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北原夏美 四十路 初裏無修正

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道明 12/11(木) 18:45:23 No.20081211184523 削除
翌朝の電算室長席での一郎の様子がいつもと違うことを
美恵子は敏感に感じ取っていた

「室長、おはようございます」

「ああ・・おはよう」

「どうかされましたか?東京のシステム開発は難航しているのですか?」

「うん・・・それもあるんだけど・・・」
一郎が再び考え込む様子を見て、美恵子は一礼して部屋を出た


一郎は昨夜の知子との話を思い出していた

「あなた・・ごめんなさい。あなたに心配をかけたくなくて親睦旅行に行くということにしていたの」

「私に心配をかけたくない?」

「ええ、そうなの・・・実は私、学校の先生方とくに女性の先生方と人間関係が上手くいってないの・・それで気晴らしに中学の時の友達と旅行をしていたの・・・ちゃんと話しておけばよかったんだけど・・こんなこと、あなたに相談できないし」

「ふーん・・中学時代の友達と旅行?・・で、その・・女性の先生方と上手くいかない原因は何なの?」

「・・それは、蓬莱先生を私が庇ったから・・・あの先生にもいいところはあると」

「蓬莱先生って?あの変人教師と言われている先生かい?」

「うん・・確かに一般的な教師の仕事はいい加減だけど、保護者には人気があるし、地域の人たちとの揉め事なんか逆に上手く裁いてくれているの。私のクラスの保護者が怒鳴り込んできた時なんか、私を助けてくれたりして」

「そうかい・・・でも、大勢の先生方が同じ見方をしているんなら、そちらの方が一般的かもしれないよ。突っ張っていくのはストレスも溜まるし、職場で孤立する・・辛い道を選択したかもしれないなぁ」

「そうなの・・・職場で話ができる先生があまりいなくなってしまって」

「でも・・その蓬莱先生とばかり話をしたり、行動していると周りから変な目でみられているんじゃないか」

「??・・あなた、学校から何か言われたのね」

「うーん・・・それに蓬莱先生は離婚されたらしいじゃないか」

「そ、そんなことまで・・・あなたに」

「周りのことも考えろよ知子、正義感や親切心も仇になってしまうこともある。旅行のこともそうだ・・・・正直に話してくれるほうが、私は安心だしアドバイスできることもあるかもしれない」

「あなた・・本当に心配かけてごめんなさい」

一郎は知子の話に納得してはいない
親睦旅行の土産だといって帰ってきた妻、それが友達との旅行だった?
卒業の集合写真での蓬莱の仕草の違和感、そして、蓬莱の離婚・・妻との親しい関係?
この時まで、一郎は知子を愛しているし、疑ったりしたことはなかった
だが、胸の中では結婚以来初めて、妻に対して疑いの心が這い回わりだしていた

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