道明 12/26(金) 20:04:58 No.20081226200458 削除
一郎は昨夜、美恵子から手渡された知子に関する報告書を何度も読み返し
妻の不貞に対する怒りで一睡もしていなかった
それがどうだ
知子が2年前の親睦旅行中に同僚教師と学生二人に犯されていたなんて
その同僚教師に脅かされて関係を続けていたと・・・・
気が付かなかった・・・・
そう言えば・・・・卒業写真に感じた違和感
それに、夫婦の営みで妻に変化があったはず!!
一郎は妻との生活を淡々と送っていた自分に腹が立つ
理由はなんにせよ、自分の妻がもう既に他人と肉体関係にあるという事実
もはや、取り返しが付かない
一郎は、妻への同情や哀れみよりも、妻が汚されたこと
そして、他人によって妻がいいように扱われることに我慢がならない
しかし、もう遅すぎる・・・・
「許すも許さないもない・・知子の話が事実なら、君は犯罪被害者なんだ。君と二人で蓬莱と戦うしかない・・・とにかく、学校には迷惑がかかるが、君はすぐに休職させてもらえ・・そして、蓬莱とは一切接触を断つんだ・・・しかし、君がこんなことになっているなんて」
一郎は深いため息とともに目を瞑る
知子はホッとして、目を細めた・・・・しかし、不安はまだある
夫の理解を得たと思った知子だが、美恵子の存在が気になっていた
主人のことを私の前で、好きだと言った
これは、明らかに妻である知子への戦線布告だ
知子が一郎を試す
「・・あなた・・ベッドの側に女の人の髪の毛が・・」
「えっ・・髪の毛?・・それは、たぶん掃除の時にでも付いたんだろう。昨日、美恵ちゃんが寝室を片付けてくれたから・・」
一郎の言葉には淀みがない
「あなた、あなたは清廉潔白でほんとうに優しい人・・・だから、余計に私は心配なの・・藤崎さんとあなたが一緒にいるのは嫌なの・・・こんな私が言えたことじゃないかもしれないけれど・・・あなたが心配なの」
「そのことは、美恵ちゃんも同じようなことを言っていたよ・・でも、私がお願いした。それほど今度の仕事は、私の将来を決定するほどの大プロジェクトで難航している・・・今、少し彼女の助けが必要なんだ・・・知子、分かって欲しい・・彼女は仕事のパートナーで、この家は寝泊りができる職場なんだ」
知子には理解できないが、一郎の気持ちは本当のことなんだろう・・
「そうね・・・私、心配だけど、あなたを信じます。あなたの言うとおりに、私は学校への休職手続きをして待っています・・・だから早く帰ってきて、あなた」
「ああ、早く帰れるように頑張るよ・・私が帰るまで、君は実家に帰っている方が安心だ・・・絶対に蓬莱と会うんじゃないぞ」
「ええ・・・そうします、あなた・・有難う、あなた」
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