道明 1/28(水) 18:16:25 No.20090128181625 削除
季節は既に五月になっていた
一郎と知子の離婚調停は遅々として進展しない
互いの主張がぶつかり合っている
夫が言う・・・妻の不貞
このことについて、知子が真っ向から否定する
自分は被害者なんだと
妻が言う・・・夫を操る女の存在
このことについて、一郎も完全否定する
全ては自分の意思で判断していると、そして離婚が成立した後に妻にする女性だと
二人の娘の親権は、両者とも譲らない
離婚の調停は膠着状態に入り込んだ
このままだと、調停不調となり審判に移行することになる
その日、一郎は河川敷公園に早朝から散歩に出かけた
公園にはテニスコートがあり、若い男女の元気のあるプレーを眺めていた
「あれ!・・一郎君?山本一郎君じゃない」
一郎が振り向くと、阿部真一がにこやかに微笑んでいた
知子と同期の同僚の夫で、二家族一緒に旅行をしていた・・あの阿部先生だ
「しばらくです・・・阿部先生」
「どうしたの、ぼうとして?・・・テニス?やるか?」
「ええ・・・やりましょう」
この二人はスポーツマン
共に、テニスは専門ではないが腕前は相当なものだ
激しく、ラリーが続く
一郎がエースを取ったところで真一が白旗を揚げた
「一郎君は、陸上競技よりテニスのほうが良かったんじゃないか?」
「またまた・・阿部先生」
一郎は真一を兄のように慕い、真一は一郎を弟のように可愛がる
本当にうまの合う男同士である
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)