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北原夏美 四十路 初裏無修正

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悪い夫 4/4(水) 00:19:37 No.20070404001937

妻は北村と会うのを凄く楽しみにしていて、初めてのデートに向かう少女のようで少し可哀想な気もしましたが、流石に相手は私なので会わせてあげる事は出来ません。

奈美さんごめんなさい。
今朝から何となく気分が優れなかったのですが、そちらに向かう電車の中で具合が悪くなってしまって、会議にも出席出来ずに途中で引き返して来てしまいました。
私から無理なお願いをしておいてすみません。
詳しい事はまたメールします。
本当にごめんなさい。

別に心待ちにしていた訳ではないので、お気遣いご無用です。
お体を大切にして下さい。

妻の返事は冷たいものでした。
わざわざ楽しみにしていなかったと書かれてあった事で、逆に妻の落胆振りが見て取れます。
美容院に行き、新しい下着まで買ってお洒落して出掛けたのですから当然なのでしょう。
メールではあのような事を書いてきていても、妻は時間が許す限り一緒にいたいと思っていたのが分かります。
もしも北村が宿泊先のホテルの部屋で話そうと言ったとしたら、妻はどのような反応を示したのでしょう。
怒って帰った。
ホテルの部屋で話すのは断わったが、その代わり違う場所で話をしようと言った。
話をするだけだと念を押して、ホテルの部屋について行った。
妻は私への罪悪感など忘れるほど、北村に会える事を楽しみにしていたのです。
ホテルの部屋で話そうと言われれば、今までの私なら間違いなく妻は怒って帰ると思ったでしょうが、新品の下着を穿いて行った事などを考えると自信が揺らぎます。
何より例え話すだけにしても、妻が私に嘘を吐いて男と会う事自体、今までの妻からは信じられない行為なのです。
私は妻が早く帰っていた事についてどのような言い訳をするか楽しみで、いつもよりも早い時間に帰りましたが、北村と会えなくなって帰って来ていると思われた妻はまだ帰って来ていませんでした。
送別会がなくなった理由が思い浮かばずに、どこかで時間を潰しているのかとも思いましたが一向に妻は帰っては来ずに、11時になっても帰って来ません。
妻は昔の彼の事を思い出し、その事を振り払う為に北村と会う気になったのかも知れません。
しかしその北村は彼に似ている。
そうなると妻が一番会いたかったのは別れた彼なのでしょう。
不安になった私が電話を掛けてみると妻は出ずに、10分後に妻の方から掛け直してきました。
「ごめんなさい。盛り上がってしまっていて聞こえなかったの」
「その割に静かだが何処にいる!」
「喧しくて聞こえないから外に出て来ました。もうすぐ帰りますから」
妻が帰ってきたのは、その後一時間も経ってからでした。
「名残惜しくて二次会まで付き合ってしまって遅くなりました。ごめんなさい」
「明日は休みだから遅くなるのは別に構わないが、それにしても遅過ぎないか?」
私が騙した事なので、嘘を吐くなとは言えません。
「ごめんなさい」
妻の顔を見ていると少し落ち着いてきて、やはり何処かで時間を潰していたのだと思う事にしましたが、この日を境に妻の帰宅が遅くなる日が度々あり、北村に成り済ました私のメールへの返信も激減しました。
「最近帰りの遅い日が増えたな」
「色々問題が起きてしまって、懐疑や家庭訪問をしたりしていて遅くなってしまうの」
しかし妻は私と目を合わさず、嘘を吐いている事は明らかです。

最近メールをくれないけれど何かあったの?
学校の事で何かあったのなら、私で良ければ相談に乗るよ。

いいえ、仕事の事では無いから。

教育の事なら北村に相談したでしょうが妻からの返信は一行だけで、やはり生徒の事で遅くなっているようではありませんでした。
私は何とか聞きだそうと一日に何度もメールしましたが、妻は打ち明けて来ないどころか、ほとんど返信もしてきません。
妻は私に隠れて北村とメール交換している事に罪悪感を持ち、このような事は避けようとしているのか。
いいえ、どちらかと言うと北村に興味が無くなったように感じます。
嫌いで別れた訳ではない彼に似た、北村よりも惹かれる存在が出来たのだとすれば、それは彼本人しかありません。
私はその様な事を心配していましたが、まだ妻に限ってという気持ちの方が大きくて、妻と話し合ったり動いたりする事はありませんでした。
何よりも話し合うには、私がこのような卑劣な事をしていた事も話さなければなりません。
そうこうしている内に、妻は毎週のように決まった曜日に遅く帰るようになり、
休みの日も色々な理由をつけて出掛ける事が増えていきます。

今までありがとう。
これを最後にさせて頂きます。
さようなら。

このメールを境に一切返事をして来ないようになったのですが、妻は相変わらず隠れてメールをしているようです。
そして終に、私は妻の携帯を覗いてしまいました。

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