勇輔 12/8(金) 07:05:00 No.20061208070500 削除
私の愛車の車検が近付き、もう一度車検を受けようか思い切って新車に変えようか迷っていた頃、買い物に出掛けた妻がケーキを提げて帰って来ました。
別段ケーキを買ってくるのは珍しくありませんでしたが、3人家族なのにこの日は4個入っています。
「3個だと箱が少し大きい感じがして、運転中に動いてしまって崩れそうだったから」
しかし私には、妻が4個買ってきた訳が分かっていました。
それは、今までは芸能界に興味を示さなかった妻が、なぜか韓流ブームには嵌まってしまい、車を買い換えて欲しくてここのところよく来る、今の車もお世話になったディーラーの新しく係りになった若い男が、妻の好きな韓流スターに似ていると以前妻が嬉しそうに言ったことがあり、その彼が今日カタログを持って来る事になっていたのです。
勿論妻も男性に興味が無い訳ではないのでしょうが、今まで一度もそのような素振りを見せた事はありません。
しかし彼が来る日は今までと違い、心ときめくのか普段よりも念入りに化粧をし、彼が来る時間が近付くと、今度は姿見に全身を映してチェックを始めます。
「甘い物は駄目でした?」
「いいえ。どちらかと言うとお酒が好きで、普段あまり甘い物は食べ無いのですが、ケーキだけは大好物です」
「良かった」
『何が良かっただ。以前彼がケーキは好きだと言っていたのを覚えていて、わざわざ買って来たのだろ?』
しかし妻には浮気までする気は見られず、ちょっとした恋心だと分かっていたので私は微笑ましく見ていましたが、その時恐ろしい考えが頭に浮かびます。
『もしも彼と桜子が浮気したらどうする?離婚するか?それとも弱みに付け込んで、今までさせてもらえなかった事を色々させてみるか?麻衣はおいて出て行けと脅せば、きっと桜子は何でもするぞ』
しかし妻の性格からして、現実には浮気する事など絶対に有り得ない事で、万が一そうなったら私も嫉妬に狂ってそれどころでは無いでしょう。
この日は彼が来た事で恋をしている少女のような気持ちになっていて、夜になって誘ってみると、やはり断わられてしまいました。
『一生このままの状態で良いのか?桜子に弱みが出来たら変わるぞ』
いくらそのような事を考えてみても、結局妻に限って浮気する確率は限りなく0に近くて現実的ではありません。
それに妻はしっかり者で優しくて、セックスを除けば私にとって申し分のない妻なので、そのような事になって妻との関係が壊れる危険性を考えれば、このままの暮らしが一番良いと思い直しました。
何より想像の中だから良いものの、実際にはそのような事を許せるほど、私は寛大では無いでしょう。
私はこのような事を真剣に考えていた自分が可笑しくなり、笑い飛ばしましたが妻と彼が抱き合っている姿を想像すると、不思議な興奮があったのも事実です。
この時はそれが何から来る興奮なのかは分かりませんでしたが、その3日後に私が得意先から帰ると彼の車が止まっていて、その時にまた同じ様な興奮を覚えてしまいます。
その時2人は事務所にいて、私の車が入って来たのにも気付かずに話していました。
少し背伸びをして下半分が擦りガラスの窓から目だけを出して覗くと、妻はテーブルを挟んで向かい側に座っていたのですが、娘を幼稚園に迎えに行く前で、今日はたまたま短いスカートを穿いていたので、彼から見えてしまわないように、スカートの裾に手を置いて仕切に気にしていました。
しかしその仕草がかえってその部分に気を惹いてしまい、彼の視線が時々下がるのが分かります。
「健司さんは恋人がいるのでしょ?」
「いませんよー。30も手前になると友達が次から次へと結婚するので、少し焦ってしまいます」
「うそー。そんなに格好いいのに?健司さんはどのような女の子が好みなの?」
「優しくて可愛くて、奥さんの様な女性が良いのですが、なかなか縁が無くて」
「流石営業マンね。口が上手いのだからー。それにしても主人は遅いわね」
事務所とゆえども、妻が個室で男と2人だけでこの様な話をしているのを初めて見て、私は不思議な興奮を覚えていました。
『俺は男と馴れ馴れしく話す桜子に嫉妬している?』
嫉妬からは怒りだけを覚えるものだと思っていましたが、下半身が熱くなるような興奮を覚える事もあるのだとこの時知ります。
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