[2149] 揺れる胸 第二部 4 投稿者:晦冥 投稿日:2005/07/13(Wed) 22:37
その日まで雪絵は自分が出した決断が正しかったのかどうか悩む毎日だった。
何度三河に電話をして、夫にあの日のことを知られても良いから会うことを止めたいと言いたかったことか。
それでも、あの日の事を聞いた夫が激怒する姿を考えてしまうと、実際に電話する勇気が出てこなかった。
一度身体を許した男に自分から電話をする。
浮気と受け取られても仕方のない軽率な行動だった。
雪絵自身、卑怯な考えだとはわかっていたのだが、夫に知られたくないという気持ちは変わることがなかったのだ。
「今日だったか?」
雪絵は夫が出勤するときは玄関まで来て見送るのが日課だった。
子供が生まれてからキスして見送るなんてことはなくなっていたが、玄関まで足を運ぶのは結婚当初から変わっていない。
「うん・・」
「久しぶりに友達とも会うんだろ? 帰りはいつだ?」
「そんなに遅くならないよ。明日には帰ってくると思う」
雪絵は嘘がばれないように必死に笑顔を作って答えた。
こんな時、女と言うのは演技がうまいものなのかもしれない。
「そうか。じゃあ一日くらいなら晩飯は出前でも取ることにするよ」
夫はこの後雪絵が、以前自分が貸し出した男に再度抱かれることなどとは知らない笑顔で会社に向うのだ。
夫も子供も見送った。待ち合わせはあのビデオ撮影の時と同じ場所。
大人のデート。軽率な行動へのお仕置き。
子供ではない雪絵には、今日自分がされるだろう行為を漠然とだが想像出来ていた。
スカートを穿いていけば、所変わらず捲られることもあるだろう。
それならばと選んだのは何の色気もない、いつも通りのジーパンだった。
それでも下着は上下セットで揃えた。
見られてしまうことはわかっている。
それなら上下別の下着を着用してる姿を見られる方が恥ずかしいような気がしたからだ。
上も出来るだけ色気のないものを選んだ。
黒のTシャツ。ぴったりとした身体の線を出すものではないし、ブラジャーが透けて見えることもない。
近所のスーパーに買い物に行く。雪絵はそんな何気ない極普通の服装にしたのだ。
「本当に行くのか・・・」
着替え終わった雪絵は時計を見て、ため息交じりで呟く。
目を閉じれば、されるだろう行為が頭の中で駆け巡る。
それと同時にあのビデオ撮影の時にされた行為も頭に過ぎってしまうのだ。
「あの時は・・いやっ・・・ダメダメ・・」
ここ数日、三河に何度も断ろうとした自分とは違う自分がいることに雪絵は気付いていた。
ビデオ撮影の日のことを思い出すと股間が熱くなるのを感じるのだ。
そのもう1人の雪絵は今日と言う日が近づくにつれ、顔を出すことが多くなってきている。
「違う・・違う・・」
そんな時はいつも自分に言い聞かせるように頭を振って、もう1人の自分を追いやるのだ。
雪絵は頭を振った後、髪を掻き揚げるように両手で頭を抱え込んだ。
そして床に視線を落とすと、そこにあったものを無言のまま見つめてしまう。
それはもう1人の自分、三河に抱かれた過去を思い出して股間を熱くするもう1人の自分が用意した服であった。
待ち合わせは11時。三河はすでにその場所に着いていた。
どれだけこの日を心待ちにしたことか。
車から降りている三河は、暑さの中少し汗を滲ませながら辺りをうろうろと歩き回っている。
連絡が来るはずの携帯を何度も手に取り、着信の履歴を何度も確かめてしまうのだ。
そんな時、携帯の着信音がなった。相変わらず非通知電話の表示だが、相手が誰かなどすぐにわかる。
「もしもし。あぁ・・奥さんですか。何やってるんですか?もう2分も過ぎてるんですよ」
ほんの少しとは言え、雪絵が遅れている事実は三河に責める口実を与えることになってしまう。
「奥さんの卑怯なマンコにお仕置きしてあげようって言うんだから
三つ指付いて迎えるくらいの気持ちがなかったらダメじゃないですか」
電話の向こうでは雪絵の謝る言葉しか聞こえてこない。それが三河の股間を刺激するのだ。
「すいませんじゃないですよ・・今どこですか? それならすぐ近くですね。奥さん・・走ってきなさい」
三河は自分の用件だけを言うと一方的に電話切った。
これで自分が待たされイライラしていると言うように雪絵には伝わるだろう。
三河はそう考えたのだ。
「おっ・・来たかな? 奥さん遅いですよぉ」
少し離れた曲がり角から雪絵が来る姿を見つけた。
小走りで向かってくる雪絵は、Gカップの大きすぎる胸を上下に揺らしている。
「はぁ・・はあぁ・・すい・・すいません・・」
うつむき加減で息を切らしている雪絵の姿は、まるで三河に向かい頭を下げ、謝罪の言葉を述べているような格好だった。
「これでお仕置きの理由がまた増えましたね・・」
三河は頭から足の指の先まで舐めるように見る。
胸元にラメの入った白のニット。
50間近の三河にはタンクトップと言った方が良いかもしれない。
大きすぎる胸は自己主張でもするかのように、大きな山を作っている。
薄いその生地は、ブラジャーのデザインを微かに透けさせている。
ヒラヒラとしたスカートは黒地に白の花柄が入った物。
膝よりも少し長い辺りが雪絵に一層の人妻らしさを出させている。
そのスカートからは雪絵の白い足。ストッキングは穿いていなかった。
「これはずいぶんと可愛らしい格好をしてきたものですね・・奥さん」
結局雪絵はもう1人の自分が選んだ服を着てきたのだ。
自分でもどうしてか分からなかった。
一度は最初の服装まま家を出た。
しかし、雪絵はもう一度家に戻り今の服へと着替えている。
それが余裕を持って家を出たはずの雪絵が遅刻した理由だ。
「今日は何で会ったかわかってるかな?奥さん」
「はい・・」
三河は雪絵の横に立ち、腰に手を回す。ビクッと身体を固まらせるが雪絵は三河の手を振り解くことはしなかった。
「そう・・ちゃんと分かってるみたいですね」
腰に回した手はそのまま下に下がり、肉付きのいいヒップに添えられる。
「やっ・・」
小さな声と同時に、ヒップに力が込められたのを三河の手は感じた。
夏用で生地の薄いスカートは、その上からでも下着の形を理解できる。
「いやじゃないですよ。ちゃんと分かっていると褒めたばかりなのにね・・・ほらっ」
三河は添えた手に力を入れてヒップの肉を鷲掴みにする。
生地の薄いスカートの上からでも、自分の指が肉に埋まる感覚を伝えてきた。
「何のために着たのかもう一回ちゃんと教えないとダメですか? 今日は奥さんをお仕置きする為ですよ」
そう言った後、三河は顔を雪絵の耳に近づけて囁く。
「奥さんの卑怯な・・卑怯な腐れマンコにですよ」
囁いた後三河は押し返そうとする弾力を楽しむかのように、さらに指に力を入れ回す様に荒々しく揉むのだ。
「ひぃっ・・やっ・・人・・人が・・」
昼間の時間とは言っても一通りがないわけではない。
50間近の男と、30を過ぎたばかりの女が路上で会っているのである。
それ相応の目で回りは見ていることだろう。さらに男は、身を硬くして黙ったままの女のヒップを鷲掴みにしたのだ。
2人の姿を見て唖然としたのは、1人や2人と言った数ではなかった。
「言ったでしょう?今日は奥さんのお仕置きですよ。
これくらいで根を上げてるようじゃ、まだまだ反省してるって言えませんよね?
それとも・・奥さんの欲求不満のマンコが濡れちゃうから人前で触らないで下さいってことですか?」
「なっ・・何をっ・・」
大きな声を出した雪絵の姿に三河は図星なのだろうと理解できた。
雪絵の脳では本気で否定しているのかもしれないが、身体はしっかり反応している。
雪絵もそれはわかっていた。
何故?と何度も頭で思いながら、熱くなる秘所は止められない。
濡らしてはダメだと思えば思うほど、その量は多くなっていくような感触がある。
「おや・・ずいぶんと反抗的ですね? 濡れていないかどうかは後からしっかりと確かめましょう。
さあ・・車のところへ向かいますよ・・」
「・・・手を・・」
「何言ってるんですか。このままですよ」
雪絵は下を向き、力強く下唇を噛んだ。
やはり三河に会ったのは間違いだったのかもしれない。
それはこの男にもう一度抱かれる後悔ではなかった。
今まで必死で押さえつけて来た自分。それがこの男によって完全に目覚めさせられそうな気がしたからだ。
会っただけ、ヒップを鷲掴みにされただけでも脳の命令を無視して身体は反応している。
その身体が本当の自分だと思い知らされる日が今日かもしれない。
三河や夫に対してではない。
今、雪絵は変わってしまうかもしれない自分に恐怖していたのだ。
「遅いですよ・・三河さん」
下を向き、ヒップを掴まれた手に誘導されるように歩いてきた雪絵の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「悪いですね・・この奥さんが遅刻しちゃったもので」
雪絵は視線を上げ、車の中を見た。
「やあ奥さん。お久しぶり」
「こ・・これって・・?」
三河と車の中の男を何度も見てしまう。
「奥さんの欲求不満な身体にお仕置きするには1人じゃ辛いと思いましてね」
「そんなの・・聞いてませんっ」
「デートとは言いましたけどね・・私1人とも言ってませんでしたよ。
それと反抗的な態度を取るってことは、旦那さんに知られたいのですかね・・
電話だけならまだしも、知られなくない為だけに私達と大人の付き合いをするって決めた卑怯な奥さんも知られますよ」
そうだ。もう軽率な電話をしたあの秘密だけではない。
雪絵は夫に内緒にする為に三河と会うことを決めたのだ。
そして今は会ってしまっている。すでに後戻りの出来ない状態になっているのだ。
「それは・・」
「だったら早く車に乗りなよ。奥さん」
車の男は三河からすべての事情を聞いているのだろう。運転席に乗っているその男は雪絵も知っているあの男だ。
岩本。あのビデオ撮影の時、カメラ担当として参加し、雪絵の上下の口に挿入した男だ。
「ほら・・岩本君もそう言ってることだし・・」
三河はヒップを揉んでいた手を離し、後部座席のドアを開ける。
そして、スモークが貼られ中が見えなかった後部座席の中を見て雪絵は愕然とする。
「うわぁ・・この奥さんっすか? でっけぇ乳してますね? デカパイってやつでしょ? デカパイ」
車の外まで聞こえるような大声で笑い声を上げる男。
年齢は20代の半ばくらいだろうか。どう見ても雪絵より年上には見えない。
雪絵はすでに悲鳴すら上げられない状態だった。
見たこともない男。この男にまで肌を晒せというのか。それどころか三河はこの男と雪絵を性交させるだろう。
興奮し始めていた身体からは熱が冷めたかのように鳥肌が立っていた。
「どうも初めまして。俺は神田っす。奥さんの名前は?」
神田と名乗った男は色白の男だった。不規則な生活を続けているのか、顔にはにきびのような吹き出物がある。
腹の出方など岩本とどちらが大きいのか?と言った感じだ。
三河は雪絵の夫と何度もメールを交換し、雪絵の好きなタイプ、嫌いなタイプと言うのを聞いている。
腹の出た陰毛との境などわからないほど毛深かった岩本は嫌いなタイプだったらしい。
それならと三河は雪絵が嫌うタイプの男と一緒に責めたかったのだ。
岩本の参加はすぐに決めた。そしてもう1人の男神田。
神田は三河のネット仲間と言ってもいい。
太った汗かきの不潔そうなタイプ。
そう言われ思い出したのが神田の存在だった。
三河は過去に人妻を借り受け、一度だけ神田をカメラマンとして使ったことがある。
しかし、その下品な言動から相手の夫婦に嫌われ、結局その貸し出しの話はなくなっている。
それから三河は神田を誘うことはなかった。
だが、今回雪絵とのことを考えたとき、神田と言う男の存在は三河にとって魅力的であったのだ。
おそらく雪絵も神田を嫌うことであろう。
そんな嫌う神田と性交させた時の画は、なんとも言えない卑猥さを感じるであろう。
「ほら・・神田君が挨拶してるんですよ。ぐずぐずしてないで・・」
三河は雪絵を後部座席に押し込むと自分も一緒に乗り込んできた。
三河と神田。雪絵は狭い空間で2人に挟まれるように座ることになる。
「雪絵・・・」
「え? もっと大きな声で言ってくださいよ」
「雪絵です・・」
「雪絵ちゃんかぁ 雪絵ちゃん乳でかいねぇ?」
神田は遠慮と言う言葉を知らないかのように、顔を近づけるようにその大きな山を見つめてきた。
雪絵は無意識にその視線から避けるように身体をねじる。
その大きな山は三河に向けられる格好だ。
「じゃあ岩本君行きましょうか? 奥さんもお昼まだでしょう?
明日まで時間はたっぷりあるんですし、ゆっくり食べられるときに食べておかないとね・・」
バックミラーで一度雪絵の姿を確認して口元を緩めた岩本は車を走り出させた。
男のものを噛み切るとか、刃物でも忍ばせて男の首を抱くように
して背中をザックリやるとか、そんなものはないかしらね。
男に復讐、とか。