投稿者:MM 投稿日:2004/04/22(Thu) 04:52
9月18日(木)
今日は午前中に仕上げるはずの書類が出来ずに昼食が遅れ、部下と2人で遅い食事に行って会社
に戻る途中、横断歩道で信号が変わるのを待っていると、助手席に妻を乗せた商用車が前を通り
過ぎて行き、妻は運転している男の方を向いて、笑いながら仕切りに何か話していたので、私に
気が付きませんでした。妻に気を取られていてはっきりは分かりませんでしたが、運転していた
のは野田だった様な気がします。それからの私は落着かず、仕事を定時で切り上げて家に帰ると、
私よりも勤め先が近いので、普段なら夕食の準備をしているはずの妻は、まだ帰っていませんで
した。それから30分ほどして帰って来た妻は。
「今日は早いのですね。どこか身体の具合でも悪いのですか?いつもより帰りが遅くなってしま
って、ごめんなさい。」
「どこかで道草でもしていたのか?」
「今日は企画した商品の見本が出来上がって来たのですが、思っていた物と少し違うので、修正
してもらっていて遅くなってしまいました。すみませんでした。お腹が空いたでしょ?今すぐに
作りますから、先にお風呂にして下さい。今仕度します。」
お風呂でお湯に浸かりながら、今日見た事をどの様に切り出そうかと考えていた時、ふと、この
様な思いをしてまで、なぜ仕事を辞めさせないのかと自問自答していました。今までは、経済的
な事と、仕事を辞めさせても会おうと思えば会う事は出来るので、妻自身が断ち切らなければ同
じ事だからという理由でしたが、よく考えてみるとそれだけでは無い様な気がします。
私は対外的には割りと威張っていました。妻も良く尽くしてくれて、私を立ててくれました。他
人から見ると亭主関白に見えたかもしれません。しかし妻もある程度の収入が有り、その上家事
までこなしていたので、私の中にどこか妻には頭が上がらない所が有りました。それが今回の事
で、夫婦の間では気持ち的に私が優位な立場になり、不安が有るくせに、この状態を続けたい気
持ちも、少しは有ったように思います。今までは妻にも働いてもらっているという思いが有りま
した。しかし今は、好きな仕事を続けさせてやっているという思いに変わっています。こんな危
険を冒してまで、こんなに嫌な思いをしてまでその様な小さな事に拘っている、本当に器の小さ
い男です。
お風呂を出ると妻は夕食の仕度をしていました。私は冷蔵庫から缶ビールを出して飲みながら。
「企画課にいると、自分達が企画した物を商品化する時、メーカーに出向く事も多いのか?」
何でもストレートに聞くのが1番良いと分かっていても、今の私には出来ません。
「いいえ。時には行く事も有りますが、ほとんどはこちらに来てくれます。私が行くのは、月に
1度有るか無いかです。」
「1人で行くのか?」
「いいえ。必ず2人で行きます。」
「そうか。俺も昔、女子社員と外回りをした事が有ったが、あれは傍目で見るより嫌な物だな。」
「そうですか?私は仕事と割り切っていますから、さほど感じませんが。」
「慣れればそうでも無いだろうが、最初は妙に意識してしまって何か落着かなかった。普通でも
そうなのに、以前体の関係が有った者同士だと、尚更気まずいだろうな。いや、逆か。話題が色々
有って、楽しい時間かもしれないな。昔の話題で盛り上がり、気が付けばいつの間にかホテルに
に入っていたりして。特に相手が課長クラスだと、どの様な言い訳も出来る。仕事の話を早く切
り上げて帰りにホテルで楽しんでも、話が長引いたと言えば文句の言える奴は誰もいない。まあ、
そんな不真面目な奴はいないか。」
妻の夕食を作る手が止まりました。
「美鈴、俺の会社から1本南の大きな通り沿いに、美味い定食屋が出来てな。そこは昼飯を3時
までやっている。お前もあの通りを通る事が有るようだから、一度寄ってみろ。値段も安くて美
味いぞ。もう準備してくれているのに悪いが、昼飯が遅かったから夕飯はいい。もう1缶ビール
を貰っていく。」
ビールを持って寝室に行き、何を見る訳でも無いのですがテレビを点け、余裕が有る振りをして
ビールを飲んでいましたが、内心は妻が言い訳に来るのを、今か今かと待っていました。本当に
何も無かったのか気が気では有りませんでした。私はこの様な人間では無かったはずです。まだ
怒りを素直に表していた頃は良かったのですが、こんな嫌味な事をする様になってしまいました。
妻を虐める事が上手くなってしまいました。
しばらくして、エプロンを外した妻が入って来ましたが、私は妻の方を見ずに、テレビを見てい
る振りを続けていると。
「あなた、お話が。今日私は課長と2人でメーカーへ行きました。でも本当に仕事だけで、他に
は何も有りません。疚しい事は何もしていません。本当です。」
「そうか。それならいいじゃないか。仕事なら仕方が無い。」
「嫌です。あなたはそう思っていない。」
「それなら聞くが、車の中ではどの様な話をした?」
「ほとんど仕事の話ばかりです。」
「そうか。お前の会社は楽しそうでいいな。笑いながら仕事の話が出来るんだ。俺に気付かない
ほど楽しそうに話せる仕事が有るんだ。羨ましい。俺の所では喧嘩腰になる事は有っても、笑い
ながら出来る仕事は無いからな。」
「ごめんなさい。全て仕事の話だけでは無いです。でも本当に企画した商品の話がほとんどです。」
「分かった。それでいい。仕事以外の話はしませんと、2人とも約束した様に思っていたが、あ
の時の事を未だに思っているのは、俺だけという事か。他の約束もどうなっているのか分かった
物じゃ無いな。」
「ごめんなさい。本当にメーカーへ行っただけです。信じて下さい。」
「だから、もういいと言っているだろ。普通あんな事が有ったら、2人で出た時は、疚しく無く
て俺の気持ちを理解していれば自分から話すだろ?ところが、俺が話してようやく話し出した。
俺が知らなければ、話す事は無かっただろ?会社によって違うだろうが、俺の所では課長が部下
と2人で出向く事はまず無い。仕事の話と言いながら、以前関係の有った2人が楽しそうに話し
ていた。女は身を乗り出すように運転席の方を向いたまま、夢中になっていて周囲には何も気が
付かない。そんな日に限って帰りが遅い。“課長、こんな所を通ったらあの人に見つかります。”
“もう昼休みは終わった。こんな所にいるはずが無い。それに少しスリルが有るだろ。”“それも
そうですね。あの人はもうすっかり信用しているから、前を通っても、まさかと思って気が付か
ないかも。それよりも何処へ連れて行ってくれるの?”“美鈴の1番好きな所”“いやだー”あの
時、何かお前達の会話が聞こえたような気がした。全て俺の被害妄想だ。もう分かった。も信じ
るから、向こうに行ってくれ。テレビが聞こえん。」
こんな事なら仕事を辞めさせればいいのです。本当に何も無かったのか知りたいのに素直に聞か
ず、妻を虐め、苦しめたくなります。未だに裏切られた事を根に持ち、許し切れずにいます。も
う許して仲良くしたいと思っていても出来ません。自分で自分の感情が抑え切れないのです。
テレビを見ている振りをしながら、神経は妻の方に行っていました。妻は泣きながら部屋を出て
行ったので、追いかけて問い詰めたかったのですが、それも出来ませんでした。
泣き止んで戻って来た妻は、私の方を怖い顔で睨みながら、服を脱ぎだしました。
「あなた、今日私が何かしてきたか、あなたを裏切ったか調べて下さい。」
妻のこの様な険しい顔を見た事は無い様な気がします。妻は全て脱ぎ終わると、ベッドの上に寝
て足を開きました。私は大きく開かれた足の間に座ると両手で摘んで妻を開き、またテレビの前
に戻って。
「悪いな。俺はあいつと違って結婚してからお前しか知らない。そういう事に詳しくないので、
何をどうやって調べたら良いのかも分からない。こんな俺を誤魔化す事ぐらいベテランのお前達
なら容易い事だろ?」
妻は泣き出し。
「私が悪かったです。今日の事もあなたに話すべきでした。こうなったのも私があなたを裏切っ
たからです。全て私が悪いです。でも、もう終わりにさせて下さい。私には無理です。もう終わ
りにしたい。離婚して下さい。お願いします。離婚したいです。」
私が1番恐れていた事を言わせてしまいました。妻が開き直る事を恐れていました。妻を引き止
めたい。このまま別れたくない。そう思っていても、口から出たのは。
「やっと本音が出たな。今日あいつに抱かれて別れたくなったのか?それとも、ずっとあいつと
繋がっていて、離婚を切り出すチャンスを伺っていたのか?早く別れて俺の所に来いと言われて
いたのか?こんな事だろうと思っていた。俺に抱かれていても、あいつの事を思って抱かれてい
ただろ?身体の動きが全てそうだった。あいつに散々使われた身体を見る度に、どうして俺があ
いつの使い古しを引き受けなければいけないのか、自分が嫌になっていた。これで俺も楽になれ
る。離婚してやる。慰謝料もいらん。その代わり、全て置いて出て行け。」
妻が服を抱えて部屋を出て行ってから、すぐに家を飛び出さないか心配で眠れません。しばらく
してから、水を飲みに行く振りをして様子を見に行きましたが、泣き疲れてソファーで寝てしま
っている妻を見て、少し安心した私も眠りにつきました。
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