弱い鬼 10/25(水) 06:34:33 No.20061025063433
妻は気だるそうに私の膝から降りるとパンティーを直し、床に座り込むと泣き出しました。
「昨日君江さんが来たの。そして君江さんは言ったの。あなたは君江さんを私だと思って抱いていると。普段でも私の事ばかり考えていると」
確かに最近の私は妻の事を考えていました。
君江さんの身体に、寂しさをぶつけた事もあります。
しかし君江さんを妻だと思って抱くような、そんな失礼な事はしていないつもりでしたが、彼女はそう感じていたのでしょう。
「私は嬉しかった。凄く嬉しくて、何も考えずに来てしまった。でも、あなたの顔を見たら怖くて感情を出せなかったの。君江さんの勘違いじゃないかと。やっぱり君江さんの勘違いだった。あんな事をしてしまって許してもらえるはずが無い。そんな事は分かっていたのに」
妻は寝室を飛び出して行ってしまいましたが、私は後を追う事が出来ません
それは意地を張っていただけではなく、君江さんの名前が出た事で彼女を思い出してしまい、彼女に対して後ろめたい気持ちから動けなかったのです。
『俺は君江を、ただの慰み者にしていた訳ではない。俺を裏切った優香が嫌になり、優しい君江を愛したから関係を続けていたんだ。今の俺は君江を・・・・・』
そう自分に何度も言い聞かせていましたが、玄関の辺りで物音がすると、私は君江さんの事も忘れて部屋を飛び出していました。
「どこへ行く!お前は君江の代わりに来たのだろ。自分だけ満足してさっさと帰ってしまうのか?本当に勝手な奴だ」
この時の私には、この様な言い方でしか妻を引き止められませんでした。
「分かりました」
妻は玄関にバッグを置き、俯いたまま寝室についてきます。
「早く脱げ。裸になってそこに横になれ」
妻に覆い被さって乳房を乱暴に掴むと、乳首の先から乳が飛び散りました。
『これは息子の』
神聖なものを触ってしまった気がして、性欲はどんどん失われていきましたが、私の口から飛び出した言葉はそうではありません。
「やめた。奴に散々突っ込まれた穴に入れる気なんて起こらない。散々奴の精液で汚された身体を抱く気にはなれない。優香だって、本当は俺なんかに抱かれたくないだろ。今夜はもういいから明日は早く起きて、洗濯と掃除はちゃんとしていけよ」
結局この日は別々の部屋で寝て、朝起きると妻は洗濯機を回しながら朝食の準備をしていました。
「おはよう・・ございます」
妻を見ると目が真っ赤で、眠れずに夜通し泣いていたようです。
妻はこのあと家中を掃除し、昼食の準備を始めた時に玄関のドアを乱暴に叩く音が聞こえました。
「開けろ!優が来ているだろ!開けろ!」
近所の手前もあってドアを開けると、彼は私を押し退けて勝手に入っていってしまいます。
「優の実家に行って中の様子を伺っていたが、どうも様子が変だったのでもしやと思って来てみたが、やっぱりここに来ていたか。優、帰ろう。優を幸せに出来るのはこの男じゃない。こんな所にいても幸せにはなれない」
すぐに彼の後を追って肩を掴むと、彼が手首を掴んで捻った為に私は仰向けに倒れ、馬乗りになった彼に両腕を押え付けられて自由を奪われてしまいました。
「放せ!」
「優に付き纏うなと言っただろ!もう優に近付くな」
「放して!この人に何かあったら、私は絶対にあなたを許さない!」
妻を見ると、両手で包丁を握り締めています。
「優!」
「もう私に付き纏わないで!」
妻は包丁を前に突き出した状態で、彼に向かって走り出しました。
「優香やめろ!健太はどうなる!」
私の声で妻は立ち止まりましたが、鋭い眼差しで彼を睨みつけています。
『嘘じゃなかった。優香は俺を・・・・・・』
しかし私を助けようとしたのは、私への愛からだけでは無い事を次の言葉で知ります。
「どうして?人を力で押え付けるのは、体だけでは無くて心まで押え付けてしまう事を知っているはずなのに。それなのに・・・・・・もう二度と私の前に現れないで!」
「優・・・・・俺は・・・・・」
彼は妻の視線から逃げるように俯くと、立ち上がって玄関に向かって歩き出しました。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)