川越男 10/31(金) 20:13:55 No.20081031201355 削除
『そう。欺きたくないねぇ…』
『だから、、もう、敦也君とは会わないわ』
【敦也】これがクソガキの名前のようです。別れを決めた妻の決意が【あっちゃん】と呼ばない所に現れています。が、それと同時に、私には妻の…いや、女のしたたかさを感じずにはいれません。
『へぇー、今度は本気なんだ』
『……ごめんなさい』
『ねえ、ひとつ聞いても良い?』
『何?』
『またどうして急に別れようと思ったわけ?』
『えっ、そ、それは…』
『確かに、ここ最近の果歩さんってば思い詰めた顔したりする事がたまにあったけど。何?ホモ亭主に感づかれた?』
(ホモ亭主?このガキ、普段俺の事をそう呼んでやがるのか!)
『止めてよ、ホモ亭主だなんて!』
『あれれ?おかしな事言うね。果歩さんじゃん、最初に言ったのは』
(何だって!!果歩が言ったのか!ホモ亭主だと、、ふざけやがって!)
『ちょ、ちょっと、そんな事言ってないわよあたし!』
『忘れたの?イク前になると色々叫ぶんだよねぇ~果歩さんは』
『…………』
『途中で止めるとさぁ、髪振り乱して叫ぶんだよね』
『…やめて…』
『続きは旦那とやればって言った時だよね、顔なんか真っ赤になりながら「ホモ亭主はあたしに興味なんかないのー!」とか「短小チンポはいらない!あっちゃんのがいい!」って言っちゃってさぁ』
『イヤ!もう止めてよ』
『何がさ?ホントの事じゃん、まさか忘れたとは言わさないぜ』
『だ、だから、あの時は私も…どうかしてたの…本音じゃないわ…あんな状況、普通じゃなかったもの』
『言い訳だね!』
『違うわ!』
『そうかよ…なら聞くぜ!本音じゃないって言うけど、自分で矛盾してると思わない?』
『どう言う事?』
『俺が言わせたわけじゃないって事さ』
『…意味が分からない』
『人間は思ってもいない事や考えてもいない事を口には出さないもんだよ、果歩さん?』
『…………』
『どうしたの?言い返せば?』
『…………』
妻は言い返しません。いや、言い返せないのです。悔しいけど、このクソガキの言う事も一理あると私も思います。
私は不能者じゃありますん。ましてやホモでもありません。確かにここ何年かはひと月にHなしの時もあります。しかし、これには理由があります。妻が嫌がるからです。
拒否までは行きません、言えば応じます。でも、明らかに゛仕方なく応じてる゛様な感じなんです。口には出しませんがそうなんです。私も最初はそれでもしてました。始まれば妻も感じてくれたし。しかし、終わって後処理をしている妻は、大きく溜め息を吐くと一言もなしに私に背を向け眠りにつきます。私は、情けなくなりました。惨めさに打ちのめされたのです。一時期は、離婚すら考えました。しかし、夫婦生活にSEXが大事だと言っても全てではありません。普段の妻は、仕事に家事・育児と大変な思いもしています。それなのに、一言も愚痴を言わず一生懸命な妻を、私は尊敬し愛していました。
Hには淡白な妻に、私なりに気を使っていたのです。それなのに、まさかあんな風に言うなんて…
『まあいいや』
クソガキの言葉で思考が戻りました。
『別れてもいいよ』
『本当?』
『うん。俺だって馬鹿じゃないよ(笑)このまま引き止めて楽しみたい所だけど…ホモ亭主にバレて、慰謝料なんか請求されたらたまんないからね』
『そんな…あの人は気付いてないわ…まだ…』
『えぇ!そうなの?じゃあ別に別れなくったっていいじゃん!』
『゛まだ゛って言ったでしょう(笑)もう、しょうがない子ね』
『じゃあ何で別れるのさ?旦那は【親父】の事を疑ってたんだろ?』
『うん…その誤解は解けたんだけど…ね』
『何?歯切れが悪いよ、果歩さん?』
『疑われたのがショックでね、ちょっと…その…怒っちゃったの、私』
『マジ?うっわあーヒデェ女!自分の事棚に上げて逆ギレした訳?』
『もうー、私だって反省してるんだから、傷口に塩を塗るような言い方はよして!』
『悪ぃ悪ぃ(笑)それで?』
『浮気の事は大丈夫なんだけと、私の態度の悪さに爆発しちゃったの』
『なーんだ、なら…』
『いいえ!あなたが思ってる程あの人は馬鹿じゃないの!このまま続けていれはいずれバレてしまうわ』
『そうか…』
クソガキの声に萎れしさが見えます。
(クソガキめ、いい気味だ!果歩の奴も少しはこの状況の深刻さが分かってるみたいだな。許しはしないが)妻が少しは反省している事に幾分ホットしたのもつかの間、次の言葉で妻が反省などしていない事を知ります。
『だから、暫くはあの人に疑われ事はしたくないのよ』
これを聞いて分かりました。彼女は反省などしていない。ほとぼりが冷めるまで【振り】をして待つつもりなのです。私を゛馬鹿ではない゛と言った妻が、一番私の事を゛馬鹿゛だと思っているのです。
『そう、分かったよ。バレて破滅は勘弁だから…頑張って旦那のご機嫌伺いしてよ』
『ありがとう、あっちゃん…』
『んで、あのアホ亭主が忘れたらまた会ってよ?』
『ダーメ!』
『へへ、いーや絶対会うぞ(笑)』
『そうね…フフ、考えとくわ(笑)』
『絶対だぞ!絶対!』
『ハイハイ(笑)もう行くね…』
『あっ、家まで送ってよ』
ピッ
「以上です」
レコーダーの停止音と神田の野太い声で地獄のヒアリングは終わりました。
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