死神 8/10(木) 21:33:36 No.20060810213336
俺は諒子さんを落ち着かせて自分の子供達と一緒に桂木の子供達を寝かせました。
その間妻が諒子さんの話を聞き俺が部屋に入ると
「あなたも一緒に聞いたほうがいいわ」と妻に言われ、俺も話を聞くことになりました。
諒子さんの最初核心には触れず自分が主人を裏切ったと
しきりに繰り返し時々死にたいと言い出すと、妻がそれだけは駄目
貴方母親でしょとたしなめるのです。諒子さんは子供残し両親に後のことを頼み
どこか遠くへ行き一人で働いて子供達のためだけに生きていこうと考えていたようです。
やはり諒子さんも真実を話すことに抵抗があったのでしょう。
俺達も詳しく聞くことをせず、話したくなるまで待つ姿勢でした
しかし、妻が色々話しかけると少しずつ事情を話し始めました。
この時はもう諒子さんは桂木が退院するまでに姿を消すことを
決心していたのでは無いかと思います。
「私は主人を愛しています。こうなってしまって信用されないかも知れませんが
本当に心から主人を、桂木勇を愛しています。それは今でもずっと変わりません
でも・・・私は主人を裏切ってしまった」
「桂木から聞いているが・・・一体どういう?」
「私は・・・あの男に体を許してしまった・・・」
諒子さんは、両手をひざの上で握り締めぼろぼろ泣いていました。
「あの男?・・・諒子さん・・・」
「私は自分が分からない・・・・」
「もういいよ・・・諒子さん、もういいから」と妻の美鈴が言うと
「よくない!私は・・・私は・・・、私のせいで主人は倒れてしまった
ちゃんと話すべきだって分かってた・・・・本当はそうすべきだった
分かっていたのに、あの男にされたことをどうしても主人に話せなかった
・・・本当のことを話せば私は軽蔑されてしまう、それぐらいなら
誤解されたままのほうがまだましよ!。」
「諒子さん・・・」と俺が言うと諒子さんは、涙を拭いて私達に土下座をするのです
「お願いします。私はこのまま主人の前から姿を消します
せめてどこかで働いて主人と子供達に償いたい
ですからお願いです、私を探さないように主人を説得して下さい。
厚かましいと思いますでも頼る人がいないのです。どうか・・・・」
「でも子供さんは・・・」
「子供のことは両親に頼みます・・・」「しかし・・・・子供に一生会わないつもりか?」
「子供のことは・・・どうすればいいのか分かりません。私がいれば主人を苦しめます
また倒れてしまうかも知れません。私には子供達から父親までも奪うことは出来ない!」
「しかし、桂木は・・・」
諒子さんは顔を上げ頭を抱えて叫ぶように
「じゃ!どうすればいいの!?私がいるだけで主人を苦しめる。私が苦しむのは耐えられる
でも主人や子供達は・・・」
「諒子さん!落ち着いて」妻が諒子さんの両肩を抱き、「私たちが力になるから・・・ね?」
諒子さんはしばらくしゃくりあげるように泣いて、「もう死にたい・・・」と言いました。
妻が俺に席をはずすように合図すると、俺は子供達の寝顔を確認し一人
寝室でこれからのことを考えていた。
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