黒熊 9/1(金) 22:37:46 No.20060901223746 削除
男は妻の両手を握り締めたまま、そっと妻の表情を覗き込みます。
「由紀子さん…僕は本当に、由紀子さんの事…心から愛しているんだ…き
っと…幸せにしてみせるから…」
私と妻が交際している時期でも告げた事のないようなセリフを、男は優し
く囁くように告げるのです。それだけで、私の心は打ちのめされてしまい
そうでした。
男性器の大きさも然ることながら、この男は妻を悦ばせる術を知り尽くし
ているように思えるのです。セックスのテクニック然り、愛情表現然り、
そして優しさと強引さ――到底私には真似の出来ないことであり、そして、
この男は妻が本当に求めている物全てを持ち合わせているように思える
のです。
そうやって私が情けなくも敗北感に打ちのめされていた時、男が次の行動
にでました。男は優しく握り締めていた妻の手を、そっと自分の股間へと
宛がわせたのです。
「…えッ?…アッ…いやッ!…やめてッ!」
男の行動に、妻はその手を振り払うような素振りを見せます。
「由紀子さんッ、逃げないでッ…お願いだからッ…」
男は妻の手を股間に押し付けたまま、真剣な眼差しで妻を見詰めます。
「勿論、セックスが全てじゃないって事は僕にも判ってる…でも、お互い
の愛を確かめ合う上では…それも充分必要なことなんだよ…そして、愛が
深ければ深いほど…きっと、感じる快楽も大きくなってくると思うんだ
…」
「そ…そんなこと…それとこれとは…」
それとこれとは違うと、妻は言おうとしたのでしょうか。しかし男は妻の
言葉を遮るようにして話を続けます。
「由紀子さんに対する僕の愛の深さがわかるでしょう?…僕は…凄く気
持ち良かった…そしてきっと、由紀子さんも…旦那さんとの行為以上に…
感じてくれてたはずだよね?」
「だ…だから…それとこれとは…」
「由紀子さんも僕の事「好き」って言ってくれたじゃないか…」
「…………………」
「ほら…本当はもう判ってるんでしょう?…由紀子さんにとって、僕と旦
那さん…どちらが大切な存在なのか…」
男はそう言うと、股間に宛がわせた妻の掌で、ジーンズ越しの膨らみを撫
で上げさせるのです。
「…ッ…ァアァッ…」
妻の唇から小さな吐息が零れるのが判りました。そして既に、妻は男の手
を振り払おうとする素振りすら見せないのです。
このままだと、きっとこの二人はこの場で愛を確かめ合ってしまうと私は
直感しました。もはやこの二人の間には私の入り込む余地などないのでは
ないかと、情けなくも思ってしまったのです。
「由紀子さん…」
男はそう言って、股間に宛がわせていた妻の手から自分の手を離しました。
しかし、妻の手は依然と男の股間の膨らみを撫で上げているのです。
「僕の気持ちを受け止めてくれるね…」
男が妻の身体を正面から抱き寄せ、抱きしめます。妻はと言えば、もはや
男の成すが侭になってしまっています。
男はそれが暗黙の了解とばかりに、妻の身体をソファーへと押し倒します。
しかし、その時です。
「いやッ!…だめッ!…駄目よッ!」
妻は男の身体を力強く押し返しました。男は唖然とした表情で妻の表情を
見詰めていましたが、徐々にその表情は憮然としたものに変わっていきま
した。
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