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北原夏美 四十路 初裏無修正

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投稿者:MM 投稿日:2004/08/10(Tue) 01:43

5月9日(日)の3
私は心の中で、信用してはいけないと何度も自分に言い聞かせ。
「4月の16日に写真を渡しただろ?それも美鈴の嘘か?」
「いや、それは本当だ。その時点で誓約書の内容を破っていた。すまなかった。しかし、写真で
脅した事はない。」
「それなら何の目的で渡した?何故まだその様な写真を持っていた?」
「すまん。君には耳を覆いたくなるような話だろうが、怒らず聞いてくれ。美鈴さんと関係を持
っていた時、美鈴さんの嫌がる顔が見たくて、あの最中に写真を撮ってみた。やはり怒って嫌が
ったが、その後の乱れようは今までに無い物だったので、怒りながらも興奮していると感じた私
は、時々撮る様になり、その内美鈴さんは、口では怒りながらも、私の要求するポーズもとって
くれ、撮られている間も興奮している様子だった。2人で会った時に写真を見せると、それを見
ているだけで、美鈴さんの息遣いが変わってくるのが分かった。私はその写真を、他の者が見ら
れない様に、ロックを掛けてパソコンに保存していたのだが、特に気に入った何枚かを、すぐに
は分からない別の所に保存していて、その事をすっかり忘れてしまっていたが、先日ふと思い出
し、悪ふざけで渡してしまった。・・・・・いや、これも正直に言うと、また私との事を思い出
して欲しかったのかも知れない。すまん。」
野田は深々と頭を下げましたが。
「都合の良い様に言うな。それで脅したのだろ?」
「君が私を信用出来ないのも分かる。当然だ。君には殺されても仕方がない事をしてきたから
な。昨年発覚してからも、散々な事をしてきた。私が言うのも変だが、私も浮気された亭主の辛
さは分かる。絶えず君には、悪い事をしているという気持ちは有った。盗人猛々しいと思うだろ
うが、君にすまないという気持ちはいつも持っていた。本当だ。しかし私は焦っていた。毎日美
鈴さんを見ていて、どうしても美鈴さんが欲しかった。正確には、妻も美鈴さんも同じ様に愛し
ていて、2人とも自分の物にしたかった。君達を別れさせ、美鈴さんを自分だけの物にしたかっ
た。勝手な考えだと重々分かっていても、美鈴さんが君とセックスしていると思うだけで狂いそ
うだった。妻と離婚してからは尚更だ。美鈴さんへの愛が大きくなった。いや、また怒られそだ
が、今の方が大きいかも知れない。」
「2人とも?まあいい。脅していないと言うなら、写真を渡しただけでなく、どうして電話して
きた?電話で何を言った?どうやって美鈴をアパートまで呼びつけた?」
「いや、言い難いが、私からは電話していない。美鈴さんが電話してきた。」
「お前の話を信用している訳ではないが、仮にそうだとして、何を言ってきた?」
「美鈴さんは怒っていた。すぐに処分してくれと言うので、私は現実に戻されて写真を渡した事
を後悔した。美鈴さんに嫌われたと思って悔やんだ。今からすぐに削除すると約束したのだが、
信用出来ないので今から確かめに行くと言われ、本心は来て欲しかったが、また誠実な振りをし
て“変な誤解を受けてもいけないので来るな。それに、私は今から出かけるので留守になる。”
と嘘を言うと、明日の朝行くと言って一方的に電話を切られてしまった。次の朝、美鈴さんが来
たので玄関先で、もう何も無い事を説明したのだが、確かめさせてもらうと言って勝手に上がっ
て行き、しばらくパソコンを見ていたので、内心嬉しかった私は、コーヒーを煎れて勧めると、
凄く嬉しそうな顔をしてくれた。君には悪い事をしたが、その後、コーヒーを飲みながら不倫し
ていた時の話で盛り上がり、美鈴さんが上着を脱いで横に置いたのを見ると、白いブラウスから
真っ赤なブラジャーが透けて見えていた。顔を見ると潤んだような目で私を見詰めていたので、
美鈴さんが誘っていると感じた私は、隣に座って抱き締めてしまった。美鈴さんは“やめて、主
人をもう裏切れない”と言ったので一瞬躊躇したが、そう言いながら美鈴さんも抱き付いて来た
ので唇にキスしてしまった。唇を離すと“主人に悪いので私には出来ない”と言われたが、久し
振りに柔らかい唇に触れて。我慢出来なくなっていた私は、美鈴さんのスカートを捲ると、パン
ティーも赤いセクシーな物だった。そのパンティーを見て、私の所に来た理由を確信した私は、
君に殴られようが、慰謝料をいくら請求されようが、会社にいられなくなろうが、どうなっても
良いと思った。その時は君に殺されてもいいとさえ思った。すまなかった、許してくれ。」
野田を信用している訳ではないのですが、私は話に引き込まれていました。
「次の日からも、勝手に美鈴が押し掛けて来たのか?」
「いや。最初はそういう事だが、その後誘ったのは私だ。すまん。写真が効果的だと思った私は、
その時また写真を撮って渡し、明日も来て欲しいと頼んだ。美鈴さんは、もう主人を裏切れない
ので二度と来ないと言ったが、その写真を持ち帰り、結局は来てくれた。それで味を占めた私は
毎回写真を撮って渡しながら誘った。美鈴さんを繋ぎ止めようと必死だった私は、もう君の事は
頭の片隅にも無かった。自分だけの世界に浸っていた。本当に悪い事をしてしまった。許して欲
しい。出来る事なら君と別れて、私と一緒になりたいと言ってくれたので、あの最中の話だから
当てにならないと思っていても、有頂天になっていた。しかし美鈴さんがあの日の事を、君にそ
の様に言ったという事は・・・・・・・。すまん。君に話すような事では無かった。許してくれ。」
野田はそう言い終ると目に涙を溜め、また深々と頭を下げたまま上げません。野田の話は、自分
の非は認め、違う事は違うとはっきりと言っている様に聞こえ、信じそうになりました。
「まあその内、どちらが嘘をついているのかはっきりさせるが、どちらにしても、お前が約束を
破った事に違いは無い。1度ならず2度までも、人の女房に手を出した事に違いない。責任はと
ってもらう。その上、もしもお前の言う事が嘘で、妻を無理やり犯したと分かったら、俺も人生
を捨てる覚悟で徹底的にやってやる。」
私はそう言い返すのが精一杯でした。初めて私以外の男で有る、野田の物が妻の中に入ったと知
った時よりは、その行為についての怒りが小さいのは感じていましたが、当然怒りが無い訳では
有りません。悔しさが無い訳では有りません。2度目という事で、精神的な裏切りに対する悔し
さは、今度の方が大きいです。
嘘だと思っていても、出来る事なら私と別れて、野田と一緒になりたいと聞いた時は、言い表し
ようが無い寂しさを感じました。しかし、殴るどころか言い返しもせずに、じっと野田の話に聞
き入ってしまいました。
勿論、野田の、今までと違う好意的な話し方も有ったと思います。しかし、この男は私の家に土
足で踏み入った男です。野田の話が本当だとしても、許しがたい男です。私の1番大事な物を奪
いたいと思っている男です。私はどうして怒りもせず、こんな話をじっと聞いているのか、自分
でも分かりませんでした。
「私がしてしまった事の責任はとる。逃げはしない。金の事ばかりですまんが、当然慰謝料も前
回より多く、借金してでも払う。本当に悪かったと思っている。ただ、気持ちを逆撫でしてしま
うが、美鈴さんを愛している。今は美鈴さんだけを愛している。これは何を言われても、殴られ
ても、私の気持ちだから変え様が無い。もう私からは連絡しないと約束するが、今度の様に、美
鈴さんが私を必要としてくれた時は、美鈴さんから来てくれた時は、殴られようが殺されようが、
後がどの様になろうとも、受け入れたいと思っている。」
私は釈然としない気持ちで、野田のアパートを後にしました。

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