川越男 2/5(木) 01:51:04 No.20090205015104 削除
去年のゴールデンウイーク、家族三人で行った時撮ったディズニーシーでの家族写真。親子仲良く寄り添い、これ以上ない幸せな笑顔をカメラは写し出していた。
あの幸せが嘘の様だ。…幸福と言う物はなんて壊れやすく不確かな物なんでしょうか?
写真立てを見つめながら、改めてこの酷い現実を思い知らされます。
(隆に…隆にはなんて説明すればいいのかな…)
小学校に上がったばかりの幼い息子には、我々夫婦の問題など全く関係のない話です。彼はこれから【母親】か【父親】を失い、悲しみに暮れ、深い傷を負うかも知れません。
それを考えただけで胸が痛みます。
あの子の為に我慢をし、表面だけでも仲の良い両親を演じてやるべきなのか真剣に考えます。
(俺さえ我慢すれば良いのだろうか?)
妻は、私が離婚を撤回し、この提案をすれば喜んで受け入れるでしょう。
その中に隠された私の想いなど考えもせず。
当然、はらわたが煮えくり返る程の怒りと嫌悪感で一杯です。が、それを選ぶ事であの子に幸せな平穏が約束されるならば…
(俺は喜んで犠牲になれる。いや、なってやる!)
私の中で一つの結論が出されようとしています。
私は、果歩の裏切り(敦也との事)を知った時、真っ先に離婚を決意しました。
しかしそれは、私個人だけを考えた自己中心的な考えだと言う事に気づきました。
私は、真っ先に考えてやらなくてはいけない【息子】の事を全く考えては居なかったからです。
私が考えていた事と言えば、私達夫婦の醜いいざこざを見せないように妹に預ける事と、隆の親権確保のみで肝心な隆の心まで考えが及びませんでした。皮肉にもそれを気付かせてくれたのは、幸せを疑わなかったあの家族写真だったのです。
(隆が成長してこの家から出て行く日までは耐えよう…これからは父親に専念すればいい。夫は……終わりだ)
隆の『巣立ちする日』は、私と妻の『巣立ち』にもなるでしょう。
いつの間にか持って見つめていた写真立てを元に戻そうとした時、突然、携帯に着信が入りました。
相手は思っていた通りの人です。
「…はい…はい…分かりました。今開けます」
電話を切り、ひとつため息を吐いた私は玄関のオートロックを解除し、2人を招き入れました。
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