本当の妻 11
加藤 6/21(水) 21:07:06 No.20060621210706 削除
妻が戻って来ないので寝室に行くと、妻は息子の隣で眠ってしまっている。
すぐに叩き起こそうと思ったが、その時初めて妻の姿を痛々しく感じた。
いつも綺麗に化粧がされていた顔は泣き過ぎて目が腫れ上がり、自慢の長い髪は私に切られて無残な状態になっている。
その様な寝顔を見ていて、妻は今まで幸せだったのだろうかと考えた。
常務の愛人になるまでは、社長の娘として何不自由無く育ち、おそらく幸せだったに違いない。
しかし、常務の愛人にされてからも幸せだったのか。
常務の手によって女にされ、ずっと辱められてきて幸せだったのか。
女の喜びを嫌と言うほど教え込まれ、身体は喜んでしまったかも知れないが、妻自身それで幸せだったのだろうか。
妻にも将来の夢はあったはずで、その夢は愛人として暮らす事ではなかったはずだ。
常務の辱めによって身体は反応してしまっても、気持ちは拒否し続けていたに違いない。
私には経験のない世界だが、自ら喜んで身体を開く女よりは、気持ちは拒否していても身体が受け入れてしまう女の方が興奮するのだろうと想像出来る。
そうだとすると、妻はいつまでも気持ちが拒否していたからこそ、常務には手放す事の出来ない堪らない存在だったに違いない。
妻の両親がそうだったように妻も私と結婚した時に、これで人並みの幸せを掴めると思ったとすると、結婚してからは私に対する罪悪感も加わって、更に心は常務を拒否していただろう。
しかし、いざ行為に及ぶと身体は感じて受け入れてしまう妻は、常務にとって今までに以上に魅力的だったに違いない。
この時、私の中に2人の私がいる事に気付く。
私を騙し続けた妻を許せない私と、妻を哀れに感じて妻の恨みも晴らしたい私。
翌日出社すると私が常務を殴った噂は広がっていて、誰一人として私には近付いて来ない。
その様な状況の中、常務の部屋には行き難くなって躊躇っていると、逆に常務から部屋まで来るように呼び出しを受けた。
「考えてくれたか?もうこの辺にしておけ」
「いや、慰謝料はあと七百万の合計1千万」
常務は私を睨みつけたが、次の言葉で表情が弛む。
「それと、今度の土曜日から次の日曜日までの一週間奥さんを借りる」
普通はこの条件が一番嫌なはずだが、妻が言っていた様に普通の夫婦関係ではないのか、常務は笑みまで浮かべた。
「分かった。これで和解だ。金は来週中にでも用意するから、女房の機嫌が直るように精々サービスしてやってくれ」
常務はこれで全て終わると思っているようだが、私の恨みはその程度の物ではない。
第一奥さんは常務よりは可也若いと聞いているが、子供の歳からいっても50は過ぎているはずだ。
その上、乳房は大きくても写真を見る限りお腹にも肉が付いていて、お世辞にもプロポーションが良いとは言えない。
そのような奥さんが、妻を玩具にされた代わりになどなるはずも無い。
私のような者が経験豊富な奥さんを、どこまで虐める事が出切るか分からなかったが、先ずは奥さんを辱めたかったのと、それと同時に妻を試してみたかっただけなのだ。
本当は常務夫妻を無茶苦茶にしてやりたかったのだが、息子の為に犯罪行為は避けようと思った時、思い付いたのがこれだった。
「一週間常務の家を借りるので、その間ホテルにでも泊まって絶対に帰って来ないでくれ」
「香織は、いや香織さんはどうする?」
やはり常務は食い付いて来た。
「実家に行ってもらう」
常務が私の目を見たので、私はわざと微笑んでやった。
「身体が疼いてしまって仕方がないようだから、実家で監視していてもらわないと」
「そうか。そうか」
勘違いした常務は何度も頷いていた。
土曜の夕方、妻を実家に送ってから常務の家に行くと、約束通り奥さんだけが待っていた。
「先日は失礼しました」
奥さんは着物を着ていて、今まで何事も無かったかのように優しく微笑み掛けてきた。
「もう済んだ事は言わないの。それよりも冷めてしまうから食事にしましょう」
玄関に鍵を掛けた奥さんに案内されて客間に行くと、そこには既に鰻重が用意されていた。
「一週間も一緒に居るのだから、沢山食べて精力を付けてもらわないと」
食事が終わるとシャワーを浴びるように勧められ、シャワーを浴びて出ると着て来た服は全て片付けられていて、小さなビキニパンツが一枚置いてある。
「本当に香織さんの事は悪かったわ。今から一生懸命償うから許してね。さあ、マッサージをしてあげるから来て」
奥さんに案内された部屋は和室で、部屋の中央に敷布団だけが敷かれていた。
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