投稿者:バーバラ 投稿日:2005/07/19(Tue) 21:38
その瞬間のわたしの気持ちを後になって考えてみると、それは深い哀しみでした。もちろん、最愛の妻を奪われた哀しみもそうなのですが、それ以上に自分の老いが哀しかった。
いま、眼前で繰り広げられている妻と勇次の痴態。それは強烈に<若さ>を放射していました。勇次とわたしは親子ほど年が違います。妻だって、わたしより一回りも若い。
どうもうまく言えませんが、妻と勇次のセックスを覗き見て、わたしが受けた哀しみは、老いた自分の手の届かない世界に妻が行ってしまったことへの哀しみだったように、いまになって感じるのです。
「そんなに大声出したら、近所に聞こえちゃうよ」
妻を責めながら、勇次がそんなことを言いました。その口調は当然のことながら、雇用主の妻に対するものではありません。
「あっ、あっ、こ、こえ、でちゃいます・・」
「仕方ないな」
勇次は妻の秘所から自分のものを引き抜くと、軽々と妻を抱き上げました。いわゆる駅弁スタイルというのでしょうか、子供が抱っこされるような格好でしがみついた妻に、勇次は立ったまま再び挿入します。
股間を大きく割り開かされ、M字になった足を勇次の背中へ絡みつかせた妻。勇次はわたしに背を向けて立っていましたが、妻はそれとは逆向きです。
見つかるのをおそれて、わたしは半開きの戸からそっと顔を放しました。
いったい自分は何をしているんだろう。そうおもいました。浮気の現場を押さえ、あまつさえ、妻たちは性交の最中なのです。夫なら、当然怒鳴りこんでいく場面です。
しかしわたしは、怒りよりもむしろ、とめどない喪失感に打ちのめされてしまっていたのです。
「んんっ」
妻がくぐもったような声で、また啼きました。わたしはまたふたりをそっと覗き見ます。
勇次が妻の口に舌を差し入れ、ディープ・キスをしていました。妻は眉根を寄せ、苦しそうな表情で必死にそれにこたえています。
勇次が妻の身体を小刻みに上下動させています。その上下動がしだいに早く、激しくなり、それにつれて妻の表情にも苦悶とそれに悦びの入り混じった、わたしがそれまで見たことのない表情になっていきます。
妻が首を振って、勇次の舌を逃れました。そのとき、妻の口からよだれがとろりと垂れたことを覚えています。
「あ、も、もうだめ・・・わたし、いきます・・いってしまいます」
息も絶え絶えに妻がそう告げます。
その瞬間でした。わたしは弾かれたように、ふたりのいる部屋へ飛び込んでいきました。
女は罪な生き物ですね。
何回活字から目を反らした事か・・・
筆者の世界に入り込んでしまいます。
罪悪感を持ちながらも、男にこたえる妻の様子・・・
「よだれ」を垂らすって言うところは、まさに鬼畜のよう
泣いこんなところまで夫に見られても・・・泣いて御免なさいとだけしかいえない女の性を見ました
。太字の文