投稿者:MM 投稿日:2004/09/02(Thu) 21:46
5月30日(日)の1
前夜は一睡もしていなかったのか、妻はベッドに入るとすぐに寝てしまい、私の横で寝息をたて
ています。私も一度は眠ったのですが、疲れているはずなのに早くに目が覚めてしまい、その後
寝付かれずに、妻との事を考えていました。私にとっての夫婦とは何なのか考えていました。
勿論、婚姻届を出した時から、法律上夫婦で有る事は間違い有りません。
しかし、
お互いに相手に対する愛情がないと、それはただの共同生活者だ。
たとえ実際には束縛していなくても、夫婦なら相手を束縛したい気持ちが有って当然だ。
育った環境も違い、お互い1人の人間だから、考えや方が違うのは仕方ないが、時には自分を殺
して、お互いに歩み寄るのが夫婦だ。
片方の気持ちが離れた時、離婚届は出さなくても、それはもう夫婦では無い。
と思っていました。
それともう1つ。
長い結婚生活、間違いの1度や2度は有るかも知れないが、気持ちまで相手に行かなければ、
夫婦でいられる。
とも思っていましたが、私を愛していても、妻の身体が他の男を求めてしまった今、この考えは、
私に都合の良い考えだったと気付きました。風俗など私が妻を裏切る事は有っても、妻に限って、
私以外の男と関係を持つ事は、考えられなかったからこそ思えた事だったのです。
人間と同じ様に、夫婦と呼べるのかどうかは分かりませんが、多くの生物は、子孫繁栄の為の生
殖行為をしたものが、夫婦の様な形をとります。1度その様な行為をしただけで死んでいく者も
有りますが、前回とは違う相手と、行為を行う者も少なく有りません。それは、より強い、より
良い子孫を残す為だと思います。
当然、夫婦の関係はセックスだけでは有りません。それ以外の部分の方が大きいかも知れません。
お互いに納得して、セックスレスでも仲の良い夫婦でいられる方もみえますし、歳を取り、その
様な行為が出来なくなっても、夫婦でいられます。
しかし、人間も1つの生物だと考えると、子供に恵まれたかどうかは別にしても、以前私達は間
違い無く夫婦でした。ところが、妻の身体が野田を選んだとしたら、妻の雌の部分が野田に惹か
れたとしたら、今は野田と妻の方が、夫婦に近いのでは無いかと思えるのです。
ただ、人間は他の生物と違い、遊びも覚えました。子孫を残す為だけにセックスをする訳では有
りません。私も今では、子供を作ろうと思って交わった事は有りません。それどころか、子供が
出来てしまわなかったか心配な時も有ります。しかし、そこまでの過程は遊びでも、男が女の中
に入り、腰を振っている瞬間は、子孫を残そうとする生殖活動その物ではないかと思えるのです。
これらは私の夫婦感です。勿論人それぞれで、10人いれば10通りの考えが有ります。それら
を否定するつもりは有りません。当然妻にも妻の考えが有って当然です。しかし、お互いに歩み
寄るなど、今まで考えていた夫婦の形を、自分で否定してしまう事になるのですが、今の私は、
妻の身も心も私に向いていないと、夫婦として満足出来ません。夫婦としてやって行く自信が無
いのです。
夫婦はセックスだけでは無いと分かっていても、妻と野田とのしてきた行為を考えた時、私の中
で、その部分が大きな割合を占めてしまうのです。
外が白み出した頃、ドアの音で起こしてしまったのか、トイレから戻ると妻が。
「ごめんなさい。私のせいで眠れなかったのですね」
「違う。トイレに行きたくて目が覚めてしまった。やはり歳だな。」
お茶を煎れてくれると言う妻に、コーヒーにしてくれと頼み、2人でコーヒーを飲みました。
「くどい様だが、やはりどうしても気に成っている事が有る。」
「何でも聞いて下さい。今なら何でも話せる気がします。」
「そうか。俺の事を愛してくれているのは分かった。では、野田の事を愛してはいないと言って
いたが、嫌いでは無いのだな?野田にはどういう感情が有るのだ?」
「はい。昨年は同情から、課長の事を好きだと勘違いしてしました。あなたを愛しているのとは
違った感情でしたが、愛に近い物を感じていました。それは間違いだったと気付いてからも、そ
れらの感情は無くなりましたが、嫌いには成れませんでした。」
「それは今回、脅されて無理やりされたと思っていても、そうだったのだな?自分と向き合って
みて、分かっているのだろ?」
「ごめんなさい。気付かない内に、私も抱かれたいと思う気持ちが何処かに有って、そのせいか
も知れませんが、あなたには嫌いだと言いましたが、どうしても嫌いには成れませんでした。」
「それも愛の一部では無いのか?」
「違います。それだけは、はっきり違うと言えます。」
「気持ちが身体に負けてしまうのか?本能がそうさせるのか?」
「よく分からないのですが、何となく思うのは、あなた以外、私にとって始めての男の人だった
からかなと・・・・・・。あなたしか知らなかった私が、課長という男の人を、知ってしまった
からかも知れません。」
今まで敵から命を掛けて群れを守り、食べ物を調達し、交尾の時期を迎えた時、自分より強い雄
が現れて群れを追われ、その雄と今まで妻だった雌の交尾を、横目で見ながら群れを出て行く、
はぐれ猿の姿が頭に浮かびました。私には負け犬根性のような物が、染み付いてしまった様です。
「俺しか知らなかったのが、野田に抱かれて、もっと気持ちの良い世界を知ったと言う訳か?俺
より野田の方が、気持ちが良かったという訳か?」
「そんな事有りません。あなたと課長を比べた事など、1度も有りません。私の言い方が悪かっ
たです。ごめんなさい。」
私は妻を責める為に、質問をしたのでは有りませんでしたが、また妻を責めている事に気付き。
「悪い、悪い、そんな事を聞くつもりでは無かった。元へ戻るが、それなら野田に、情が移って
しまったと言う事か?野田の身体に愛着が有ると言う事か?」
「それとも違う様な気がします。誤魔化している訳では無くて、上手く説明出来ません。ごめん
なさい。・・・・・・・ごめんなさい。」
「そうか、謝らなくてもいい。美鈴、コーヒーをもう1杯もらえないか?やはり何処の喫茶店よ
り、お前の煎れてくれたコーヒーが1番美味い。」
妻はやっと笑顔を見せ、コーヒーを注いでくれましたが、この時私は、妻と別れようと思ってい
ました。それは妻の答えを聞いたからでは有りません。その前から考えていた事でした。
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