[Res: 78558] Re: 赦さない・・・③ ヨシキリ 投稿日:2012/06/15 (金) 19:40
そして日曜日、昼食を済ませて三井邸へと向かった。
三井邸に着き、いつものようにリビングルームに入ると、横山氏も含めて麻美さんと三井夫妻が居ました。
皆さんに挨拶を済ませソファーに座りました。
まずは、横山氏が私に向かって話した。
横山「麻美さんですが、正式に離婚されました」
そう聞き、私が麻美さんの顔を見ると
麻美「ごめんなさいね。堀切さんには当分の間は別れないでとか言っておいて」
私「別に麻美さんに言われたからではなく、俺にも考えがあっての事ですから」
麻美「でも無理を言ったのは確かですから」
そう言うと私の前に封筒を差し出した。
麻美「これは私の気持ちです」
私「なんでしょう?」
私が封筒の中身を見ると、中には札束が2個入っていた。
私「これは、受け取れないですよ」
麻美「そう言わずに受け取って下さい」
三井「出された物は、サッサと仕舞えばいいんだよ!」
三井さんの言葉に圧倒され、私は頷き「それでは遠慮なく」と言い、受け取った。
麻美「それから、ここに来て頂くのもお会いするのも、今日で最後にさせて頂きたいの」
私「はい」
麻美「やはりお会いすると今回の事を想い出してしまうから」
私「お気持ちは良く分かります」
三井「俺はとても残念だけど、麻美の為だからしょうがないな」
私「そうですね」
麻美「今後、もし何かありましたら横山先生にご連絡をお願いします」
私「はい分かりました」
このまま帰らなくてはならないような状況だったのだが、私は思い切って聞いてみた。
私「あの~・・・、寺岡はどうしているんですか?」
横山「はい、現在は実家に戻っています」
三井「いいよ横山君、俺から話そう」
横山「はい」
三井「もっと詳しい事が聞きたいんだよな」
私「まあ・・・」
三井「会社は懲戒解雇になったよ」
私「そうですか」
三井「会社で不正をしていたんだよ。それが先日発覚してな、損害賠償まで背負ったという事だ」
私は三井さんが仕組んだ事だと思ったが、まるで自分には関係が無いような言い方であった。
三井「本当に馬鹿な男だったよ」
私「それで今は実家に戻ったというわけですか」
三井「その実家も近いうちに手放す事になるんだよな」
横山「来月中には、そうなります」
私「そうなんですか?」
横山「三井さんが用立てている分もありますし、スーパーと実家を手放しても足りませんけれど」
三井「全て失っても足りないとはな~」
そう言って立ち上がると「もう、あの男の事はいいだろう」とトイレに行った。
本当は、もっと詳しく聞きたかったのだが、そんな雰囲気ではなかった。
これ以上ここに居る意味も無く、というより居づらいので私は帰る事にした。
帰りに奥さんがパックに入ったジュースを持たせてくれ、皆さんとお別れをした。
ビリヤードをして夕食をご馳走になって、などという甘い考えもあったが想像以上に早く帰る事になった。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)