道明 1/29(木) 18:01:52 No.20090129180152 削除
一郎と真一は木陰のベンチに腰を降ろした
「一郎君・・・知子さんと離婚の調停をしてるんだって?」
「ええ・・・・いろいろとありまして」
「ひょっとして、私が気をつけろと言ったことが切欠になったんじゃ?」
「まあ・・・・そうかも」
「すまない・・余計なことを言ってしまって」
「いえ・・・男と女の不義の事実は隠しとおせるものではないですから」
この河川敷は広い
対岸までは200メートル以上はある、一郎は遠くの対岸の景色を眺めている
「俺なぁ・・今年から知子先生と同じ学校になったんだ」
「知子の学校にですか?・・・あいつ、ちゃんと勤めてますか?」
「なーんだ、少しは心配してるんだ・・・もう、関係ないと言うかと思ったけど」
「阿部先生、それはないですよ・・・
十年以上も夫婦をやっていた相手ですから、あいつもなんとかと」
「そうか・・・その知子先生なんだが・・ちょっと・・」
「何かあるんですか?阿部先生・・・良かったら教えてください・・私は、知子と離婚するつもりで調停はしていますが、彼女は娘の母親・・彼女も幸せになって欲しいという思いでいますので」
「それなら、私が感じたことを話すが・・・怒るなよ」
真一の話はこうであった
今年の4月に知子の学校へ阿部は異動した
知子も休職から復帰して来た
清楚で誠実な雰囲気で人気のあった知子だったが・・
服装が少し派手になり、化粧もきつく・・・妖艶な女性に変身していると言うのだ
よく知子を知る、阿部ですら、その魅力に目が向いてしまうほどに
その知子に阿部の大学の先輩である加藤教頭がべったりと付き纏っている
どうも、その加藤教頭が知子にスキンシップだといって身体を触っているらしい
さらに、知子を加藤教頭がホテルに連れ込むところを同僚教師が見たと言う
阿部は、あの厳格な加藤教頭と清楚な知子の変身が理解できないと・・・
「なんですって・・知子のやつ、性懲りもなく再び淫乱女に」
「淫乱女?・・・・一郎君、それはちょっと酷いよ」
「阿部先生、知子はそんな女だったんですよ・・・それで、私は離婚を」
「一郎君、それは君の思い込みが過ぎる・・・私は、知子先生は悪女ではないと思っているよ・・・・時々みせる辛そうな表情や切ない雰囲気は、何か事情があるのではないかと思うんだ・・・・どうだい、一郎君!知子先生を助け出してやらないかい?」
「知子を助ける?」
「ああ、そうだ・・・彼女は助けを待っているんだ!きっとね」
「待っている?」
「今、助けてやらないと・・・知子先生、本当に駄目になって、壊れてしまうぞ」
「そ、それは・・・」
一郎の心に、真一の言った「知子が壊れる」の言葉が重く圧し掛かる
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)