川越男 12/31(水) 05:55:41 No.20081231055541 削除
あれからどれくらいの時間が経ったのでしょうか。怖いくらいに静まり返ったリビングで1人茫然自失、抜け殻の様な状態でソファーに座り込み、妻を張った右手を眺めていました。
妻に手を上げたのが初めてなら女に上げたのも初めてで、私は自分で殴っておきながら酷くショックを受けていました。
(最低だ…理由はどうあれ手は上げるべきではなかった…最低だ…)
私が一番忌み嫌っている最も恥ずべき行為をした自分自身に嫌悪感を抱きます。
普段の自分なら絶対に手を出さなかったと思います。しかし、妻が発したあの言葉を聞いた瞬間目の前が真っ赤に染まり血が沸騰したかの様な錯覚を覚え、気付いた時には妻の頬を張っていました。
こんな事、今までありませんでした。自分がこんなに直情的な人間だったとは知りませんでした。
その一方で自分の行為を正当化する気持ちもあります。
(果歩の奴、まさかあんな開き直り方するなんて…あれじゃあ『殴って下さい』って言ってる様なもんだ。あんな女じゃなかったのに…いや、もしかしたら俺が知らないだけで元々そうゆう女だったのかもしれないな)
ジンジンと熱を発する右手をさすり後悔と怒りでグチャグチャになった思考を戻そうとしていた時、携帯電話が鳴りました。鞄から取り出し発信者の名前を見て首を傾げます。見覚えのない携帯番号。一体誰だ?
「はい…」
「………」
「もしもし?」
応答のない電話にイラついた私が電話を切ろう耳から離そうとした時でした。
「夜分遅くに申し訳ございせん。沢木と申します」
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