道明 2/13(金) 18:31:10 No.20090213183110 削除
学校の前には大きな公園がある
その公園の駐車場へと美恵子は歩き出した
公園の中の道は、自転車以外は車の通行はできない
美恵子の後ろからバイクに乗った少年が追っかける
その少年は、美恵子を追い抜きざま・・
美恵子のバッグをひったくる
「えっ!?泥棒・・・誰かそのバイク!止めて!」
美恵子が大声をあげた
バッグをひったくった少年のバイクはスピードをあげて逃げていく
その前方に両手を開いた男性が立ちふさがった
バイクはその男性の前で蛇行し
なにやら男性と言い合い、揉み合っている
やがて、少年はバッグを投げ捨て逃走していった
「はぁ、はぁ・・・有難うございました」
その男性は、少年が投げ捨てたバッグを拾い、美恵子に手渡すと
「お怪我はされていませんか?」
「ええ」
「まったく今時の若いもんは、何をするやら・・・」
男性の顔を見た、美恵子の目が大きく開いた
(この人・・あの蓬莱?!)
「奥さん、警察に届けますか?私も手に少し擦り傷もあるし・・」
「警察に?」
美恵子は躊躇した
娘の学校近くの公園内、それも参観日のこの時刻・・・
夫に知られたらどう説明したらいいか
「どうしましょうか?
あなたのお陰でバックはもどったことだし
警察に届けると後も面倒な気がして・・・・」
「そうですか・・それなら、私もかすり傷だし、まあいいですか」
美恵子はほっと息をついた
改めて蓬莱らしき男の姿をみると
スーツにネクタイ、髪も整えた40代の働いている男に見える
「でも、あなた、
お怪我がなくて本当によかったです・・私、こう言う者です」
差し出した名刺には
不動産アドバイザー・・蓬莱(宅地建物取引主任者)
(やはり・・・あの人だわ)
「最近、不動産の仕事を始めたばかりの者ですが
これも何かの縁、不動産取引でのご用命がございましたら
是非、私までお電話頂けたらと思います」
「ええ」
「それじゃ、奥さん、お気をつけて・・・」
去っていく蓬莱の後姿を見つめながら
改めて、美恵子は大きな息をついた
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