WR 1/12(金) 18:12:49 No.20070112181249
夏が過ぎて季節は秋になり、妻は物思いに沈むような表情をすることが多くなり、口数も少なくなっていきました。私が話しかけても心ここにあらずといった様子です。
私はさすがにおかしいと思い始めますが、原因がわからないので対策の打ちようがありません。しかし10月に入ったある土曜日の夜、私が突然妻からセックスを拒絶されたことから、溜まっていたマグマが一気に地上に噴出すように事態が動き出しました。
「どうしたんだ? 生理は先週終わったはずだろう」
「ごめんなさい……出来ないんです」
それまで私たちは月に2、3回はセックスをしていました。妻の生理のとき以外はほぼ毎週といったペースです。それが年齢に比べて多いのか少ないのかわかりませんが、妻も私との行為を十分楽しんでいるしと思っていました。
体調が悪いときはもちろん無理には求めませんし、こちらもそれなりに雰囲気に気を配っているせいか、これまで妻が私の誘いを断ることはほとんどなかったのです。
「先週は生理、先々週は香澄は佐和子さんや美奈子さんと旅行に行っていたし、その前は確か風邪気味ということだった。かれこれ一ヶ月もしていないぞ」
「……」
「何か理由があるのか? 身体の具合でも悪いのか?」
「……すみません。そういった理由ではありません」
「ではなんだ? 言ってくれないとわからない」
「……」
妻は思いつめたような表情で黙っていましたが、意を決したように顔を上げました。
「彼が……あなたとはもうするなと……」
私は妻が何を言っているのかわかりませんでした。
「今何と言った?」
「ですから……彼が、あなたとはもう……セックスをするなと言っているので……」
「何だと?」
私は耳を疑いました。
「どういう意味だ? 彼とは誰のことだ」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「謝っているだけではわからない。きちんと話してくれ」
私は妻の身体をゆすります。妻はブルブル肩を震わせていましたが、やがて驚くべき名前を口にしました。
「真一さんです……」
「真一?」
その名前を聞いても私は一瞬誰のことかわかりませんでした。妻が個人レッスンをしている二人の教え子の話題がここのところ妻の口からほとんど出なかったため、村瀬という青年のことは私の念頭からすっかり消えていたのです。
しかも、47歳になる妻が「彼」と呼ぶ男が、今年22歳になったばかりの村瀬だということがとっさに私の頭の中で結びつきませんでした。
私は急に夏休み前に妻が思わず発した「真一さん」という言葉を思い出しました。それは説明のつかない違和感になって私の心の中に澱のように溜まっていたものです。ようやく私はその違和感の正体がわかりました。
「……村瀬のことか?」
妻はこっくり頷きます。
「どういうことだ? 村瀬と付き合っているのか?」
再び頷く妻が、パジャマの襟をしっかりと押さえているのに気が付きました。かっとなった私は妻の襟に手をかけます。
「駄目……」
「見せてみろ」
「許してっ」
「見せるんだ」
私は無理やり妻の襟をこじ開けます。パジャマの第一ボタンがはじけとび、妻の肩が露わになりました。
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