[740] 品評会9 投稿者:ミチル 投稿日:2002/09/15(Sun) 23:24
帰りの車中、新見は憔悴しきった表情で窓に寄りかかり、瞬きもせず、じっと中空の一点を見つめていた。労いの言葉をかけることもはばかられ、堀田と私はただ黙って後部座席にへたり込んでいた。こうして無言のままクラブに到着し、静かに散会、そうなることだと思っていた。ところが・・・。
車が伊能のマンションを出て10分程経ってからのことだった。突然伊能が車内のハンドフリーホンで電話をかけだした。
「もしもし、隆志?オレ」
『おお、竜一か』
「どうだい、そっちは?」
『そろそろクライマックスだよ』
「またいつものスペシャルコースかよ」
『そりゃ、決まってんじゃないの』
「好きだなあ、お前も。おい、ちょっと代わってくれよ」
『おお、ちょっと待って』
“どこへ電話しているんだろう”
てっきり自分達には無関係な場所への電話だと思っていた私は、次ぎに出た声に愕然とした。
『もしもし』
車内に、少し鼻にかかった女の声が響いた。
美咲であった。
窓に寄りかかっていた新見が、慌てて身を乗り出した。
「美咲?、オレだよ」伊能が美咲を呼び捨てにした。
『ああん、伊能さん』
「今日は隆志のヤツにたっぷり可愛がってもらったんだろ」
『はい。でも伊能さんに居て欲しかった・・・』
「また今度な。なあ美咲、今日隆志にされたこと、全部言ってみな」
少し間があいて、美咲が答え始めた。
『ブラシの柄を入れられました』
「どこに?」
『お尻の穴に・・・・』
「他には何を入れられた?」
『・・・・・きゅうりとか・・・・バナナとか・・・』
「へーすごいんだね。他にどんなことされた?」
『自分の指を入れさされました。』
「それもお尻の穴?」
『はい』
「何本?」
『二本です』
「ちゃんと入ったか?」
『はい、根元まで入って・・・入っているところを鏡に写して見さされました・・・』
「よかったか?」
『はい、感じました・・・・・』
「他には?」
『見ている前で・・・・』
「見ている前で?」
『トイレをさせられました・・・・』
「2種類あるけど、どっちの方?」
『大です・・・・大の方です』
「おい、そんな気取ってないでちゃんと言えよ」
『は・・・はい・・・ウ、ウンコしてるところを見られました・・・』
「見られてどうだった?」
『恥ずかしかったけど・・・・』
「恥ずかしかったけど?けど、どうだったの?」
『すごく・・・・か、感じました・・・ああ・・・・』
「そうか、そうか。美咲ぃ、お前、今言いながら感じてんだろ」
『あ、はい・・・感じます・・・・』
「ぬるぬるだろ、あそこ」
『はい・・・』
「ちょっと音聞かせてくれよ。おまんこに携帯もってって、指でこすってみて」
『はい』
“ぴちゃぴちゃ・・・・・くちゅっ・・・ぴちゃぴちゃぴちゃ”と、卑猥な音が車内に響き渡った。
「で、それから何されたの?」
『か・・・・・浣腸されました』
「何個入れられた」
『3個です』
「すごいねえ、美咲。よく頑張ったじゃない。それで今、なにされてるの?」
『またお尻の穴に、変なものを入れられています・・・・』
「変なものって?」
『いやん・・・・恥ずかしい・・・言えない・・・・』
「ちぇっ、なにを今さら・・・・ほら、ちゃんと言えよ」
『ああ・・・・プ、プチトマトです・・・・』
「あっはっはっはっ、やっぱりね。あいつ好きなんだよ、それ入れるの。で、今何個入ってるの?」
『四個入ってます。あ!・・・・・い、いま・・また・・・・あっ・・・・はいっ・・・・たぁ・・・・・』
「いいぞ、いいぞ。おい、ちょっと隆志に代わってくれ」
『もしもし、なんだ?』
「おい、そろそろいいだろ。トマトひり出させろよ。お前実況してくれ」
『よっしゃ。・・・・・・・・・はい奥さん、頑張ってトマト全部出して。うんと気張ってね』
『ん・・・ん・・・』かすかに美咲のイキむ声が聞こえる。
『そう、そう・・・・・お、赤いのが見えてきた。そうだよ。その調子・・・・・・ああっまた引っ込んじゃったぁ。さっきあんなに長くて太いのブリブリとひり出したんだからさぁ、これくらいわけないでしょう。さぁもう一回・・・・・・・そうその調子、その調子、おお、出そう、出そう・・・・・おおお!あ、出た!、ひとつ目が出たぁ。なぁ、竜一よ、これ五つとも出させたら、肛門処女いただくぜ』
「好きにしろ。どうせオレのは肛門には無理だからな。せいぜい可愛がってやってくれ。それじゃな隆志」そう言って、伊能が電話を切った。
新見が目を閉じて顔を天井に向け、大きな深呼吸を繰り返していた。
クラブに着き、屋上にある駐車場へと向かうエレベータの中、長い沈黙を破って新見に声をかけた。
「大丈夫かい?一人で帰れる?」
「ええ、まぁなんとか・・・・」
「それにしてもすごかったね」堀田が言った。
「はい・・もうなんていったらいいか・・・」
「今の心境は?今回の一件、後悔してる?」
「もう何がなんだか頭ん中がぐちゃぐちゃでよくわかりません。でもとにかく今は美咲のことが愛しくて愛しくて堪らないんです。こんなにあいつのことを愛していると思ったことはありません」
「あんなに裏切られても?」自分ならどうだろうか。響子があれだけの裏切りをして、今の新見のような気持ちになれるのだろうか。そう思いながらの質問だった。
「ええ、だからこそだと思います。もうどうしようもないマゾ男ですよ。なんか情けない・・・」
「そんなこと言うなよ。オレ達みんなそうじゃないか」堀田が新見の肩を叩いた。
「それにしてもわかんないもんだよな。あれだけのことがありながら、この一ヶ月間、君の前ではなんのそぶりも見せなかったんだろ」
「ええ、隠し事はできない女だと思ってましたけど・・・もう見事にやられちゃいました」
「今日は?」
「友達の家に行くから遅くなるって。よくあることですから、何の疑いも持ちませんでした」
「女はみんな女優だよ。その気になりゃ、男の観察眼など無力さ」そう言って、堀田が腕を組み壁にもたれかかった。
エレベータが屋上に着く。
「で、来月は掘田さんですね。今の気持ちは?」
車のある場所へ向かいながら、私が言った。
「うん・・・確かに伊能の実力はさぁ、今日でいやっていうほどわかったんだけどさぁ、何度も言うようだけど、うちのは絶対ああはなりっこないと思うんだよ。どう考えたってあいつがあんなことには・・・いや、やっぱり想像できないなぁ」言いながら堀田が首を傾げた。
確かに、新見の妻・美咲は伊能のような男に簡単にたぶらかされてしまう、そういう因子を持つ女、平たく言えば元来“浮気ぐせ”のある女であったがゆえ、今回の見事な成功があったといえるのだ。堀田の妻・紀子のようなセックスなどにはまるで興味がないなどと豪語する女に伊能の手管がどこまで通用するのか。 “絶対ああはなりっこない”という堀田の言葉もわかる気がした。
ところがである。
この一ヶ月後にわれわれが見ることになる紀子の狂態は、今日の美咲のそれを遥かにしのぐ、それは凄まじいものであった。
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