死神 8/24(木) 21:52:37 No.20060824215237
次の日夫は私に「久し振りに2人で出かけないか」
と言ってくれました。
夫は私が理不尽な態度を取っているにもかかわらず
それでもなお私に優しいのです。
どうして私は店長との関係を切れないのだろう?
これ以上夫を騙し続けていくことに何の意味があるのだろう
店長が飽きるまでずっと私は夫を拒否し続けて生きていくのだろうか?
それは夫を愛してるのではなく、私自身この生活を
無くしたくないだけなのでは無いだろうか?
今の生活を無くしたくないことと夫を愛していることは
同じことなのだろうか?だからと言ってこんなことを続ける理由なんて無いのに
私の中で答えの出ない問答が延々と繰り返されていました。
しかし夫が家にいるにも関わらず
無意識にお風呂に入って準備をしている私がいるのも
また紛れも無い事実です。
そのような自分の姿を鏡で見ながら私はどこで
間違ってしまったんだろうと考えていました。
体を拭き下着を履きドライヤーで髪を乾かそうとした
その時浴室の扉が開きました。
夫がそこに立って私の姿を見ているのです。
私ははっと気が付き「見ないで」と声を上げ泣いてしまいました。
夫は一時唖然とし、そして次の瞬間私に覆いかぶさり私の下着を
剥ぎ取ったのです。私の秘部は店長に剃られていましたから・・・
夫は私の秘部を見るとそのまま固まってしまい、その隙に
私は下着を手に取ると一目散に寝室へと向かいました。
何も考えられない・・・ただ何もかも無くしてしまった実感だけは
私の中に確かな事実としてありました。
『もうここには居られない・・・私は必要ない』
その言葉だけが頭の中を支配しています。
寝室から出るとき夫と鉢合わせし、一瞬夫の顔が見えました
その瞬間私は背中がちりちりと痛みそして
夫を突き飛ばし涙がこぼれるのが分かりました。
夫の手を振り切り玄関に向かう短い間ただここから逃げることしか
考えていませんでした。
私はこうなっても最後まで夫に向き合うことから逃げたのです。
玄関口で夫に捕まり私は何も考えられず、ただただ泣くことしか出来ないで
夫に何も言えず手を振り払おうとしていました。
その時夫が突然胸を押さえその場に蹲り何か言いたそうに口を開くと
そのまま倒れ、そして私は頭を抱え泣き叫ぶことしか出来ませんでした。
夫の呼吸が乱れぐったりした時、私はとっさに救急車を呼び
呼吸器を夫の口に当て、泣きながら必死に救命措置をしていました。
救急車が来て夫に付き添いながら夫の手を握っていると自然と
「ごめんなさい、ごめんなさい」
と言っている自分に気が付きました。そして夫がかすかに口を開いて
「諒子・・・諒子・・・」
と私を呼ぶのです。そして夫に顔を近づけたとき夫は
目を閉じながら
「すまない・・・愛しているんだ諒子・・・」
とうわごとのように言っているのです。
私はその場で崩れ落ち頭を抱えながら震え、救急隊員の人に抱えられなければ
車を降りることも出来ません、そしてしばらく椅子に座っていると看護士さんに
「大丈夫ですか・・・旦那さんは命に別状は無いようですよ。安心してください」
と言われた時私は人目を憚らず号泣してしまいました。
看護士さんは私の身を気遣いながら
「これだけ思ってくれる奥さんが居て旦那さんは幸せですね」
と言うのです。私は思わず「貴方に何が分かるの!」
と怒鳴ってしまいそしてすぐに自分がしてしまったことを思い出し
気が狂いそうになりました。
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