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北原夏美 四十路 初裏無修正

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川越男 9/25(木) 01:10:55 No.20080925011055 削除
「社長……社長!」
あのままソファーで眠ってしまった私は、我が社の最古参の鈴木さん(57歳)に起こされました。

「ん、んーっと…ああ、鈴木さん…おはようさん」

大きく伸びをしながら鈴木さんを見ると明らかに呆れ顔でした。

「社長、あんたもガキじゃないんだから、酒飲んで潰れる年かね」

この鈴木さん、元々は私の師匠のような存在で、我が社でただ1人私に意見出来る貴重な存在なんです。(ぺーぺーの頃はよく愛の鉄拳を頂いていました)

「いやー面目ない。ちょっと飲み過ぎたかな」

そう言って側にあるテーブルを見ると、昨夜買ってきた500㎜のビール、合計10本が空き缶に変身しています。私は苦笑いしかできません。

「まったく…そんなに飲んで運転できるのかい?今日は朝1でⅩⅩⅩ(某マンスリーマンションです)に引き取りがあるだろう」

「あっ、そうだった。今何時?」

すっかり寝ぼけていた私は慌てて起きあがろうとしました。
「危ない!」
「うぉっ」

どうやら昨日のビールが効いてるようで私は無様にも体制を崩しソファーに逆戻りしてしまいました。

「そんな状態で運転なんか無理だ」
「いやしかし…」
「…………」

鈴木さんは大きく溜息をつくと、「俺が代わりに行くよ…先方にはその旨伝えておいてくれ」と言い出て行きました。

まったくお恥ずかしい限りです。一番やってはいけない事を社長自ら進んでやるとは… ふと時計を見ると7時半。(よかった、従業員が出社し始めるのにまだ時間があるな…鈴木さんでよかった)

その時、テーブルに置いていた携帯がなりました。開いて見ると妻からです。しかし私はとらずにテーブルに戻しました。電話だろうが急用だろうが昨日の事を説明しない内は一切話すつもりはないのです。



午前8時45分。朝のミーティングの時間です。

今日の予定を主任である鈴木さんが簡単に説明しています。
私はと言うと、完全な二日酔いで眉間にシワを寄せながら我慢して参加しています。その時、チラッと鈴木さんが私の所を向いて締めを要求しました。私は小さな×を指で作って(お前が締めろ!)のサインを出します。
『ハァー、ヤレヤレ』っと鈴木さんの心の声が聞こえた様な気がしましたが、うまく締めてくれました。


さて、久々に会社に残る事になった訳ですが、考えてみるとこの会社には事務の妻と私しかいない事になります。いつもなら新鮮気分を味わえるのですが、今日に限ってはそうも言えません。

(さて、どうでるかな。俺からは話しかけてやらないぞ)

本当鈴木さんの言う通り、私もまだまだガキです。しかし、何かハッキリしない態度を取る妻を優しく受け入れられる程私は器の大きな人間ではないのです。

そう思いながら事務所に入って行きました。

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