黒熊 11/16(木) 00:18:45 No.20061116001845 削除
ソファーに腰を下ろし多少落ち着きを取り戻すと、未だにテレビの画面に
は妻と男の痴態が映し出されている事に気付きました。
『アアッ!…アアアンッ!…イイッ!…イイのッ!…アアッ!…ヒロユ
キくんッ!…わたしッ…わたし、またイッちゃうッ!…アアアアンッ!…
イッ!…イクッ!…イクッ!…イクウゥゥゥゥゥッ!!』
スピカーからも依然と妻のあられもない善がり声が響いています。しかし、
突然の出来事に必死で赦しを乞う二人は、その事さえ忘れてしまっている
ようです。
「早く止めろッ!」
私は目の前で土下座をする二人に向かって吐き捨てるように言いました。
すると二人は「えッ?」とでも言いたげな表情で顔を上げます。未だに私
の言ったことの意味が理解できていないようでした。
「早くその厭らしいエロビデオを止めろと言ってるんだッ!」
私が語気を強めながら言うと、妻はようやく言葉の意味が理解できたよう
で、「ヒッ…!」と声を詰まらせながらテーブルの上のリモコンを取り上
げ、あたふたと停止のボタンを押しました。そしてすぐさま額を床に擦り
つけ「ごめんなさいッ…ごめんなさいッ…」と詫び続けるのです。
「一体どう言うことだ?…判るように説明してくれ…」
私は懸命に感情を抑え込み、どうにか冷静な口調でそう問い掛けていまし
た。しかし、私の問い掛けに二人は土下座をしたまま何も返す事ができま
せん。
「由紀子ッ!…どうしてこんな男が俺の家に居るんだッ!」
「そッ…それはッ…」と私の問いに声を返したのは妻ではなく男でした。
「お前は黙ってろッ!…俺は由紀子に聞いてるんだッ!」
私は男を威圧するような態度で言います。すると妻がゆっくりと顔を上げ
ました。
「わ…判りました…私が…ちゃんとお話ししますから…もう彼は帰して
あげてッ…は、早く病院に行かないと…」
「そんな事はどうでもいい!…それとも、そんなにこいつの事が心配
か!?…俺達夫婦がどうなるかも判らないのに…それよりもこいつの事
の方が大事だとでも言うのか!?」
「そ…そんなことは…」
妻が何か言おうとした時、今度は男が顔を上げました。
「ぼ、僕のことだったら心配しないでください…このくらいの傷…何とも
ありませんから…」
そう言う男の顔は見るも無残に腫れ上がり、未だに止まらない血がポタポ
タと床に滴り落ちています。それでも男は必死に妻の事を庇うように、心
配しないでと繰り返すのです。
「そんな事言っても…」と妻も男の怪我が心配なようで、しきりに私の顔
色を覗っていますが、怒りの収まらない私は意地でも男を帰すことはしま
せんでした。
そして今の私には何を言っても無駄だと判断した妻は、ようやく私の質問
に答え始めるのです。
ちゃんと完結するよう期待してますー!