[1310] 亜希子13 投稿者:E-BOX 投稿日:2004/07/16(Fri) 02:21
「最近、調子が良いみたいだな」
テーブルの向かい側に座った夫が声を掛ける。
「ええ、もう・・・良くなったから・・」
篠塚亜希子は、伏せ目がちになる視線を再度夫へと戻し、微笑んで見せた。
「そうか、良かった」
夫もそれを見て微かな笑みを浮かべる。
亜希子の心が、音を立てて絞られていく。
それは、反省という言葉では到底埋める事の出来ない、深すぎる溝だった。
今はもう、医師である田沼とは関係を断ち切っている。
田沼に承諾を得た訳では無い。
自ら連絡を途絶えさせただけだ。
不安は在る。
執念深い田沼は、この先どんな行動に出て来るのか検討もつかない。あのネットの事を暴露してくる可能性さえ十分に在った。
夫がテレビを見ている。
平凡だが優しい夫。博打も女遊びも一切せず、唯仕事と家庭の為だけに生きている男。
そして、夜の営みは決して無い。
増してや、亜希子が今どんな男と不倫関係に在るという事など、夢にも思ってはいないのだろう。
あの田沼とは違う、別の男。
いや、新たな主と呼称すべきなのか。
亜希子はテーブルを立ち、食器を片付け始める。
このテーブルの上で、新たな男である須藤隆夫に犯された事も在った。
テーブルの四肢に両手足を縛り付けられ、大の字のまま仰向けに固定されて、猿轡を噛締めながら貫かれた記憶が在る。
擂粉木に似た野太い男根を、子宮の奥まで押し込まれた。
この夫は、そんな狂態に悶える亜希子を観た事は無い。
裏返されて再度テーブルに固定され、尻を打ち叩かれて吼えていた亜希子を知らない。
やがて剥きだしの肛門にオイルをたっぷりと垂らされ、根元までそれを呑み込みながら、近所中に聞こえる程の凄まじい叫び声を亜希子は放った。
尻に埋め込められる度に甲高く叫び、嗚咽を洩らしながら、奴隷として服従したあの日を、この優しい夫は知らない。
不意に涙が溢れた。
二滴、三滴とテーブルクロスがそれを吸い込んでいく。
それは後悔の念だったのか、それとも自分への戒めなのか。
亜希子自身でも分からなかった。
夫に気付かれぬ様、キッチンに向かった。
その時、亜希子の携帯の着信ランプが点滅した。
思わず亜希子は息を呑みそうになった。
無音にしているとはいえ、夫にだけは絶対に感付かれたくは無い。
その思いは変わってはいない。
盗み見る様に、その画面を観た。田沼では無い。
着信の相手は、あの須藤隆夫であった。
電話では無い。メールの着信だった。
住宅街の裏山方面に、そのラブホテルは在った。
もう日付はとうに次の日を迎えた真夜中過ぎ、そのホテルの一室に、ある男がいた。
連れの女は居ない。
男は円形のベッドに座り込み、まるで聞き耳を立てるかの様にその神経を隣接する部屋に向けていた。
田沼三郎は、篠塚亜希子を諦め切れてはいなかった。
住居であるマンションの前で、待ち伏せするかの如く車を止めていた。
何時間も待ち、帰ろうとしたその時、一台の車がその前に横付けされた。出てきたのは須藤隆夫であった。
そして、マンションから出てきたのは、あの篠塚亜希子。
田沼は、血が逆流するのを感じた。
その車を後を追った。必死だった。絶対に見失いたくなかった。
そして、車はやがてホテルの中へと吸い込まれた。
田沼も続いた。
車の中で息を殺し、二人が出てくるのを待った。
須藤が亜希子を抱きかかえる様にして目の前を通り過ぎる。
蒼白な亜希子の横顔がはっきりと見えた。ブラウスにスカートという軽装だった。こんな真夜中に、夫が寝た後でこの女は須藤とセックスを愉しもうとしているのか。
田沼は殴りかかりそうになる衝動を堪えた。
亜希子が唇を真一文字に噛締めていた。堪らなく淫らで美しい横顔だった。
部屋を確かめ、後を追う。
そして一人きりで聞き耳を立てている。
其れほどまでに、あの篠塚亜希子に嫉妬していた。須藤隆夫が許せなかった。
灰皿に煙草を押し付けたその時、隣から物音が響いた。
何かが倒れる鈍い音。亜希子らしい呻き声が洩れている。
思惑通り、このホテルの構造は薄壁だった。
須藤が何か言っている。低すぎてその内容は分からない。
時折、亜希子が呻く。ウッ、ウッという低い声だった。
(縛られている・・・間違い無い)
須藤の男根は痛い程に勃起していた。
不意にパン!という打音が洩れ響いた。
おうッ、という声が重なる。
須藤は狂った様に服を脱ぎ捨て、ベッドの上で全裸になった。
打音が断続的に響いている。
パン、パン、パンとリズミカルに鳴っている。
その音に連動して亜希子の叫びが放たれる。
「おうッ!・・・おう!・・んうッ・・ぐッ!・・おう!」
短く驚愕した様な響きの声だ。気張った声で短く吼えている。
あの盛り上がった真っ白い尻を須藤に平手で打ち据えられている事は容易に想像出来る。
須藤は壁にその耳を押し付けて、その続きを待った。
やがて亜希子は凄まじい呻きを洩らした。
地を這うような、長く気張った声。
男根を押し込まれている。正に挿入され、犯されたその声だった。
「あ・・・おおおおおッ・・・・!!」
号泣する様にその声のトーンが変貌する。凄まじい声を亜希子は放った。
一体何処に挿入されたというのか。
あの拷問にも似た喘ぎ声は、肛門を犯されているのか。
田沼は自身の男根を擦りながら目を剥いた。
タン、タン、タンッ、と肉のぶつかる重たげな音が響く。
そのリズムは早かった。肛門を犯すそれでは無い。
亜希子はその膣に挿入されているらしかった。
だが責めに喘ぐ声は、より激しさを増していく。
絶叫が、突かれながら途切れるといった感じだった。
喉を振り絞って喚いている。
もう壁から離れようとも、その叫び声は部屋中に響き渡っていた。
田沼は白目を剥いて射精した。
受け止めては貰えない精液が、自身の手に飛び散る。
亜希子は甲高い悲鳴を上げ、叫び続けていた。
尻を突き上げられるその打音さえ、声に掻き消されていた。
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