道明 12/5(金) 20:43:51 No.20081205204351 削除
翌日、一郎は何時になく緊張して出勤した
午前10時から取締役会が開かれる、その場でシステム開発の状況を報告することになっていたからだ
一郎たちが開発した「総合販売管理システム」は受注・発注・在庫引当がオンラインで検索・更新できるシステムで、同業他社との競争を勝ち抜くための戦略的なシステムだった・・・・そのテストランの完了報告なのだ
「室長・・・」
電算室を一郎が出ようとしたとき、美恵子が声をかけた
「どうしたの?藤崎さん・・・」
一郎は室員の前では美恵子を苗字で呼ぶ
美恵子は一郎に近づくと、一郎の肩に手を伸ばしてスーツに着いていた糸くずを摘んだ
「ああっ・・・有難う、藤崎さん」
一郎は優しい微笑みを美恵子に投げた・・そして、こちらを見ている室員の顔をひとり一人に目線を合わせた・・
「今度のシステムの完成は、みんなの英知と努力の結集の賜物です。みんなを代表してしっかりと役員の方々に報告してきます・・・みんな、有難う」
2時間後、一郎は意気揚々と電算室の扉を開けた
その姿に、室員全員が立ち上がった
「みんな・・聞いて。完成したシステムについて役員全員からお褒めを頂いた。そして、社長が大変感心され、私たちの苦労をねぎらいたいとおっしゃった。それで、今夜は社長のおごりで、みんなで慰労会をすることになった。もちろん社長も出席される」
よっしゃ!!・・・室員の誰ともなしに声が上がった
一郎は自室に入ると、美恵子を呼んだ
「美恵ちゃん・・今夜の慰労会の後で少し付き合ってくれないかなぁ」
「何かお話でも?」
「ああ・・詳しくはその時に話すが・・・実は、私が東京本社に異動になる」
「室長・・それはご栄転ですね」
「うん・・向こうで開発しているシステムの進捗が上手く行ってないらしい。それで私に指揮を執るようにとのことらしい」
「おめでとうございます・・・・室長」
美恵子はこころからお祝いを言った
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