勇輔 12/10(日) 16:09:24 No.20061210160924 削除
帰りは翌日の昼頃になると言って出て行き、マンガ喫茶で時間を潰していましたが、勢いでこのような事をしてしまったのを悔やみ始めていました。
『彼と桜子が最後までしてしまったら。いや、セックスに関しては堅過ぎるほど堅い桜子にそれは無い。あってもせいぜいキス止まりだ』
しかしマンガを読んでいる余裕もネットをしている余裕も無くなって、ただ目を瞑って考えていましたが、浮かんでくるのは妻と彼が抱き合ってキスをしている姿ばかりです。
『やはり駄目だ。キスだけでも堪えられそうにない。それに酔った彼がそれ以上の行為をしてきて、飲めない桜子も酒の相手をして少し酔ってしまっていたとしたら』
彼が仕事を終えて我が家に来たのが8時だったので、当初の予定では妻が娘を寝かせるのに30分、娘が眠ってゆっくりと彼の相手が出切るようになって打ち解けるのに2時間、何か起こるとすればその後30分以上は掛かるだろうと思っていたので、得意先の社長の体調不良を理由に11時には家に戻って2人の様子を伺おうと思っていたのですが、心配になった私は早くもマンが喫茶を飛び出していました。
『生理前で疼いている桜子が、キスをされたらそれだけで済むのか?』
空き地に車を止めて家に着いたのは、結局予定よりも1時間も早い10時でした。
私は彼への接待に居間を選んだのは、隠れて中を覗き易い位置に窓があったからで、この時間ではまだ何も起こっていないだろうと思いながらも、2人の様子を伺おうと思って覗くと、テーブルに一合ほどしか減っていない一升瓶と、あまり手を付けられていない酒の肴が数品置いてあるだけで、そこに2人の姿はありません。
慌てて玄関に回ると鍵が掛けられていたので、棟続きの事務所のドアを合鍵で開けて入って行くと、奥の和室から篭った声が聞こえます。
「奥さんの最後の瞬間の声や表情は、凄く可愛かったですよ」
「意地悪。恥ずかしいから言わないで」
『最後の瞬間?最後までしてしまったのか?本当に最後まで』
上半身は怒りに震えているのですが、下半身は興奮で熱くなっていました。
「そんなのいや。恥ずかしいからさせないで」
「ほら、こうやって」
「駄目。駄目よ」
また始まってしまうと思った私が勢いよく開けると、暗い室内に明かりが入り、パンツ一枚で仰向けに寝た彼の横に、同じくショーツ一枚の姿で添い寝した妻が右手首を掴まれて、パンツの上から触らされていました。
「あなた!」
私が部屋の明かりをつけると彼は起き上がって正座し、妻は今まで彼の下半身を触っていた手で胸を隠して泣き出しました。
「いいから続けろよ」
「ご主人、許して下さい。つい出来心で」
「おまえは出来心で、お得意さんの女房に手を出すのか!明日支店長を連れて来い!」
彼は慌てて服を着ると飲酒運転を気にする余裕も無く、逃げるように帰っていきました。
「あなた、私」
「出て行けよ。今すぐ出て行けよ。麻衣は俺が育てる」
勿論本気ではありません。
妻が恋心を抱いているのを知っていながら注意するどころか、このようになるよう仕向けたのは私なのですから。
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