川越男 9/25(木) 03:41:45 No.20080925034145 削除
中に入ると妻は伝票整理をしていましたが、私を見ると手を止め何か言いたげな顔をしています。
「…………」
(ふん、何だよ!言いたい事があるなら言えばいいじゃないか!)
心の中で毒づく私ですが、言われたら言われたで無視を決め込むつもりなので結果は変わりません。が、やはり言い訳を言ってでも説明は聞きだい気持ちもあり複雑です。
私は黙って自分の部屋に入って行きました。外回りがないからと言ってダラダラする時間はないのです。私は痛い頭をかかえながら在庫チェックを始めました。
午後12時。
二日酔いの為、朝は食欲がなかったんですがこの時間帯になりようやく私の内蔵も復活してきました。
いつもなら適当に車で定食屋に入るんですが、今日は会社にいる為そうもいきません。おまけに会社の周りは畑やら林やらでお店は車でしか行けない距離にあります。なもんで妻はいつも弁当持参で出社するのです。
私も妻に弁当を勧められましたが、冷めたご飯というのが駄目な男なので断った経緯がありました。
いくらか食欲が沸いたと言ってもまだアルコールが完全に抜けきってないので車は使えない。となると、残るは出前。
そう思い出前のチラシを探しますが………ない。 焦っていろんな所を探しますが…………ない。
気が重いが妻に聞くしかない。
「なあ、出前のチラ…シってあれ?」
ドアを開け、声を掛けると居るはずの妻がいない。トイレでも行ったか?と思い外に出てトイレに向かおうとした時、トラックの助手席に妻がいます。こんな暑いのにエンジンもかけずに窓を締め切って電話をしています。
なにやら感じる物がありました。私は妻に気付かれないように裏から回り込み、足音を殺して助手席側のドアに耳をつけ会話を聞きました。
「ええ…そうなの…だから今日は来ないで…うん…そうね…ええ…ごめんなさい…それじゃあ…」
フーと息をついて妻がドアを開けました。 ガチャッ、
「!!!あ、あなた」
妻が驚愕の顔でこちらを見ています。
「誰に電話していた!コラ、言ってみろ!」
「ちょ、ちょっと待ってあなた。何か勘違いしてるわ」
「勘違い?いーや、俺は勘違いなんかしてないさ。わかってんだよ…英夫って野郎だろ!」
その瞬間でした、妻の顔が明らかに変わりました。しかし、徐々にその顔は怒りの表情に変わっていきます。
「そんなに相手が知りたい?なら掛けてみればいいじゃない!」
そう言って携帯を私に差し出します。私は(上等じゃねーか…開き直りやがって)と妻から携帯を奪うと履歴を見ました。
(着信は…ない。なら発信は……淳子?…………ははーん、女の名前で登録してたのか。随分用意のいいこった)
発信時刻も一致、間違いない。私は意気込んで掛けました。が、予想を裏切り出た相手は女性でした。
『もしもし?ねえ、どうかしたの?』
軽いパニックになった私は妻の携帯からかけたのにも関わらず「すいません間違えました」と言って切ってしまいました。
-やっちまった-
「信じられない…私を疑うなんて…」
「あっ、いや、」
妻は私から携帯を奪うと走って事務所に行ってしまいました。英夫だと決めてかかっていた私には相手が女性という選択肢は全くありませんでした。
これからの事を考えると鬱になりそうです。私は歩きながらどうやって妻に謝ろうか考えながら事務所に向かいました。
が、これからこの後私は知る事になります。この電話が破滅へ鍵であったと…
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