道明 2/2(月) 21:51:14 No.20090202215114 削除
ここは家庭裁判所の調停室
「では、知子さんはどうあっても、娘さんの親権を放棄しないのですね」
「当然です・・親権うんぬん以前に、私は一郎さんとの離婚を認めませんから」
今の知子を支えているのは
知子から娘たちを奪い美恵子に乗り換えようとする夫の一郎と
その一郎を操る美恵子への怒りである
恐らく、この怒りがあるからこそ、知子の精神状態が崩れずに保たれているのだ
「そうですか・・・知子さん、それではもう調停では合意が得られそうにありません
私たちは、調停の打ち切りを考えています
この後は審判への移行となります
このことは、先ほど一郎さんにもお話ししました・・・・以上です」
「そんな!私は一人ぼっちで闘っています・・・・審判だなんて」
知子は困惑した
少なくとも、調停委員の心証は知子の味方だと思っていた
それが、審判に移行すると法律的に裁かれてしまう
人の良さそうな年配の男性委員が話しかける
「知子さん・・一郎さんがね、あなたと話がしたいと仰ってましたよ・・たぶん、外でお待ちになってる」
「一郎さんが?」
「ええ・・彼は今のあなたのことを、大変心配されていましたよ」
「夫が私を心配している?」
「はい・・・私たちの調停は不調となりましたが、あなたと彼が誠実に話し合われたら希望が見えてくると私は思います
一郎さんは、人に優しいご主人だ、あなたも彼にもう一度、許しを請うてみてはどうでしょうか
こういうケースはボタンの掛け違いや、意地の張り合いで上手くいかない
どちらかが、折れて話をすれば心の棘が抜けていくものですよ
・・・知子さん、素直に正直に・・ね」
知子は俯き、調停委員の言ったアドバイスを反復している
「・・・・・・有難うこざいます、お二人には大変お世話になりました」
「いえ
・・なんのお手伝いもできずに申し訳なく思っています
さあ、知子さんご主人がお待ちですよ」
知子の目に光が宿った
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