[Res: 77799] Re: 赦さない・・・② ヨシキリ 投稿日:2012/05/28 (月) 19:26
横山「里奈さん、顔を上げて頂けますか」
膝の上で固く握られた拳が微妙に震えている妻が、ゆっくりと顔を上げ正面の横山氏を見た。
横山「私は弁護士の横山真一と申します。こちらは寺岡敏文さんの奥様で麻美さんです」
妻は一瞬、目だけを動かし麻美さんを見た。
横山「そして、麻美さんのお父様とお母様です」
妻の口がかすかに動いたが言葉となって出てはこなかった。
横山「敏文さん、こちらは里奈さんのご主人で堀切吉次さんです」
と、紹介したが寺岡は私を見る事は無かった。
横山「里奈さん、もう状況はお分かりだと思いますが、取りあえずこれを見て頂けますか」
そういってノートパソコンの画像を数枚、妻に見せました。
横山「里奈さんと敏文さんで間違いないでしょうか?」
妻「・・・・・はい」絞り出したかのように声を出した。
横山「不貞行為をしている事を認めますか?」
妻「・・・」と言った時、チラッと寺岡を見た。
横山「認めますか?」少し強い口調になった。
妻「・・・はい」
横山「今回の不貞行為について、こちらは全ての証拠を持っていると思って頂いて結構です。
そこで今日は確認という事でお話しを伺いたい、決して嘘は言わないで下さい。
先ほど、敏文さんには同じ事をお聞きしましたので、今度は里奈さんにお伺いします」
横山「まず、不貞行為の切っ掛けとなる最初の連絡はどちらがしましたか?」
妻「・・・・・」
横山「どちらからですか?」
妻「・・・・・寺岡さんからです」
こう言った瞬間、寺岡が「ち・違うよ・・・」と口走った。
すかさず横山氏は「後で話しは伺いますから、話しが終るまで黙っていて下さい!」少しキツイ口調で言った。
この後、メモを取りながら横山氏が妻に質問をしていく。
しかし、この状況でスムーズには答えられない妻に、根気強く質問を重ねていった。
(実際は、言葉が出ないのか喋りたくないのか寺岡に気を使っているのか、定かではないが・・・)
その結果、やっと妻が語った事は・・・
結婚して1週間ぐらい経った時、寺岡さんから連絡が来て「前の事を謝りたい、結婚祝いもしたい」と言われました。
最初は断っていたのですが、3日ぐらい続けて連絡が来て1回だけなら良いかと会いました。
前の事をちゃんと謝ってくれて「あの時は仕方がなかった、今も好きなのは里奈だけだ」と言ってくれました。
飲んでいるうちに気持ちが揺れてしまい誘われるままホテルに行きました。
それからは前に戻ったように、寺岡さんにのめり込んでいった事に間違いありません。
今まで会った回数は、仕事終わりの夜と週末とで10回ぐらいだと思います。
会うのは全て寺岡さんの都合に合わせていました。
一度だけ、夫と喧嘩した翌日は、「どうしても相談したい事がある」と私の方から連絡を入れて会いました。
旅行は私のわがままを聞いてもらい、一緒に行ってもらいました。
言葉が詰まり、時には黙り込む妻から、これだけの事を聞き出すのにかなりの時間を費やした。
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