が得策だと判断して、
嘘を吐いているのは明白だ。
「誰と何処のカラオケに行っていた?今からその友達の所とカラオケに行って訊いてくる。
ついでに高橋常務の所にも」
高橋常務の名が出た事で、妻の顔は見る見る蒼ざめ、終には床に伏せて泣き出す。
諦めの悪い義母は、この期に及んでも妻を庇って言い訳していたが、突然義父が土下座した。
「すまない。娘と孫は連れて帰る。慰謝料は出来るだけの事をさせてもらう」
「お義父さん。香織だけを連れて行って下さい。仁は力尽くでも渡さない。仕事を変わっ
てでも、私が立派に育ててみせる」
妻は、一層大きな声で泣き出した。
義父が妻を連れて帰ろうとするが妻は動かず、義父と義母も帰る事が出来ない。
「あなた、ごめんなさい。もうあなたを裏切る事は、何が有っても絶対にしません。だか
ら、あなたと暮らさせて。仁と暮らさせて」
私は妻に、知っている事を全て話した。
「これでも俺に、まだ信用しろと?俺を何年間騙し続けていた?結婚自体、騙されて結婚
させられた様なものだ」
何も言えずに、ただ泣くしかない妻に代わり、義父が口を挟んできた。
「私達が間違っていた。知っていながら注意するどころか、協力までしてしまった私達が」
妻は入社して2年ほど経った頃に、急に帰宅時間が遅くなり、半年後には朝帰りまでする
ようになった事で、義父は妻を問い詰めて、不倫している事を知って激怒した。
妻は相手が誰なのかは話さなかったが、翌日謝りに来たのは当時部長だった高橋常務だ。
その頃の義父の会社は仕事が減り、人員整理も考えていた。
「お詫びに、御社の比率を増やすように努力します」
言葉通りに仕事は増え、その後も続いた妻の不倫を、見て見ぬ振りをしてしまう。
「私は従業員の生活と、香織を引き換えにしてしまった最低な親です。話がこじれて受注
が減る事を恐れ、いつか終わってくれるだろうと静観し、会社の為に娘に注意する事すら
出来なかった、最低な親です」
両親は私との結婚話が出た時には、これで娘も人並みの人生が送れると歓喜する。
しかしその後も妻の不倫は続き、子供が生まれてからは、それを助けるかのように預かった。
「香織が孫をおいて、高橋常務と会っている事は気付いていました。しかし香織は、ただ
遊びに行くとしか言わず、私達も聞くのが怖かった」
その頃には、売上の70パーセントを我社に頼っており、高橋常務の機嫌を損ねるのが怖
かったのだろう。
「実の娘を、人身御供に差し出していたという事か」
「何を言われても、弁解の余地も無い。君には嫌な思いをさせてしまった」
私は妻と2人で話がしたくて、両親には帰って欲しいと言ったが、泣きじゃくる娘を残し
て帰る事は出来ない。
「私はあなた達を殺してしまいたい。今それを必死に我慢している。これ以上怒らせない
でくれ。早く帰れ」
土下座している義父を足蹴にすると、ようやく重い腰を上げる。
車が走り去る音を聞いて、妻の頬を張り倒す。
妻の傷1つ無い、真っ白な頬が赤く染まる。
「痛いか?その頬の痛みと、俺の心の痛みと、どちらが痛いか分かるか?」
妻は頷き、私はハサミを持って来ると、服をつかんで引き倒す。
妻の自慢の長い髪が、見る見る短くなっていき、大量の髪の毛が無残にも床に散らばる。
それでも私は飽き足らず、妻の服を切り刻み、赤いマジックを持ってくると、裸でうつ伏
せになって泣いている、妻のお尻や背中に『インラン』と書き殴る。
今度は妻を仰向けにすると馬乗りになり、乳房や下腹部にも同じ事を書いて、顔にも書こ
うとすると流石に顔を振って拒むので、また頬を張ろうと手を上げた時、急にドアが開い
て義父が駆け寄り、私を突き飛ばすと妻にジャケットを掛けた。
「許してやってくれ」
義父達は、やはり娘が心配で引き返して来たのだ。
「こんな事ぐらいで、気が済むはずがないだろ。お義父さんなら許せますか?俺は離婚し
ない事に決めた。一生こいつを虐め貫いてやる」
妻は小さな声で何か言ったが、義母の泣き声で聞こえない。
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