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北原夏美 四十路 初裏無修正

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投稿者:MM 投稿日:2004/03/31(Wed) 00:37

5月20日(火)
朝9時に妻の携帯から電話すると。
「美鈴どうした?不都合な事でも起こったのか?」
「美鈴?不都合な事?今から家に来い。話がある。用件は分かっているはずだ。」
「あっ、ご主人。いえ。今から仕事で。今からは無理かと。今からは・・・・・・。」
「仕事?人の家庭を無茶苦茶にしておいて、仕事だと?それならいい、今から俺がそちらに行く。」
誰か近くに来たのか、口調が変わり。
「いいえ。今から御社にお伺い致します。」
「御社?会社ではまずいのなら、すぐに来い。」
野田が来たのは11時を過ぎていました。部屋に入り腫れた妻の顔を見て全て悟り、立ったまま
頭を下げて謝罪しています。
「大きな会社の課長までしていて、謝り方も知らんのか?」
野田が慌てて土下座したのを見て近くに行き、蹴り倒して馬乗りになり、妻の時とは違い拳で2
発殴りました。次に拳を振り上げた時、その腕に妻が両手で縋り付き。
「あなた、もう止めて。許して下さい。どんな償いもします。何でもします。お願い、許して。」
野田は私が離れると、ハンカチで鼻血を拭きながら、ゆっくりと起き上がって正座しました。
「どうしてこうなった?妻が好きなのか?遊びか?」
「私の家は家庭内別居しているようなもので、最初は相談に乗って貰っていましたが、その内に。」
「好きになったのか?お互いに好きという訳か。いいぞ、離婚してやる。今から連れて行け。た
だ俺も長年親しんだ身体だ、名残惜しいので最後に1度だけさせろ。」
妻の着衣を荒々しく剥ぎ取ろうとすると、妻は泣きながら抵抗します。それでも下着だけの格好
にして野田を見ると、俯いたまま黙っていて顔を上げません。
「お前も見慣れた裸なので、あまり興奮しないかも知れないが、どうだ?いい身体だろ?40歳
を過ぎているとは思えないだろ?この身体を譲るのだから安くは無いぞ。美鈴、身体の中まで散々
見せた間柄だろ?恥ずかしがらずに、いくらで買って貰えるか立ってよく見てもらえ。」
妻は膝を抱えて泣いています。
「申しわけ御座いませんでした。許して下さい。離婚までは望んでいません。もう二度としませ
んので、許して下さい。」
「あなた、ごめんなさい。もうしません。ごめんなさい。」
野田は、明日また来るので、今日はもう許して欲しいと言いました。
「明日までに考えておくから、お前もよく考えて来い。それと、離婚するつもりでいるが、もし
離婚しない時でも、こいつはもう家政婦としてしか置くつもりは無い。家政婦を抱く訳にもいか
ないから、女を抱きたくなったら金が掛かる。慰謝料は多い目に頼むな。」
こんな妻でも今までの生活を考えてしまい、情けない事にまだ未練があって、別れられないと思
っていても、汚い言葉で強がりを言ってしまいます。別れる気は無くても、別れると言って二人
に対して強がる事だけが、妻を寝取られた私に残されたプライドでした。野田が逃げるように帰
ってから。
「美鈴、これからどうしたい?俺は別れたいが、お前はどうだ?お前にお願いがある。もし別れ
たら子供達には出来るだけ会わないで欲しい。お前のような人間にはしたく無いからな。」
私は女々しいと分かっていても、子供の事まで持ち出して繋ぎ止めようとしました。別れたくな
いのは未練だけでなく、自分だけが不幸になり、また妻が野田と付き合い、最悪再婚でもして幸
せになる事が許せない思いもあります。本当に女々しい男です。
「離婚だけは許して下さい。家政婦でもいい。ここにいたいです。あなたが好きです。お願いし
ます。離婚だけは・・・・・・。彼とは別れます。忘れるように努力します。」
「忘れるように努力する?何だそれは。もういい。」
「ごめんなさい。あなたに悪いと思いながらも、正直に話しました。もう二人では絶対に会いま
せん。ごめんなさい。ごめんなさい。」
「お前はあいつのどこに惹かれた?セックスか?あいつは上手いのか?」
「違います。最初、昨年の忘年会が終わってから、聞いて欲しい事があると言われて、二人で喫
茶店に行きました。彼は奥様が浮気してから奥様を許せない事、それでもまだ愛していて別れる
事が出来ない事を打ち明けてくれました。彼は仕事も出来、人望もあって強い人間だと思ってい
ました。決して人前では弱みをみせませんでした。その彼が私の前では涙まで流し、気がおかし
く成ってしまいそうだから助けてくれとまで言いました。その後何度か仕事が終わってから、悩
みを聞いてあげる様になり、次第に関係も持つようになってしまいました。彼には以前から憧れ
の感情は持っていました。でもそれは愛情とは違い仕事が出来る強い男への憧れでした。でも私
だけに弱みを見せてくれる彼を助けてあげたい、心がいっぱいになった時は、少しでも楽にして
あげたいと思って会っている内に・・・・・・・・・・・・。ごめんなさい。」
「それが愛情だろ?愛してしまったのだろ?そうでないと俺を裏切ってまで旅行に行くか?」
「いいえ、愛しているのはあなた1人です。旅行に誘われてから、あなたに優しくされて、自分
が嫌で仕方がありませんでした。もうこの様な関係は止めなければと思いながらも、会いたい誘
惑に勝てず、あなたに申し訳ないと思いながらも・・・・・・・・。」
妻の言う意味が私には理解出来ません。二人の男を好きになったと思い。
「会いたいという事は好きという事だろ。俺との関係はそのままで恋人にも会いたい。それが許
せると思うか?あいつを助けるために俺をあいつと同じ目に合わせたと言う事は、俺より好きな
んだろ?あいつとはセックスをして、俺にはさせなかったと言う事は、そういう事だろ?」
「ごめんなさい。ごめんなさい。彼を嫌いではありません。いえ、好きです。でも愛情とは違い
ます。愛しているのはあなただけです。あなたを拒んだのも罪悪感からです。彼に抱かれた身体
であなたに抱かれる事は、あなたに悪くて出来ませんでした。あなたに誘われる度に罪悪感でお
かしく成りそうでした。ごめんなさい。ごめんなさい。」
「お前の話は到底理解できん。あいつに抱かれる時に罪悪感を持つのが普通だろ。言い訳しても、
結局はあいつに抱かれたかっただけだろ?このまま安定した生活を送りたいが、好きな人に抱か
れたい。好きな人に抱かれた身体を、好きでも無い俺に触られたくない。そうだろ?そんなに俺
を苦しめて楽しいか?面白いか?離婚してもお前とあいつだけは、絶対に幸せにはしない。幸せ
になりそうな時は、あいつを殺してでもお前を後悔させてやる。絶対に許さん。」
「そんな事言わないで。ごめんなさい。殺すなんて、そんな怖い事言わないで。離婚なんて言わ
ないで。ごめんなさい。ごめんなさい。」
その後泣き続けていた妻は簡単な夕食を作りましたが、自分は食べませんでした。二人を別れさ
せる事は出来ても、気持ちまでは縛れない事に苛立ちます。話を聞けば余計辛くなっても、妻と
話していないと本当におかしく成ってしまいそうで、少し落ち着いた妻に。
「あいつは離婚して、お前と一緒になるつもりだったのか?」
「それはありません。私の事を好きだと言ってくれましたが、彼も愛しているのは奥様だと思い
ます。最近になって“妻に裏切られ悩んだが、俺も他に好きな人が出来た事で、妻との関係も良
くなってきた。”と言っていましたから。」
「俺をこんな目に合わせて、自分は楽になったのか?そんな事は許さない。ぶち壊してやる。」
「お願いですから止めて下さい。私はどの様な罰も受けます。一生懸命償います。ですから、お
願いします。お願いします。」
まだ野田を庇う妻に怒りが増し。
「お前、あいつの事を知っているのか?今度の事もお前と先生に罪を被せて、自分だけ助かろう
としていた卑怯な奴だぞ。そんな奴と俺を比較されるだけでも頭にくる。」
「知っていました。先生をまだ憎んでいて許せず利用した事も、自分は逃げようとした事も。そ
こが彼の弱さです。卑怯だと分かっていても・・・・・・・・。」
妻は何か熱病にでも罹っているような状態で、私は理解に苦しみました。
「下種な質問をするが、お前は抱かれて感じたのか?あいつの物を咥えたのか?何度も絶頂の声
を上げたのか?手首が赤くなっていたが、縛られるような行為もしていたのか?それも感じたの
か?俺にばれなければ、まだ二人で会っていたと思うか?」
大粒の涙を流しながら全てに頷く妻を見て、無意識に右手を振り上げてしまいましたが、殴られ
る覚悟で目を閉じた妻を殴る事は出来ずに手を下ろすと。
「ごめんなさい。あなたをこんなに苦しめて。許して下さい。私は殺されても文句言えません。
私が一緒にいると、あなたを苦しめてしまう。あなたが楽なら離婚してもいいと今思いました。
離婚されても、殺されても仕方が無い人間です。ごめんなさい。ごめんなさい。」
離婚や死ぬ覚悟までした妻を、どうしたら良いのか分からず途方に暮れました。

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