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北原夏美 四十路 初裏無修正

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[865] 品評会21 投稿者:ミチル 投稿日:2003/01/11(Sat) 01:52

やがて発せられるであろうその言葉の衝撃を受け止めるべく、全身を硬直させ身構えていた。
ところが次ぎの瞬間、伊能の口から、予想もしない言葉が飛び出した。
「すいません!」伊能が深々と頭を下げた。
「えっ?」
「響子さん、寝取る事はできませんでした!伊能竜一、初めての敗北です、高梨さん、どうもすみませんでしたぁ!」そう言って再び伊能が頭を下げた。
「え・・・、そ、そんな・・・ウソだろ・・・」
「いえ、ほんとです・・・」
「とか、なんとか言っちゃってえ。ほっと気を抜いたところで、突然、“さあ行きましょうか”なんて言いだすんだろ?なぁ伊能さん、こっちはこの一ヶ月の苦行でめいっぱいなんだからさぁ、からかいっこなしにしてくれよ」
「いえ、ほんとにほんとなんです高梨さん。いろいろチャレンジはしてみたんですけど、結局全部うまくかわされちゃって」
「・・・」
どうやら伊能の言っていることはウソではないらしい。予想外の結果に、私はなにも考えることが出来ず、ただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
「それにしても素敵な奥さんですよね。オレ、何度もアプローチしている間に、マジで惚れちゃいそうになっちゃいましたよ。こんな気持ちなったのは初めてです。高梨さん、オレがこんなこと言うのもなんですけど、もう変なことは考えずに、奥さん大事にしてあげたほうがいいんじゃないですか?あんな素敵な奥さん、他の男に寝取らせようなんて思ったらバチが当たりますよ。それじゃオレはこれで。三ヶ月間、どうもお疲れ様でした」と、伊能が踵を返し、小走りに立ち去っていった。

私は膝の力が抜け、へなへなとその場に座り込んでしまった。
「大丈夫ですか、高梨さん・・・」と新見が私の脇を抱え、ソファに座らせてくれた。
「あ、ああ・・・」
それじゃ、この一ヶ月の響子のあの様子は一体なんだったんだ?。体調が悪いからというにはあまりにも妙だ。それとも単に私が過剰に反応していただけなのか・・・。いいや、あの様子は只事じゃないはずだ・・・・。それにあの夜のうめき声は・・・。ううん、わからん・・・なにがどうなってんだ・・・?。とにかく今言える事は、響子は無事だったということだ。
不思議なほどに残念に思う気持ちは涌いてこなかった。それどころか、言い様もない明るい気分がふつふつと涌きあがって来るのを感じていた。私の中であれほど幅をきかせていた淫らな思いが急速にしぼんでいき、まさに目の前の霧が晴れるようにスッキリとした気分になっていた。もうあんな妄想とはおさらばだ。さ迷い続けた長い迷宮から、今やっと抜け出したのだ。この三ヶ月の間、私を支配した淫魔の呪縛がほどけ、私はありったけの清々しい空気を胸いっぱいに吸い込んでいた。
「それじゃ、残念会ということで、ちょっと一杯やってきますか」新見が言った。
「いや、今日はやめとくよ」
今はとにかく響子に逢いたい。その一心であった。


「そうだ、ひさびさにイチゴのタルトを買って帰ろう。あいつ好きだもんなあ」
帰り道、響子のお気に入りの洋菓子屋に立ち寄ってタルトケーキを買い、一目散に家へ飛んで帰った。
“マジで惚れちゃいそうになりましたか・・・素敵な奥さんか・・・へへっオレの女房だぞ・・・響子・・・今日は思いっきり抱いてやるぞ・・・” なんともいいようのない幸せな気分に浸りながら家路に着き、玄関のチャイムを押した。
ところが・・・。

いつまでたっても返事がない。
“なにをぐずぐずしているんだ”
二度三度と押して見たが、同じである。苛立って自分の合鍵でドアを開けた。
「おーい響子ぉ、イチゴのタルト買ってきたぞぉ」家の中はひっそりとしていて、響子が出てこないばかりか返事もない。
「なんだいないのか、どこへ行ったんだあいつ」
今日ほど響子のことを愛しいと思ったことはない。今すぐにでも逢いたい。逢って抱きしめてやりたい。だがその肝心の響子がいない。
“あ、そうだ、おばあちゃんちかぁ、おお、おお、きっとそうだ”
そう思い、すぐさま響子の実家に電話を入れた。
「もしもし、徹です」
『あら、徹さん?どこから?』
「うちからですけど」
『え?今日は遅くなるんじゃなかったの?』
「ええ、それがちょっと予定が変わっちゃって」
『あらそうなの。響子ね、用事があるから詩織ちゃん預かってくれって、さっき』
「どこ行くって言ってました?」
『大学の時の友達に会うようなこと言ってたけど』
「そうですか・・・、僕にはなんにも言ってなかったんですけど・・・。じゃ一度携帯に電話入れて見ます。すみません、それじゃ今から詩織迎えに行きますんで」
『うちだったらいいのよ。詩織ちゃん明日幼稚園休みだし、今日はこっちに泊まらせても。響子もすぐ帰るでしょうからたまには夫婦水入らずの週末もいいんじゃない?』
“パパぁ、しいちゃんおばあちゃんち、泊まりたあい”電話の向こうの娘の声が聞こえた。
「そうですか・・・じゃお言葉に甘えて・・・。明日、なるべく早くに迎えにいきますんでよろしくお願いします」
『はいはい、それじゃ、おやすみなさい』

電話を置いた後、すぐに響子の携帯に電話を入れた。が、繋がらない。たまたま地下にでも潜っているのだろうと、その後何度も掛け直してみたが、その度、不通を知らせる空しいメッセージが響くだけであった。
「チェッ、なにやってんだ響子のやつ!」
いつでも、どこでも、思ったときに欲しい相手をつかまえられるという便利なシロモノだけに、繋がらないときの携帯電話ほど歯がゆいものはない。私は、胸底から頭をもたげて来るわけのわからない不安に揺すり上げられ、じっとしていられなくなってきていた。
“まさか・・・?!”
『オレ、何度もアプローチしている間に、マジで惚れちゃいそうになっちゃいましたよ。こんな気持ちなったのは初めてです』ロビーでの伊能の言葉が甦った。
“伊能のヤツ・・・まさか響子と・・・”
『奥さん、出てっちゃったみたいなんですよ』さらに新見の言葉が頭をよぎる。
“響子ぉ・・・どこいっちまったんだ。電話の一本くらいよこせったらっ!あのバカッ!”

そのときだった。電話が鳴った。
“響子だ!”
私は、慌てて受話器を取った。
「もしもしぃ!どこにいるんだ響子!心配したぞ!」
『高梨徹さんですね』ひどく落ち着いた男の声だった。
不吉な予感が全身をかけぬけた。私の中の危険予知本能のようなものが、この電話の主と関わることに激しい拒否反応を示していた。
果たして私の予感は的中し、この一本の電話を境にして、この物語はとんでもない方向に転がっていくことになるのである。

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