弱い鬼 9/25(月) 06:47:33 No.20060925064733
この時点では妻はまだ彼を男として見ておらず、懐かしい幼馴染がたまたま男だったというだけの、気楽な気持ちで会っていたのが分かります。
今日も明ちゃんから連絡が入って会った。
会えば時間も忘れて昔話に花が咲き、昔に戻った様で楽しいけれど、流石にこう頻繁だと主人に申し訳ない。
家に帰ると嘘を吐いて会っている罪悪感から、主人の顔がまともに見られない。
最初二人で会った時に、正直に言っていれば何て事は無かったのだろうが、今になってはとても言えない。
恋愛感情など全くない関係だと言っても、散々嘘を吐いた事で信じてもらえないだろう。
主人に隠し事をされるのは嫌なのに、私が嘘を吐いているなんて。
明ちゃんには悪いけれど、主人を失ってまで会いたい相手なんていない。
明ちゃんに訳を話して、もう会うのをやめる事にしよう。
翌日妻が電話すると、彼は意外とすんなり承諾しました。
しかしそれから一月ほど経った頃、妻の携帯に彼からメールが入ります。
こちらの得意先との売上が増え、頻繁に来なくてはならないようになり、その度にホテルに泊まるよりも経費削減になるとかで、明ちゃんはこちらにマンションを借りたらしい。
家具は地元の知り合いで買って運んでもらったらしいが、電化製品や細々した物はこちらで揃えたいので、次の休みに買い物に付き合って欲しいとメールが入る。
すぐにメールで断わると今度は電話が掛かってきて、忙しくて何度も買い物に出られそうも無いので、一人だと大変だから無理を言えないかと頼まれた。
メールだと断われたのに、声を聞くと断われずに押し切られてしまった。
妻は私に話そうかと悩むのですが、結局休日出勤で帰りは遅くなると嘘を吐いてしまいます。
私も丁度出張が入っていたので、気にも留めませんでした。
主人に話せない。
話せないと言う事は、明ちゃんを男だと意識している事になる。
恋愛感情は全く無いが、それでもやはり後ろめたい。
絶対に今回限りで会うのをやめよう。
今まで妻は、彼と会った日は楽しかった事ばかり書いていましたが、会わないと決めたからだけでは無くて、今回は余程嫌な予感がしたのか気が進まないようでした。
しかし妻は出張先にいるの私に休日出勤だと嘘を吐いて会ってしまい、次の日の日記には、涙と思われる染みがいくつも付いていました。
私は何という事をしてしまったのだろう。
主人にどうやって謝り、償えば良いのか分からない。
私は人間として最低な、これ以上ない裏切りをしてしまった。
あなた、ごめんなさい。
謝っても済まないけれど、ごめんなさい。
それから数日は何も書かれていませんでしたが、少し落ち着いたのか一週間後に、日記と言うよりは私に充てた告白文が書かれていました。
あれから、あなたの顔を見る度に涙が出そうになります。
私がこんな事をしてしまうなんて。
あなたに謝りたいけれど、それすら出来ません。
私がこんなにずるい女だとは、自分でも今まで思わなかった。
あの事は思い出すのも嫌だけれど、二度としないように反省を込めて書く事にします。
もしも私が先に死んだら、あなたはこれを読むだろうか?
あなた、ごめんなさい。
これを読む前にこれだけは信じて下さい。
こんな事をしてしまって信じてもらえないかも知れないけれど、私はあなたを愛しています。
私が愛しているのは、世界中であなただけです。
あの日買い物が終わって、日用品などの細々したものだけ明ちゃんのマンションに運ぶと、部屋には地元で買ったという大きなベッドが既に置いてありました。
私が買った物をしまってから掃除していると、その間に明ちゃんが弁当を買って来てくれて、2人で食べた後少し休憩しようとベッドに寝転ぶと、お腹がいっぱいになったのと疲れから、2人とも眠ってしまいました。
明ちゃんはすぐに起きたようですが、私はあなたが出張でいない気楽さと、明ちゃんを信用していた事で眠り続け、目覚めると辺りは既に暗くなっていました。
その日買った電化製品は配達が明日になると言われ、部屋の明かりもその中に含まれていたので備え付けの常夜灯だけでは薄暗く、私が帰ろうとして起き上がると明ちゃんが突然覆い被さってきました。
私は必死に引き離そうとしたのですが男の力には勝てず、明ちゃんの下で罵声を浴びせていると明ちゃんが泣き出し、訳を聞くとずっと私の事を好きだったと言います。
その後も明ちゃんは私を抱き締めて放してくれず、中学生の頃からの想い話し続け、いつしか私は抵抗するのをやめてしまいましたが、明ちゃんにキスをされそうになった時、あなたの顔が脳裏に浮かんで自分のしている事が怖くなり、私は明ちゃんを幼馴染みだとしか思っていない事を告げて離れようとすると、明ちゃんは未だに童貞だと言いました。
私以外とはセックスは愚か、キスもしないと決めて生きて来たと言います。
一生私に操をたてて、一生童貞でいようと決めて、結婚もせずに誰とも付き合わなかったそうです。
私は申し訳ない気持ちと、可哀想な気持ちで一杯になってしまい、明ちゃんの頭を抱き締めてしまいました。
すると明ちゃんは、諦めていた気持ちが同窓会で会って揺らいだと告白し、一度でいいから私を抱きたいと言いましたが、私は主人を愛しているので、それだけは絶対に出来ないと断わると、今度は裸の私を抱き締めるだけで我慢する
と言ってまた泣き出しました。
私のせいで誰とも付き合わず、キスすらした事のない明ちゃん。
私のせいで結婚もせず、今後も一生童貞でいる明ちゃん。
部屋が暗かったのもあってセンチメンタルになってしまい、私も涙を流しながら服を脱いでしまいました。
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