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北原夏美 四十路 初裏無修正

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柴田 3/16(金) 08:55:25 No.20070316085525

私はそれを聞いても、これもまた言い訳の言い訳ではないのかと思った。
「今回また裏切った事について、妻は何か言っていましたか?」
「言い難いのですが、奥様は二人の男性に・・・・」
先生には全て話したつもりだったが、その事だけは話していなかった。
隠そうと思っていた訳ではないが、あまりの事に話せなかった。
「すみません。その事は知っていますから続けて下さい」
二人を同時に相手するなど、妻には信じられない世界だった。
それで激しく抵抗し、何度も逃げ出そうとするが男二人の力に勝てず、自ら服を脱いで裸体を見せてくれれば今日は許してやると言われ、惨めな気持ちで涙を流しながらも従ってしまう。
しかしそれで許してもらえるはずもなく「嫌だと言いながら、自分から服を脱いで誘っているぞ」と二人に笑われながら、押さえつけられて嬲られ続ける。
そして逆らう気力も無くなった頃、今中に抱えられて大きく脚を開かされている姿や今中と繋がって喘いでいる姿を、記念撮影だと言いながら今中の携帯を手にした青山に撮られてしまう。
「写真で脅されたのでしょうか?」
「いいえ。直接は脅されてはいないと言っていました。しかし奥様は脅されていると感じていたようです」
今中は「あの夜を思い出して、毎日写真を見ながら自分でしている」とか「あの時は興奮していて覚えていないが、千里のはこんな厭らしい形をしていたんだ」とか言って、私のいない昼間に電話してきては、写真の存在をアピールしながら誘ってきた。
しかしそれでも断わり続けると、女将と関係を持った夜に私が留守なのを良い事に青山と二人で現れて、酔って意識の無い私と女将が裸で絡み合う画像を見せた。
私の不倫相手は恵理だと思っていたが、本当は女将の方だったと言いながら。
「あれはご主人が罠に嵌められたのだと、本当は分かっていたと言っていました」
それを言われると私にも罪悪感が湧く。
確かに彼らの企んだことかも知れないが、私は自分の意思で女将を抱いた。
酔い潰れている私を見て思い付いたのか、彼らが来た時には既に女将にされていたのかは分からないが、罠に嵌ったのではなくて自分の意思で小料理屋に行ったのだ。
女将とあのようになるとは夢にも思わなかったが、何かを期待して恵理のいる小料理屋に。
妻はずっと恐怖を感じていた。
今中が自棄になって、あの夜の写真を誰かに見せたらどうしようと。
脅すような事ははっきりとは言わなかったが「母親のこんな姿を見たら、娘さん達は驚くだろうな」などと言われると、今中の気分を損ねて娘に見せられたらどうしようと。
私に打ち明けようと考えた事もあったらしいが、二人の男の嬲り者になりながら、明らかに感じている姿を見られたくなかった。
その恐怖から逃げる為には、今中の誘いに乗るしかないのかと悩んでいた矢先、私と女将の関係を言われ、やはり私が裏切っていたと思い込む事で言い成りになってしまう。
しかしそれらも切欠にはなったが、本当の理由は寂しかったからかも知れないと言っていたらしい。
青山によって更に開発されてしまった妻は、私とは以前の夫婦には戻れない寂しさから、何もかも忘れるぐらい無茶苦茶に抱いて欲しいと思ったのかも知れないと言っていたそうだ。
妻は自分が壊れてしまわないように、私に責められるとあれは仕方がなかったと心の中で反発出来た。
私ばかりが悪いのではないと、心の中で叫んでいた。
しかし私に優しい言葉を掛けられた時、自分が凄く醜い女に思えてきた。
自分を偽っていただけで、全て浮気心から始まった事だと認めざるを得なくなる。
身体が男を求めてしまったのが最大の原因なのに、浮気がばれると全てに勝手な理由をつけて逃れようとする醜い女。
そんな自分を認めた時、妻の心は壊れ始めた。
医者はそこまで言うと黙ってしまう。
「私を呼んだと言う事は、私に何をしろと?」
「奥様は自分を許せない気持ちと戦っていますが、おそらく許せずに一生自分を卑下して暮らすでしょう。しかし本当に許して欲しい相手は、自分ではなくてご主人です」
しかし私には良い返事が出来ない。
心の病も自業自得だと思う気持ちが無い訳ではなく、このまま妻を許す自信など無かった。
「離婚届も書いたと聞きました。もうすぐ他人になる相手なんか、どうなっても良いと言われればそれも仕方ないでしょう。しかし今なら早く治すことが出切る。奥様一人の力では、治すことが出来ても時間が掛かります。本来私の立場からすれば、夫婦の問題には口出し出来ないのですが、お子さんの為にも・・・・・・ここは・・・」
子どもの事を言われると弱い。
このような事をしてしまった妻でも、子供達には掛け替えの無い母なのだ。
「離婚を思い止まって欲しいと言っているのではありません。しかしこのまま別れて、後の事が気になりませんか?20年近くも一緒にいたら、楽しい思い出も沢山あったのではないのですか?」
沢山あったどころか、今回の事が起こるまでは楽しい思い出ばかりだ。
「しかし今回の事が大き過ぎて」
「確かに許される事ではありません。私が同じ様な立場なら、この様なお願いは出来なかったかも知れない。しかし今回の事で、今までの全てを捨て去れますか?今までの事全てを消し去る事が出来ますか?何も全面的に許してやって欲しいとは言いません。何か罰を与えてもいい。いや、返って罰を与えた方が奥様のためには良いのかも知れない」
私は考えてみるとだけ言って医者をあとにした。

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