和田 11/21(火) 11:51:49 No.20061121115149 削除
「私の両親ね、再婚同士なの・・・」
突然の静香の告白。それは、2人出会い始めて8回目の事だった。
私たちは、あれから毎日約束の午後6時に、初めて出会った公園のベンチで逢瀬を続けていました。
初めのころは2人共、顔さえまともに見ずに、顔を真っ赤にしていたが、慣れとは怖いもので、回数を増やす内、幼い2人は急速に接近していきました。
私には、静香の告白に心当たりがありました。それは昨日の私の告白の影響が少なからずあると思いました。
私は、今まで身に起こった辛い過去を、泣きながら彼女に告白しました。父のことも・・・・・
そんな私を、彼女は静かに抱きしめ、「私は、あなたが何者の息子であっても変わらないわ」、と言ってくれました。
こんなに幸福を感じるのはいつ頃なのだろうか?会ったばかりで、お互い、何も知らないとゆうのに、何だろう?この、何年も一緒にいたような感覚は・・・・・私は、黙って静香の背中に手を回し「ありがとう・・・」と何度も呟いていました。
「悟君?、どうしたの?急にボーとしちゃって・・・」
「えっ、いや、何でもないよ。それで、静香はどっちの連れ子だったの?」
静香の声で我に帰った私は、急いで話を戻した。
「うん、私はお母さんの連れ子・・・・お父さんは、4歳のときに病気で・・・・」
「そうか・・・そんな小さな頃に父親を亡くしたんだ、さぞ辛かっただろうに」
「うん・・・初めはそうだった。突然、お父さんの顔を2度と見れないって聞いた時は、泣きじゃくって母を困らせたわ・・・でもね、その時お母さんが『静香・・・辛くても、ママと・・ママと頑張って生きていこうね・・・・』って泣きながら私を抱きしめて言ってくれたの。その日から私は、お母さんの前だけではお父さんを失った悲しみを見せる事はなくなった・・・昨日、暁君の話を聞いた時、少しだけ自分に・・似てると思ったの」
確かに、私と静香は似ている所がありました。僕は、家では父の事で孤立している事を悟られない様に家では、一所懸命に作り笑いをして暮らしていた。一方の静香も、父親がいなくて寂しい気持ちを小さな胸にしまい、笑顔で暮らしていた。母に気付かれない様に、父親を思い出した日はお風呂場で悲しく泣いていたと言った。それは母親も同じだったと言う。静香の前では、強い母親を演じ、彼女を育てる為に仕事に励んだそうだ。
「だからね、お母さんが結婚したいと言った時、私はすごく喜んだの。私も大きくなり、手もかからなくなっていたから、母がやっと自分の幸せと向き合ってくれたことが、すごく嬉しかった・・・」
そう言っていた彼女の顔が、最後のほうに曇ったことに気が付いた僕は、その後、彼女の告白に戦慄する。
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