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北原夏美 四十路 初裏無修正

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WR 1/30(火) 12:55:23 No.20070130125523

私は「香澄」のページにアクセスします。香澄のマイミクは私一人です。もともと誰かの招待がないとページは作れないはずですが、香澄はおそらく「かすみん」として登録していた自分自身で「香澄」を招待し、「かすみん」名義の方は退会したのではないかと思います。そこには村瀬や久美との関係を断ち切る意図があったのかも知れません。

そこには簡単なプロフィールと日記だけが置かれてあり、コミュニティの登録などはありません。私は香澄の日記の最初の記事をクリックしました。

「あなたへ」

1行目の文字が飛び込んで来た時、私はなぜかとても懐かしいものを見たような気がしました。私は香澄の日記を読み続けます。


「あなたへ

いつか読んでもらえる日が来るかもしれないと思い、あなたへのお手紙を書くことにしました。パソコンは置いて来ましたので今は美奈子のものを借りて書いています。ミクシイというのは本当に便利ですね。

あなたは香澄が死んだものと思うとおっしゃいました。死人からの手紙を読まされるのは気分の良いものではないかも知れません。不快に思われたら申し訳なく思います。

それでもこうやってお手紙を書いているのは、私があなたに、村瀬君とのことをきちんと説明出来ないままだったからです。これから新たな生活を始めようとされているあなたにとっては今更聞いたところで不愉快なだけかも知れませんね。どうか私の最後の我儘だと思ってどうかお許しください。

それと始めにお断りして置きますが、これは遺書ではありません。これ以上馬鹿なことをしてあなたにご迷惑をおかけする積もりもありませんので、どうかその点はご心配なさらないでください。

私が村瀬君とどうしてあのような関係になったのか、最初は自分でも分かりませんでした。あなたのことを愛していたのは事実です。以前あなたから聞かれた時、村瀬君とのことは恋ではないと言ったことがあります。あれも私の本当の気持ちなのです。

家を出てからアパートに落ち着くまで、美奈子や佐和子のお世話になったので、2人には今回のことは話しました。案の定とても叱られてしまいましたが。

美奈子や佐和子は陽一と栄治が独立した寂しさから、母性の行き場を求めたのではないかと言ってくれました。確かにそういう理由もあったのかも知れませんが、それだけではありません。

私は目の前に迫って来る老いが怖かったのだと思います。私ももうすぐ50です。あと何年あなたは私のことを女と見てくれるだろうかと、訳もなく不安になりました。そんな時に、無条件の憧憬を捧げてくれる若い村瀬君に惹かれたというのが私の本心だと思います。昨年の5月の連休に、久美さんと一緒とはいえ村瀬君と一緒に旅行するということに、私は確かにうきうきしていました。

村瀬君がただの若い男というだけでは私はこれ程は惹かれず、また仮にそうなったとしても肉体関係を結ぶなどと言うことは決してなかったと思います。5月の旅行で突然村瀬君と2人きりになってしまい、それが久美さんの計画だと知った時、私はその場で帰るつもりでした。

ただ久美さんから理由を聞かされ、旅行を続けることを懇願され、そして私が半ば恐れ半ば期待したようにその夜村瀬君から身体を求められた時に許してしまったのは私なりの理由があるのです。

あなたは否定するかも知れませんが、村瀬君は昔のあなたにとても良く似ています。顔のどこがどう似ているという訳ではないのですが、全体の雰囲気や話し方が学生時代のあなたを思わせます。自信家で負けず嫌いなところ、我儘で理屈っぽいところ、そしてとても優しいところ、あなたにそっくりなのです。

その気持ちをより深く持ったのは村瀬君のフルートの音色でした。村瀬君は私に認められたいと懸命に練習し、ロングトーンや音階などの退屈な基礎練習を必死でこなしました。そうやってみるみる上達して行く姿や、そのフルートの澄んだ空気のような音が、昔のあなたにそっくりでした。

あなたは昔、私が住む日本海の近くの町に来てくれた時、2人で蜃気楼を見に行ったことを覚えていますか。とても美しくて不思議な海上の浮き島に見とれる私に、あなたは蜃気楼がどうして出来るのか教えてくれました。

蜃気楼は空気の状態の加減で光が屈折し、遠くの風景がすぐ近くにあるように見える。私は遠くにある実態を幻のように見ているのだと。

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