愚か者 8/3(木) 17:49:56 No.20060803174956
桜井と妻の顔を見ていると、無性に腹立たしくなってきた私は、二人に
対して問いかけをしました。
「桜井さん、今日お呼びした用件はお分かりですよね。」
「・・はぁ~」
「奈美、お前は解るな?」
「・・・・」
「桜井さん、妻とはどういう関係ですか。」
「・・・・高校時代の同級生です。」
「そんな事は聞いてません。」
「奈美、お前はどうなんだ?」
「同級生です。」
「桜井さん、高校の同級生という事はわかりました。私が聞きたいのは最近の
二人の関係をお聞きしたいんです。」
「そういえば、最近偶然町で逢うことが有って、お茶をご一緒した事が。」
「ほう~、お茶を一緒に、本当か奈美? 俺は聞いていないが。」
「そうそう、言い忘れてたかも。」
「私が、知っている二人の関係はそんなものとは程遠いけどね。」
「何かの誤解ですよ。」
「そう、何て聞いたか知らないけど、誰かが変な噂を流しただけでしょ。」
「一度お茶を飲んだだけ、それで間違いないね。」
「貴方に、言っておけばそんな誤解をされなくても良かったのに、御免なさい。」
「私も不注意でした。久しぶりに奈美さんと遇ったので、昔の乗りで馴れ馴れしく
し過ぎたかも知れません。それで誰かに誤解をされてしまったかも知れません。」
「桜井さん、貴方はこの家の住所はご存知だったんですね。」
「・・・奈美さんとお会いした時、お聞きしてましたまで。私の家も近いですから。」
「お見えになるのは、初めてですか。」
「もちろん、初めてです。」
このとき妻の顔を見てみると、桜井の言う事に同調するように、首を立てに振って
いました。
「それでは、二人に説明してもらいたいものがあります。」
そう告げると私は席を立ち書斎に入って行き、茶封筒一つ手に持って戻ってきました。
「先ほど。お聞きした事が正しければ、これはどう説明して頂けますか。」
私が封筒から、A4サイズの綴りをテーブルの上に置いた瞬間、二人の顔は見る見る
うちに青褪めて行くのが解りました。
綴りの表には、報告書と○○興信所の文字が書いてあり、二人は瞬時にその意味を
悟ったようです。
妻と桜井は、茫然自失の状態でただうな垂れているばかりでした。
「奈美、桜井さん、子供騙しは止めましょうよ。」
「中を見なくても、この意味はお分かりですね。」
ほどなく、妻は嗚咽にも似た泣き声を発して床にへたり込んでしまいました。
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