WR 1/25(木) 17:52:58 No.20070125175258
「今がその償いの時期じゃないのか」
「違いますっ!」
村瀬はまたも大声を出します。
「こんなのは償いでもなんでもありません。ただの偽りの世界ですっ」
ご主人に本当の愛とはどんなものなのか見せてやるとわめきながら村瀬は電話を切りました。
(ふん……)
村瀬は一体どう出るだろうかと私は考えます。怒りのあまり自爆的なこういに出れば私の思う壷ですが、それほど単純にいくかどうかは疑問です。
私は当初は単純に自分を裏切った妻と、その相手の村瀬に対して復讐が出来ればよいと考えていましたが、次第にその考えは変わってきました。25年もともに暮らした妻がどうして私を裏切ったが知りたくなったのです。
水曜の夜、例によって妻を苛めてやろうと声をかけた私に、妻は「生理になったから今夜は許してほしい」と頼みます。
「本当か?」
「本当ですわ……ほら」
妻はスカートをまくり上げて、ナプキンで膨れた股間を見せます。もちろんパンティは履いているものの、その大胆な行為に私はやや鼻白みました。以前の妻はこんなはしたないことができる女ではありませんでした。
(わざと羞恥心を見せないようにしているのか。恥ずかしがったら俺を喜ばせるだけだと思っているのかもしれないな)
妻がこの前いつ生理だったのかはっきり覚えていませんし、仮に周期がズレていたとしても、妻の年齢ではそれほど珍しいことではありません。男は女から生理と言われれば深追いする訳にはなかなかいかないものです。
「そうか、わかった。今夜は何もしないでおこう」
「ありがとうございます」
妻はペコリと頭を下げました。その表情が妙に冷めているのが私には気になりました。
翌日の木曜の夜、私がいつもより早く帰って来ると、妻がダイニングテーブルでノートパソコンを開いていました。
「お帰りなさい」
妻があわてて立ち上がります。
「何をやっていた」
「ちょっとインターネットで調べ物をしていたの」
「村瀬と連絡を取っていたんじゃないだろうな」
「そんなことしないわよ。何ならメールのチェックをしてもいいわ」
妻は憮然とした表情でそう言います。
「ふん……」
私は少し迷いましたが、ここで曖昧にするのは気分がよくありません。私は妻のパソコンのメールソフトを立ち上げ、受信フォルダをチェックしました。
「……」
とくに怪しいメールはありません。続いて送信メールや、フォルダ毎に分類された過去のメールも見ましたが、村瀬とのやり取りの形跡はありません。
「以前のものも一切ないというのはどういう訳だ」
「連絡は携帯でしていたから……」
「そうすると、今も携帯で連絡をとっているんじゃないのか」
「あなたに連絡を絶つと約束してからは、電話もメールもしていないわ。なんなら通信履歴やパケットの使用料を調べてもらっても良いわ」
そこまで言われるとこれ以上追求する訳にも行きません。なんとなく妻の行動に不審を感じている私でしたが、証拠がないのです。私はここは引き下がることにしました。
夜、ベッドに入ってもなかなか寝付けません。私は村瀬と妻がなんらかの連絡を取っているのではないかと考えましたが、その方法が分かりません。
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