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北原夏美 四十路 初裏無修正

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[1444] 無題 投稿者:逆瀬川健一 投稿日:2002/04/18(Thu) 22:10。

【#20 隷従-2】
「さて、まずはご婦人の素性からうかがいたいものですな」
 リビングに入ると、コバヤシはフォーマルジャケットを脱いだ。ミウラとルイスもそれにならった。
「S先生の口から紹介していただけますか、それともセルフイントロダクションで?」
「ミスター・コバヤシ、あなたほどのかたが何を気弱なことを。今夜は、私はオブザーバーです。お好きなようにこの宴を盛り上げてください」
 コバヤシたち三人は、Sに深々と頭を下げた。「お言葉に甘えさせていただきます」

 たっぷり三十分をかけて、妻は自分のプロファイルを語らされた。ソファから見上げる三人の前で全裸のままで。
「それではこれから、あなたのことを奥さんと呼びます」
 コバヤシの表情に下卑たところはなく、面接官のような生真面目さと鷹揚さをただよわせていた。
「ところで、日本ではそのような身体装飾が流行しているのですか」
 股間に視線を浴び、妻は頬を染めた。しっかりと両腿を閉じていても、陰核を貫通したリングは亀裂の上部に顔をのぞかせている。ほかのリングのありかも、リビングに入るまでにじっくり観察されていたはずだ。
「……若い人たちの中には、耳や鼻や唇にいくつもしている人がいるようですけど」
「プッシーの話ですよ」コバヤシは無表情のまま質問を重ねた。「多くの女性がプッシーを飾っているのですか」
「わかりません」
「ではなぜ、奥さんはそのようなことをするのですか。『身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始めなり』。修身です。幼い頃に祖父によく聞かされました。あなたのそんな姿をご両親に見せることができますか?」
「………」
「もう一度、訊きます。あなたはなぜ、そのようなものを身につけているのですか」
「……別の自分になれるから……だと思います」
「美しい言葉ですな。しかし、それは言い訳です。多重人格でもあるまいし、別の自分などありはしません。さあ、どうです、奥さん? 本当の気持を言ってみなさい」
「うまく言えないんですけど、こんなところにピアスを入れている自分がとても愛おしんです。見られ、からかわれ、いろいろいたずらされるためだけのピアス。そんなものをみずから入れている自分が哀しくもあり、誇らしくもあり……すみません、わけがわからないことを言って」
「そんなものですか」
 コバヤシの質問は妻にではなく、ホームバーでグラスを傾けているSに向けられたものだった。
「さあね」オブザーバーに徹するSは素っ気なく言った。「本当かどうか、じかに確かめてみてはどうですか」
 Sにうなずいてみせると、ダイニングルームから椅子を一脚運んでくるようにルイスに命じた。

 スラックスにアンダーウェアというラフな格好になった三人に、妻は淫裂をさらした。木製のシンプルな椅子に腰を落とし、左右の肘掛け両膝を載せてM字に開脚させられた。
「両手を頭の後ろに回しなさい」
 コバヤシの残酷な指示が飛ぶ。伸びはじめた腋毛が腋窩をくすませていた。
「ほおお。あんがい怠け者なんですね、奥さんは」
「バスルームに……か、か、剃刀が見あたらなかったものですから」
「腋がそんな様子じゃ、下のほうもちくちくするんじゃないかな」
 初めてミウラが言葉を発した。玄関での衝撃が薄れ、冷静さを取り戻したのだ。アレックス・ルイスも同様に、好色な笑みを浮かべている。
「ねえ、コバヤシさん、そう思いませんか」
「ハイスクールの教員が吐くセリフとは思えんな。アレックス、おまえはどうだ。奥さんの感想は」
「スレンダーな体型はボス好みかもしれませんが、もうちょっと太っていてもいいんじゃないですかね」
 流暢な日本語だった。日本語を喋れることがセールスポイントの外人タレントとよりはるかにましだった。
 男たちはいろんな単語を使って妻の体を値踏みした。
 妻は秘苑をさらしたまま言葉の陵辱に耐えた。
「ボス、おかしなことになってますよ」アレックスが妻の微妙な変化に気づいた。「ほら、プッシーが」
 妻は濡らしはじめていた。男たちの視線が、まるで物理的な力をもつかのように、妻の襞をほころばせていた。
「クリットもさっきより大きくなってる」ミウラもうなずく。
「私にはそう見えないが」
 コバヤシは首をかしげた。
「奥さん、ちょっと広げてみせてください」
 肉体の変化を鋭く捉えられ、妻の羞恥心がよみがえった。ほどよい温度に保たれていた室内の空気が数度上昇したかのようだった。
「さあ、この若い連中の目が節穴だということを証明してください。見られるだけで濡らす大和撫子などいないことも教えてやってください」
 後頭部の手を下半身に移した。目を固く閉じ、両の人差し指で左右の小陰唇を外側に開いた。
 肉の合わせ目にかろうじてとどまっていた粘液が会陰部をゆっくりと伝い、アヌスに達した。
「なんとまあ!」
 コバヤシは大仰に驚いた。
「S先生、お国の女性はみなこのようにふしだらなのですか」
 Sの返事はなかった。
「まったく、なんてことだ。こんな奥さんにはお仕置きしかありませんな。自分の淫らさを痛感していただきましょう。そして、反省してください」
 コバヤシの強い口調にびくりと身をふるわせた妻だったが、お仕置きという甘美な言葉に性感がさらに刺激されていた。

「なかなかお上手だ。S先生が仕込まれたのですか」
 今回も返事はない。コバヤシは気を悪くしたふうもなく、股間の妻に視線を戻した。
「どうですか、奥さん。ひどい臭いでしょう? 朝からスーツを着ているうえに、一日中、準備に追われていましたからね。アフターランチのシャワーを浴びることができなかったんですよ」
 確かに、コバヤシの陰茎は汗や尿などが分解する際の臭気を放っていた。だが妻にとって、それは性欲を加速させるフェロモンだ。その匂いには男の個性が詰まっている。匂いのちがいが性技のちがいを連想させ、子宮口がみるみる下りてくるのだ。
 四十半ばの、脂ののりきった男のペニスは、事業の成功に裏打ちされた自信に満ちあふれているかのようだ。えらの部分が張り出し、軸の皮膚をとおして逞しい海綿体の束がびくりびくりと脈動を繰り返すのが舌に伝わってくる。
 先端からは、すでに粘液がしみ出していた。
(ここまで固くしてあげたのは私。射精をコントロールをするのも私)
 その思いに、口技に力がこもる。一方では、口腔性交を強いられているという被虐心もある。征服しているのかされているのか……。揺らぐ思いの中で悦楽の炎が勢いを増す。
「ミウラ、アレックス、交代だ」
 怒張を妻の口から引き抜き、三十代の二人に言った。
「たまらないぞ、奥さんのブロウジョブは。きみたちなんかあっという間に陥落だ」
 日系人と白人はすでに全裸でみずからの陰茎をしごいていた。ミウラのものは標準サイズだったが、大和民族特有の強靱さを示して反り返っていた。一方、アレックスのものは西洋人ならではの太さと長さを備えている。亀頭だけが鮮やかなルビー色だ。初めて目の当たりにした白人のペニスに、一瞬、妻は見とれた。
 その二本の屹立が同時に近づいてきたとき、妻はその意図を悟り、幸福感に包まれた。
 だが、リゾートという舞台、西洋の流儀を身につけた男たちという登場人物にいだいていたものが、はかない幻想であったことをすぐに思い知らされた。ミウラもアレックスも、妻を女性として、いや、人間として扱うつもりはなかったのだ。
 アレックスは妻の顎を掴むと強引に押し込んできた。長さ二十センチ、直径七、八センチはある肉柱が軟口蓋まで突き進んだ。吐き気にあらがいながら呼吸を確保しようとしたが、鼻は栗色の陰毛に埋まってしまっている。アレックスは髪を掴み、激しい腰使いで抽挿を繰り返した。ストロークのタイミングを見計らいながら、妻はかろうじて呼吸を確保した。
 アレックスを射精に導くことだけに気を取られて、ミウラの存在を忘れてしまっていた。太い指が双臀を掴み、割り広げた。手を添えることなく器用に腰を調節し、剛棒の峰を淫裂にすべらせた。すぐに突き立てる気配はない。幾度もこすりつけているだけだ。そのたびに亀頭の先端が露出した陰核をつつき、妻の腰をしびれさせる。
(おねがい、入れて! その硬いちんぽを入れてちょうだい!)
 妻の願いが通じたのか、ミウラは秘苑なぶりをふいにやめた。尻を掴んだ指に力を入れ、さらに割る。熱い亀頭がアヌスにあてがわれた。
(あっ、そ、そこは――)
 狙いをそらそうと尻を振ろうとしたが遅かった。妻の愛液にまみれ、先端からは先走りの粘液を吐き出す肉の凶器は、襞のすぼまりを一気に貫いた。
 肛門性交は初めてではない。いろんな器具やペニスを何度も受け入れている。痛みはなかったが、予想以上の激しい圧迫感に喉の奥で悲鳴を上げた。
「……あがっ……あぐっ……」
 突かれるたびに妻が洩らす、うめきとも咳ともつかない奇妙な声にミウラとアレックスは哄笑した。
 やがて、口腔への蹂躙にあきたアレックスは床に仰向けになり、肛門にミウラの屹立を呑んだままの妻を下から刺し貫いた。
 隣接する二か所に杭を打たれ、妻は下半身の自由を失っていた。腰を動かそうにも、二本のどちらの動きに即せばよいのかわからない。
 男たちは勝手に動いた。片方が推せば、片方が引く。同時に推される場合もあれば、その逆もある。
「いっちゃう、いっちゃう、いっちゃう……」
 唾液を顎まで滴らせながら、妻は背筋を弓折りにした。
 ミウラとアレックスが唸った。
 うすい膜の前後をふさぐ陰茎の体積が倍加した。一瞬後、熱いつぶてが膣と直腸にはじけた。二人はほぼ同時に精を放ったのだった。
 すでに妻は言葉を吐く余裕すらなくなっていた。アレックスの厚い胸に両手をつき、ふくらはぎをミウラの脛に密着させた。
 何度も経てきたのに馴れることの決してないオルガスムスの奔流に、妻は身をゆだねた。
 シャワータイムを二度はさんだだけで、妻への陵辱は明け方までつづいた。長時間、一人が占有することもあれば、三人同時に妻を貫くこともあった。ミウラが三度、アレックスが四度、妻を精液で穢した。奇妙なことに、コバヤシは挿入はするが決して射精はしなかった。

 荒淫のためふらつきぎみの体で、妻は三人を見送った。昨夜、出迎えたときのように全裸のままで三つ指を突いて。
 開け放たれた玄関から流れ込むすがすがしい潮の香が、邸内のよどんだ空気に混じる。
「ミスター・コバヤシ、ひとつ訊いてもよろしいですか」
 オブザーバーに徹しきったSが笑みを浮かべて言った。
「どうして出さなかったのです? 土産がお気に召しませんでしたか」
「とんでもない。私なりの健康法です。『四十以上の人は、交接のみしばしばにして、精気をば泄(もら)すべからず』」
「『養生訓』ですな。大いにけっこう。経営者たるもの、体が資本ですから」
「では、先生。二時間後にお迎えに上がります。座談会、経営者面談、講演会とスケジュールが詰まっておりますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます」
「こちらこそ」Sは鷹揚に会釈した。「ミスター・ミウラ、ミスター・ルイス、よろしく頼みます」
 ところで、とコバヤシが声をひそめた。「今夜はいかがいたしましょう。お土産を、また楽しませていただくことはできますか」
「もちろんです」
「実は、お引き合わせしたい人物がいるのですが……よろしゅうございますか」
「ここでのマスターはあなたです。私は単なるオブザーバーだと申し上げたはずですが」
 コバヤシはひどく感激した様子でSの手を握って力強く振った。

量が増えそうなので、今回はここまでとさせていただきます。調子に乗って書いてしまって申し訳ありません。掲示板の容量を圧迫しているようで気が気ではありません。管理人さま、投稿者のみなさま、どうかご容赦のほどを。では、後日。

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