川越男 10/6(月) 11:59:11 No.20081006115911 削除
風呂から上がった私は、半ばヤケになりつつありました。
息子の話には、私の‘夫として、人としてのの感情’を吹き飛ばすに充分な威力がありました。
「…悪いが夕飯はいらない…」
夕飯を並べ始めた妻は私の顔をチラッと見て「そう」と一言だけ言いました。私の知っている妻は何かしら気を使いどうしたのか心配してくれる人でした。小さな事ですが、私にとっては重要な変化と言っていいでしょう。私は、もう何も言わずに寝室へ向かいました。
-ガチャッ-
2時間程経った頃、妻が寝室に入って来ました。何も言わず、私の方を見る事もなく着替えを始めています。別段変わった事のない行為に見えますが、今の私は‘ある’違和感に気づきます。
「風呂には入らないんだな?」
妻がビクッとしました。顔は背を向けていて確認できませんが恐らく…
「…今日は…汗かかなかったから…」
「ふ~ん、日中30度以上のこの糞暑い日に汗をかかないのか。そりゃすごい」
「そ、外はそうでも、事務所の中は空調がきいてるから」
「へぇー、前に言った事と随分真逆の事を言うもんだね」
「何が!」
「おいおい、そんなカッカしなさんな。ほら、前に言ってたろ『事務仕事だって汗はかくのよ』って。今、お前が言った通りの事を俺が言った時にな」
「……………」
「まっ、どーでも良いけどね』
「…によ…」
「はぁ?何だって?」
「分かったわよ!入れば良いんでしょ?入れば!」
「どーぞ御勝手に」
妻はそう言うと、恐ろしいくらい引きつった顔で私を睨み、派手にドアを閉めて出て行きました。
「なーにが『汗かかなかった』だ。かきすぎてもう入ったから必要ないんだろうが」
恐らく妻は、空いた時間に汗をかきに行き、その場で汗を流したのでしょう…誰とかは言わずとも。
しかし、ちょっとやり過ぎたかな…とも思いました。が、せめて今日1日はだけは1人で居たいのです。そう、色んな事があり過ぎました。今日1日で4、5歳は確実に老けたでしょう。
(嘆くのは今日だけにしよう…明日からは…明日からは)
いつの間にか出ていた涙を拭う事なく眠りにつきました。
そう…明日から、【戦争】が始まるんですから。
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