柴田 2/25(日) 08:33:43 No.20070225083343
青山明、54歳。
大学時代に近所の若い奥さんと不倫して、相手が離婚したために責任をとるような形で卒業と同時に結婚したが、彼女とは一年で離婚している。
二番目の奥さんもやはり人妻で、彼女が妊娠したのを切欠に35歳で結婚して2人の子供を儲けたが、半年前に女癖の悪さが原因で離婚していて、まだ学生の子供2人は奥さんが引き取る。
昔は可也の道楽息子だったらしく、仕事もろくにしないで遊び歩いていて、先代の社長である父親に勘当されたが母親が甘く、その間も十分過ぎる生活費を渡していたので懲りずに遊び歩いていた。
そして7年前に父親が急死し、母親が呼び戻して社長に就任。
清水美穂、46歳。
以前は青山の会社にパートとして勤めていたが、青山との関係がご主人に知られて離婚されたのを切欠に、会社を辞めて3年前に小料理屋を始める。
この時の開店資金は青山から出たものと思われる。
「女癖が可也悪いですね。浮気相手は人妻ばかりで、身近な人間でもお構い無しのようです。奥様の他にも過去に男女の関係になったパートさんが何人かいて、中には社員の奥さんとそのような関係になった事もあったらしいです。しかしこれはあくまでも噂で、その人達は会社を辞めてしまっているので裏付けは取れませんでしたが」
人妻ばかりと言う事は、青山は他人の物を奪う事に興奮するのか。
妻も青山の、そのような欲求を満たすためだけに抱かれていたのか。
私は怒りよりも、妻の事が哀れに思えた。
「昨夜の事ですが、どうして妻はあのような状態に?」
「言い難いのですが、昨夜も奥様は青山とホテルに行きました。ただ、今までと違って、昨夜は後からもう一人男が・・・・」
私には所長の言っている意味が理解出来なかった。
「青山とホテルに行った後、別の男と会っていたと言うのですか?」
「違います・・・・・」
青山は食事の時に酒を飲むので、いつも妻の運転で移動していた。
昨夜も食事してから妻の車でラブホテルに行き、30分ぐらいして高級外車に乗った男が入っていったが、その車と一瞬見えた男の横顔に見覚えのあった調査員が見に行くと、その車は妻の車が止めてある車庫の前に泊まっていたと言う。
「その男が、青山の会社に入っていくのを見掛けた事があったそうです。そこのラブホテルはワンルームワンガレージなので、おそらく奥様達の部屋に・・・・おそらくと言うか、間違いなく奥様達と」
「つまり、3人で楽しんでいたと!」
所長はテーブルの上に二枚の写真を並べた。
一枚には青山がその男の車の助手席に乗って出て来る写真。
もう一枚は妻が自分の車で、一人で出て来る写真だった。
「男二人が先に出て、奥様が出てこられたのは30分も経ってからです」
私の脳裏に、二人の男を同時に相手している妻の姿が浮かぶ。
一人の男に乳房を弄ばれながら、もう一人の男に性器を舐められている妻。
一人の男に突かれながら、もう一人の男を口で慰めている妻。
人一倍恥ずかしがり屋で、ミニスカートすら穿いた事のなかった妻が、二人の男の前で裸体を晒した。
性には奥手で声が出てしまうのも恥ずかしく、限界まで声を出さないように我慢してしまう妻が、二人の男の前で恥ずかしい声を上げ続けていたのか。
「ラブホテルを出てからの様子を見ると、おそらく奥様はこの男が来る事は知らなかったと思われます」
「青山が妻に黙って、勝手にその男を呼んだと」
「それは分かりませんが、奥様は可也のショックを受けたのだと」
青山に対して殺意が芽生えた。
しかしこのような事に慣れている所長は、私の心を見透かしていた。
「絶対に暴力はいけませんよ。増してや犯罪になるような事は。それこそお嬢さん達が悲しむ」
「では、どうしろと!」
「慰謝料を請求しましょう」
私は慰謝料など請求しても、社長である青山には何のダメージも与えられないと思った。
「離婚しない場合、100万取れれば良いところです。これではダメージも少ないので、奥様と離婚して500万請求しましょう」
「妻と離婚する?」
私は離婚だけは避けたかった。
私を裏切り、他の男を体内に受け入れた妻でも、正直まだ未練があった。
結婚して18年、付き合いを入れると20年の重みを、この一ヶ月あまりの出来事で捨て去る事は出来ない。
何より500万取れたとしても、そのぐらいのお金は青山にとって、痛くも痒くもないと思っていたのだ。
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)