管理人から

管理人

Author:管理人
管理人がおすすめするカテゴリに★印をつけました。



アダルトグッズのNLS








最新記事


カテゴリ

北原夏美 四十路 初裏無修正

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

卒業 2

BJ 7/16(月) 06:46:13 No.20070716064613 削除

「今日は暑かったですね」
 Yシャツにアイロンをかけながら妻が言う声に、「そうだね」と生返事しながら、私はベランダの戸を開きました。生温かい夜風が、クーラーの効いた室内にのっそりと吹き込んできました。
 ベランダで煙草を取り出した私を見て、妻はため息をつきました。
「禁煙するんじゃなかったんですか?」
「少しづつ量は減らしてるよ」
 嘘です。
「朝顔が綺麗だな」
 マンションの小さなベランダには、妻が育てている花木が遠慮がちに置かれています。そのときは薄青の朝顔が形のいい花を咲かせていました。
「もうそろそろ、きちんと健康のことを考えてもいい歳ですよ」
 誤魔化されませんから、とでも言うように、妻は少しだけきつい目をして言いました。結婚した当初は遠慮して私の素行にはほとんど口を挟まなかった妻ですが、近頃はちょっと口うるさくなっていました。
「食事の後の一服は格別なんだ。――うん、分かってる。もうすぐやめるから」
「本当に約束してください」
「約束する」
 即答した私の言葉にあまり真実味を感じなかったのか、妻はまだきつい目をしていましたが、諦めたようにくるっと背を向けました。
「私はひとりぼっちになるのは厭ですよ」
 ぽつりとそんなことを呟いて部屋を出て行く妻の背中を紫煙越しに眺めながら、私は深く息をつきました。

 私の両親はまだ健在ですが、妻は幼いうちに両親と死別していました。彼女が小学校にあがってすぐの頃と聞いています。その後、ひとりになった妻は、古い旅館を経営する母方の叔父夫妻のもとに引き取られ、私と見合い結婚するまでの20数年、そこで暮らしていました。
 その間、大学に進学することも就職することもなく、ずっと叔父の旅館を手伝っていたそうで、妻の世間が狭いのもそんな過去に一因があるのでしょう。
 叔父の奥さんには格式高い旅館で働く者としての作法をだいぶ教え込まれたようで、妻の挙措やちょっとした言葉遣いなどにそれを感じることもありますが、それよりも、どちらかといえば無愛想な妻によく客商売が務まったものだと感心します。かつて冗談めかしてそのことを言ったとき、妻がちょっと暗い顔をして黙ってしまったので慌てたことがあるのですが、何かその当時に厭な記憶でもあるのかもしれません。私と結婚してから、妻はその叔父夫妻とさほど密な関わりを持っていませんでした。
 天涯孤独とは言わないまでも妻の身の上はそれに近いものがありました。もし私に死なれたら・・・と、不安に感じるのも無理からぬところかもしれません。

 しばらくして寝室へ行くと、妻はすでにベッドの中でした。明かりを消して私もベッドに横になると、妻は私を避けるように反対向きに寝返りをうちました。・・・まだ怒っていたようです。
 暗がりの中、私はそっと手を伸ばして妻の薄い肩を触りました。柔らかい皮膚の下、尖った骨の感触を掌に感じながら、ゆっくりとなぞるように妻の身体に手を這わせていきます。妻は身じろぎもせずに横たわったままでしたが、私の手が胸に触れると、わずかに身をすくめるような動作をしました。けれども、それ以上抗いはしませんでした。
 寝巻き越しに温かい乳房を掌に受けていると、妻の脈拍がかすかに感じられました。
「瑞希」
 名を呼ぶと、妻は少し気羞ずかしげに、ようやく私のほうへ向き直りました。その肢体をぐいっと引き寄せます。胸に胸を寄せると、妻の腕がおずおずと私の頸を抱きました。
 そのまま私は妻に口づけました。唇を合わせたまま、妻の耳に指を絡ませると、妻は閉じていた瞳を薄く開きました。
 ふるふると睫毛が揺れ、黒々と濡れたまなざしが私を見つめます。その表情に蟲惑されながら、私は顔を離し、今度は妻の頸筋に唇を這わせました。妻の肩が揺れ、私の背中を掴んだ手指に力がこもります。
 そのまま胸元まで唇を這わせた後、私はわずかに身体を離して妻の寝巻きの前を開いていきました。妻は頸を捻じ曲げて横を向き、瞳を閉じています。やがて開かれた妻の胸が、暗闇に仄白く浮かび上がりました。
 ゆっくりと覆いかぶさるように身体を倒して、私はその胸の頂きに口をつけます。
 小さな啼き声が暗い室内に静かに響きました。

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)


 | ホーム | 


  1. 無料アクセス解析