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北原夏美 四十路 初裏無修正

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[701] 品評会4 投稿者:ミチル 投稿日:2002/08/21(Wed) 00:13

真っ白な画面に、徐々にざわついた音が聞こえ始めた。軽い音楽、かすかに場内放送の声が響いている。ゆっくりと映像が現れた。スーパーマーケットの野菜売り場のようだった。
いきなりあられもない姿の美咲が登場するのかと思っていた私は、少しほっとした気持ちになって、フーと長い息を吐いた。
しばらく静止していたカメラは、ゆっくりと動き出し、カートを押して歩く一人の長身の女に近づいて行った。辛し色のタンクトップに、タイトフレアジーンズ。背中まで伸びた淡いブラウンのロングヘアが歩くたびに左右に揺れた。カメラはその女の後姿を、足元から頭まで、下から上へと舐めるようにゆっくりと捉えていった。
「奥さん?」
私の問いに、新見が「は、はい」と短く答えた。片時も画面から目をそらさない。
すばらしいスタイルをしていた。まさにはちきれんばかり、むっちりとしたお尻にジーンズがピッタリと張り付いていた。少しフレアな裾が、長い足をよりいっそう際立たせている。
美咲は陳列棚からキュウリを手に取り、カートに乗せた買い物篭に入れた。撮られていることには全く気づいていないようだ。
野菜売り場の突き当たりまで行って、始めて美咲がこちらを向いた。
「おおっ!美人じゃないか!新見くん。スタイルもいいし、へえーこりゃびっくりしたなぁ」と堀田が感嘆の声をあげた。
「どうも」と新見が気の無い返事をした。
「誰かに似てるなぁ。タレントの・・・あれなんだっけ・・・ヨネ、、なんとか・・・」
「米倉○子ですか」画面から目をそらさずに私が答えた。
「そうそう!似てるよなぁ」
重苦しい空気を少しでも軽くしようとしているのか、堀田が努めて明るく振る舞おうとしていたが、この状況の中で、それは無駄な努力としか思えなかった。
ただ、堀田の賛辞は決してオーバーなものではない。確かに、きれいな女であった。こんなことを言うと新見に失礼なのだが、あまりパッとしない容姿の新見にはかなり不釣合いに思える程の女だった。
レジで支払いを済ませ、品物を袋に詰めている美咲の横顔がアップになった。くっきりと長い睫に縁取られた瞳と、少しふっくらとした唇が、濡れたように光っている。タンクトップの襟元からわずかに顔を覗かせた胸の谷間が白く輝いていた。
その直後、画面が白くフェードアウトし、ゆっくりとタイトルらしきものが浮かび上がった。
『若妻牝奴隷・美咲』
充分に演出も施されているようだ。
“ゴクリ” 堀田の生唾を飲む音が聞こえた。
早くもこの時点で私の股間がムクムクと反応を始め、第一陣のカウバー腺液がペニスの先端を湿らし始めていた。

しばらくして、ソファに腰をかけている美咲が映し出された。
「すっごいのねぇ。まさかこんな部屋に住んでるなんて。あなたほんとは何やってる人?」
さっきのわれわれと同じように、辺りをキョロキョロと見まわす仕草をみせながら美咲が言った。
画面のソファはどうやら今われわれが腰をおろしているもののようだ。どういったいきさつかはわからないが、伊能が美咲をこの部屋に連れ込むことに成功していことは確かなようだ。この時点ですでに、“美咲を寝取った”という伊能の言葉に嘘偽りのないことがほぼ証明されたように思われた。
「ただのフリーターだよ。ここはね、おやじが仕事に便利なようにって買った別宅なんだ。ま、その実はお妾さんとの密会用だったんだけどね。で、おやじが去年亡くなって、オレが居ついちゃってるってわけ」
伊能の姿は見えない。お茶の用意でもしているのだろうか、カチャカチャと食器の音がしている。
「ヘー、資産家のご子息なんだ、伊能さんて」
「別にそんな御大層なもんじゃないよ。ああ、ワイン庫、そこの奥にあるから、勝手に入って見てくれていいよ。それと、専門書はあっちの本棚にあるから」
「ありがとう。じゃさっそく見せてもらおうかな」
「どーぞ。へへっ、今日は、お近づきの印に、これ開けちゃおっかなぁ」
伊能が一本のワインを持って、画面に現れた。
「すご~い!それ、シャトーマルゴーじゃない!ええ~っ!しかも94年もの!」
「これって有名なんだよね」
「そう、「失楽園」で心中の前にふたりで口移しで飲んだワインよ」
「さすがあワインコーディネーター、詳しいね」
「いいの?、そんな高いもの」
「ぜ~んぜん。美咲さんみたいな素敵な訪問者のために取っといたもんなんだから」
「あらあら、お上手だこと」

「美咲さんが趣味でワインコーディネーターの専門学校へ通っていることがわかったんで、そこの新入りの生徒のふりをしてロビーで声をかけたんですよ。うちに本格的なワイン庫や専門書の類がいっぱいあるよって言ったら、彼女是非見てみたいって。あっさりついてきました。親父の趣味が妙なところで役に立ちましたよ」
画面を見ながら、伊能がいきさつを説明した。

「それじゃあ、こうして出会えた偶然に、乾杯。なーんて」
「アハハッ、ありがとう、乾杯」
2人は伊能が用意した高級ワインの注がれたグラスを合わせた。
「先輩、新入生にワインの話、いろいろ聞かせてよ」
「いやだ先輩だなんて、あたしも始めて3ヶ月なんで、まだなんにも知らないのよ」
といいながらも、ここから延々と美咲のワイン講義が始まった。その間の伊能の聞き手ぶりは、それは見事なものであった。亭主ならこうはいかない。仕事で疲れて帰った後で、女房の趣味の話しを長々と聞かされるほど煩わしいものはない。吸い込まれるような大きな瞳をキラキラと輝かせ、聞きかじりのシロウトのワイン講義を、さもありがたそうに聞いてくれる美男子を前にして、美咲の気分が高揚しないはずがなかった。
それでも、始めは初対面の緊張感からか、どことなくぎこちない美咲の態度を伊能の巧みなトークが解きほぐし、ワインの酔いも手伝ってか、その声はどこか、媚びるような甘えを含んだものに変わって行った。
そして乾杯から15分、最初ローテーブルを挟んで向かい側に座っていた伊能が、いつのまにか美咲の隣に席を移していた。
「ええーほんとにぃ?!信じられない!」
「ほんと、ほんと」 「そうなのー。じゃあ一度見てみたいなぁ」
「今度連れてってあげるよ」 「えぇ!ほんとに?うれしい!」
伊能は、次ぎから次ぎへと女の琴線に触れる言葉を吐き続けた。会話のま、声の抑揚、顔の表情、そういった要素すべてが緻密に計算され尽くしていた。ときおり、美咲の手を取るなど、スキンシップによる接近も欠かさない。伊能は、徐々に徐々に美咲との距離を詰め、ついにはほとんど身体が密着するまでになっていた。

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