投稿者:MM 投稿日:2004/08/29(Sun) 06:56
5月28日(金)の2
私は忍び足で客間のドアの前まで行き、聞き耳を立てていると。
「だから、どうしてアパートに来てくれなかったかと訊いているだろ。」
「もう許してください。もう嫌なんです。帰って下さい。」
「許して?それでは私が脅している様に聞こえるじゃないか。確かに最初は脅す様な形になって
しまった。そうでもしないと会ってくれないと思った。しかし、それからは違うだろ?」
「いいえ。ずっと脅されて・・・・・・。」
「本当にそう思っていたのか?俺は遊びのつもりだった。最初の日を覚えているか?口では嫌が
っていたが、今迄に見た事も無い様な乱れ方だった。美鈴は何回も達してしまい、私も2回出し
てしまったので、もう終わりにしようと思ったが、美鈴は“もっとして。もっと頂戴。欲しい、
これが欲しいの。お願い、入れて。入れて下さい。”と言って私のを咥えて来た。何とか硬くし
ようと必死に口を使っていた。」
「・・・・・・私・・・・・・そんな事は・・・・・・・・。」
「覚えてないのか?その時私は思った。美鈴は“主人が有りながら、他の男に犯されている。嫌
なのに無理やりされている”と思う事で、余計に感じているのだと。だから私はゲームのつもり
で、その役になり切った。美鈴も分かってくれていると思っていた。」
「違います。私は脅されて・・・・・・・。」
「本当にそうか?嫌がるのは最初だけで、自分から私の物を触ってきた事も有っただろ?私が何
も言っていないのに、後からされるのが好きな美鈴は、自分から四つん這いになった事も有った
だろ?それも覚えていないか?」
「私・・・・・そんな事は・・・・・して・・・・・・。」
「私は最初から、写真なんて他の者に見せる気は無かった。美鈴に嫌われる様な事をするはずが
無い。真面目な美鈴は、その方が私の所に来易いと思った。“行きたくないのに、脅されている
から仕方なく行くんだ”と自分に言い訳が有った方が来易いと思った。何より、その方がより感
じている様子だったし。本当に脅すつもりなら、写真を処分なんかしない。本当にもう1枚も持
っていない。」
「だって、今日。」
「今日?今日は大事な話が有るから、アパートに来て欲しいと言っただけだ。写真なんて一言も
言っていない。会社の窓から見ていて、タクシーに乗ってくれたので、来てくれていると思って
いたが、帰っても居なかったので、少し興奮してしまった。でもタクシーに乗ったところを見る
と、本当は迷っていたのだろ?」
「・・・・・・・・・・・。もう帰って下さい。ここには来ないで。早く帰って、帰って。帰っ
て。・・・・・・いやー、離して。離して。」
おそらく、野田が妻に抱きついたか何かしたのでしょう。私は、飛び込んで行きたい気持ちを我
慢しました。
「美鈴、落着け。私の話を聞いてくれ。別れた妻が再婚する。」
「えっ。」
妻は知らなかった様で、それを聞き、抵抗を止めたのか静かになりました。
「あいつが再婚する事になった。それも相手は以前不倫していた先生だ。私は何もかも嫌にな
り、2人共殺してしまいたいと思った。しかし出来なかった。何故だか分かるか?私ははっきり
と気が付いたからだ。別れた妻に有るのは未練だけで、本当に愛しているのは美鈴だけだと、気
が付いたからだ。」
「そんな・・・・・・・一方的に・・・・・・・・・・。」
「みんなには黙っていたが、来月の初め海外に転勤する。部長待遇にはなるが、小さな支店で、
ほとんど左遷と同じだ。今海外に飛ばされると、また転勤が有ってもたぶん海外で、もう定年ま
で帰れないかも知れない。会社も勝手な物で、私が独身になったから、遠い所にでも自由に移動
させやすくなったのだろう。先月の初めに打診が有り、別れた妻にその事を言いに行こうとした
時、再婚する事を知った。」
私は、ただ言いに行ったのではなく、向こうでもう一度やり直す為に、一緒に行ってくれる様に、
頼みに行ったのだと思いました。野田はずっと、復縁を持ち掛ける機会を伺っていたのでしょう。
良い切欠が出来、今日こそ言おうと張り切って出かけた。しかしその時、楽しそうに食事をして
いる所を見てしまった。野田にすれば天国から地獄だったでしょう。野田の悔しさは、私の想像
以上で有った事を知りました。
「でも良かった。再婚話のお蔭で、自分の本当の気持ちに気付いた。私はどうしても美鈴と一緒
に行きたくなったが、こればかりは1人で決められない。それで美鈴を試してみたくなった。
美鈴が私の事を、どの様に思っているのか知りたかった。美鈴と何回か会い、身体を重ねていて
“美鈴は付いて来てくれる。私からは離れる事は出来ない”と確信し、一緒に来てくれと、いつ
切り出そうか考えていた時、旦那に分かってしまった。それでも私は美鈴を信じていたが、私が
ずっと脅して関係を持っていたと聞かされた時、私とはセックスだけの関係で、本当に愛してい
るのは旦那だと思って諦めた。」
「勝手な事ばかり言わないで。私は脅されて・・・・・・・。」
「本当にそうか?そう言い切れるか?自分でそう思いたいだけでは無いのか?私はそんな女で
は無いと、自分に言い聞かせているだけでは無いのか?」
私は妻が、野田の言う通りだったのでは無いのかと思いました。自分では気付かなくても、気付
きたく無くても、何処かに引け目が有り、訴えるとかいう、強い態度に出られなかったのでしょ
う。
もしもその通りだとすると、2人共が私を騙していた事になります。
「一度は諦めたが、よく考えたら、美鈴は、以前の私と同じでは無いかと思えてきた。旦那には
未練が有るだけで、それを愛と勘違いしていないか?本当に私と、もう会えなくなってもいいの
か?今の生活を守りたいだけだろ?このまま旦那に責められながら、一生を終わってもいいの
か?そういう人生でいいのか?もう子供も大きくなった。これからは美鈴自身の事を考えてもい
いのではないのか?」
妻の声は聞こえません。私は心の中で“どうして黙っている。違うとはっきり言ってやれ。脅さ
れていただけで、お前は嫌いだと言ってやれ。”と何回も叫んでいました。
「もう一度よく考えてくれ。確かに私と美鈴は、旦那に対して取り返しの付かない事をした。だ
からと言って、一生責められるだけの人生でいいのか?まだ人生、半分有るのだぞ。何もかも忘
れて、私と向こうで楽しく暮らそう。別れた妻や子供達の為に、ほとんどを渡してしまったから、
財産と呼べる様な物は無いが、持っている物全て、旦那に慰謝料として渡す。美鈴も全て置いて
出て来い。向こうで1からやり直そう。」
私は固唾を飲んで、妻の返事を待ちました。
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