[2410] 再婚男の独白 投稿者:風倫 投稿日:2003/11/04(Tue) 23:44
彼女は28歳。もともとはモデルでしたが、20代後半からテレビ番組のレポーターをしたり、雑誌にエッセイを書くようになりました。名前を聞けば、ご存知の方もいるかもしれません。日本人離れした顔立ちと肢体で、業界の一部では評判の女でした。
ある仕事で出会った私は、彼女にひと目惚れしました。華やかな見た目とは裏腹にとてもガードが固い彼女は、食事の誘いには気軽に応じてくれるものの、そこから先はなかなか許してくれません。1年半にわたるアプローチの後、ようやく念願が叶ってベッドを共にしたときは感激に打ち震えたものです。
何もかもが、すばらしい身体でした。逢瀬を重ねるたびに私は彼女に溺れていきました。当時、私は結婚していましたが、いくつかの修羅場の末に離婚し、彼女と再婚することになったのです。
結婚式の日。ウェディングドレス姿の彼女は信じられないほど美しく、輝いていました。周囲の羨望と嫉妬の視線を浴びながら、私は得意の絶頂にありました。
しかし、幸せに酔いしれていられたのは、ほんの短い時期でした。いい女を妻に迎えた男の宿命でしょうか。結婚して以来、私は自分でも異常と思えるほど嫉妬深くなり、彼女の行動に干渉するようになりました。
少しでも帰りが遅くなると、誰と何をしてきたのか、詳しく報告させます。携帯の着信履歴やメールもチェックします。あやしい痕跡はまったくありません。私は安堵する一方でどこか物足りなさを感じるという、屈折した感情に鬱々としていました。
挙式から3ヵ月を過ぎた頃より、私の矛先は彼女の過去へと向けられるようになりました。さっぱりした性格の彼女は、尋ねられれば昔の男のことを屈託なく話します。
「レーシングドライバーの彼は週に2日、泊まっていったわ」
「…セックスはしたんだろう?」
「当たり前じゃない、付き合っていたんだもの」
「うまかったのか、そいつは?」
「早撃ちマックよ。最中に私がキスをすると『やめてくれ。そんなことすると…うっ』とか言って、すぐ出ちゃうの。ふふふ」
もちろん、昔の話です。これだけの女なんだから、過去に何もないほうがおかしい。そうは思いつつ、私は激しい興奮に駆られ、無我夢中で彼女を責めるのでした。
「そのたびに、たっぷり中出しさせたんだろうっ、どうなんだ!」
というのも、初めて寝た夜に彼女は「私、コンドーム嫌いなの、かゆくなっちゃうから」と宣言し、ずっとピルを常用していることを告げたからです。
「ああ…そうよっ。いつもいっぱい出されたわ。…でも、こんなに長くて激しいの初めてなの! あなたが最高!」
そんな言葉を聞きながら、私は彼女の子宮めがけて射精するのでした。
今年の7月。彼女が仕事で北海道へ4泊5日のロケに出ることになりました。同行する担当ディレクターの北村という男は以前、彼女にしつこく言い寄っていた男です。私自身は面識の
ない男ですが、それを私は例によって寝物語で彼女から聞いていました。
「毎週、花束が届くの。はじめは相手にしてなかったけど、そういうのってやっぱり嬉しいものよ。ああ、それから看病してもらったこともあったっけ」
仕事中に彼女が体調を崩したとき、北村はロケを中止し、ホテルの部屋で付きっきりの看病をしたというのです。身体まで拭いてもらったという話に、私は愕然としました。
「といっても背中だけよ。あの人には、変な気持ちはなかったと思う」
彼女はそう笑いますが、私は同じ男として惚れた女のしどけない姿に、平然としていられる人間がいるとは思えません。
「あなたとの結婚が決まったと聞いて、何度も連絡してきたわ。『どうしても僕じゃダメなの?』って。そのうち涙声になっちゃって。でも最後は『君が幸せになるのなら、祝福するよ』って言ってくれた。いい人でしょ?」
仕事とはいえ、そんな男と旅に出るなんて。内心ざわつくものがありました。しかし、物わかりのいい亭主を必死で演じようとしていた私は、こう言ったのです。
「そんな人が一緒なら安心だな。気をつけて行ってこいよ」
このときの選択を私は今、心から悔やんでいます。「愛してるのは、あなただけ」と笑って空港へ向かった彼女は、やがて私に向かって「じゃあ、どうしてあのとき止めてくれなかったのよ!」と泣き叫ぶことになるのです。
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