死神 8/9(水) 22:57:44 No.20060809225744
また病室のベッドで目を覚ますと、両親が私の顔を心配そうに見ていました。
ベッド脇に医者が立っており
「ちょっと興奮したのかな・・・心配ないと思いますが
一応経過を見るということでしばらく入院してもらいます」と両親に話しています。
私が目が覚めたのに気が付き医者が
「大丈夫ですよ、ただあまり無理をなさらないでください。しばらく静養することです
お大事に」と立ち去りました。
私は上体を起こすと両親に
「諒子は?」と聞きました、両親は「分からない・・・ここに運び込まれたときは諒子さんも
一緒だったようだけど私達に電話をした後どこかに行ったみたい」
「そうか・・・」「お前諒子さんと何かあったのか?」と父親に聞かれましたが
私には何も言えません。
その日の夕方、田中夫妻が見舞いに訪れてくれました。
田中は心配そうに私を見て諒子がいないことに気が付くと奥さんを先に帰らせて
私に話し掛けました
「まさかとは思うが・・・・諒子さんどうした?」
私は何も言えず悔しさと悲しさで自然と涙が出てきました。
そんな私の様子を察してくれたのか田中は何も言わずに椅子に座っていました。
しばらくして
「取り合えず帰りお前の家に寄るわ、子供や諒子さんのことも心配だろ?」
といってくれて、私も「すまない」と言い田中に自宅を見てきてもらうように頼みました。
それから田中はほぼ毎日見舞いに来てくれました。
田中は「諒子さんのことは心配するな。家のが色々世話を焼いてくれている
子供さんもちゃんと学校に行ってるしな、とりあえずはお前は静養するんだ
お前は子供達の父親何だぞ、しっかりしろ」
と私を励ましてくれるのです。とにかく体を直すことを第一に考え
諒子のことはしばらく考え無いように努力しました。
しかし夜になり一人になると悪夢のように思い出してしまうのです。
なかなか不整脈が治まらず結局3週間ほど治療にかかってしまい
仕事に穴を開けたことを申し訳ないと思いながら
やはり妻のことが気になって仕方ないのでした。
退院の日わざわざ仕事を休んで田中は私を迎えにきてくれました。
田中は車の中で私に話し始めました。
「桂木・・・お前に言っておかなければならないことがある。
諒子さんは今日お前達の家から出て行った」
「え・・・ど、どういうことだ!」「落ち着け・・・」
田中は私が落ち着くのを待って続けました
「今のお前の状態では諒子さんに会っても悪化するだけだ
諒子さんも今は離れたほうがいいと言っている。悪いが俺もそう思う」
「しかし・・・俺は真実が知りたい。そうでなければ先に進めない」
「分かってるさ、だがお前は諒子さんの夫でもあり子供達の親でもあるんだ
お前がしっかりしないでどうする?諒子さんも自分のしたことは分かってる。
1年だ1年我慢しろそれまでしっかり体を治すんだ」
「納得できない!なんで勝手に決める!?俺の気持ちはどうなるんだ!」
「・・・・・お前の気持ちを分かってるから、今は会わせられないんだ!
・・・・分かってくれ、皆お前を心配しているんだ」
私はどうしても納得できなかったが、田中は頑として妻の居所は話さなかったし
妻の両親も私には悪いことをした、離婚されても仕方ないけれど
どうしても妻とは会わせられないと言うのです。
それから妻の両親や私の両親、田中夫婦の助けを借りながら子供2人と
私だけの生活が始まりました。
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